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ギリシャワイン体験記② サントリーニ編

さて、僕が今回の旅で最も楽しみにしていた (ワイン的に) のが、サントリーニ島。
サントリーニ島は火山の噴火によって生まれた島であり、その独特な土壌と気象条件から、独自のワインが造られています。

※ド素人が自分が行った感想, 備忘録として書く文章なので、情報はアテになりません

【条件】
・緯度: 北緯36度と、東京よりやや北, シチリアの南端, スペインのマラガあたり
・土壌: 火山性土壌
・気候: 地中海性気候, 高日照, 乾燥

【品種】
Assyrtiko
が80-85%を占めているそう。
他は、白はAthiri, Aidani等。赤はMavrotragano, Mandilaria等。

【特徴】
① Kouloura: クールーラと呼ばれるバスケット状の仕立て方が有名。Curlと語源を等しくしているとのこと。強風とそれによる砂塵、夏の強烈な日差しからブドウを守る役割を果たしています。

②火山性土壌: 豊富なミネラル。また、土壌の中に含まれる多孔質の軽石が空気中の水分を保持してくれるそうです。なんとも合理的で面白いと感じました。

③ 自根: サントリーニ島はフィロキセラの被害が無いそうです。土壌に粘土質が0%だからフィロキセラが生息できない、とのこと。

④ 早い収穫期: 高日照だから?収穫はとても早く、7月末?から8月半ばとのこと。

Santo Wine のクールーラ
畑中にポコポコとありました。
20人ほどで作っているらしく "作るのは簡単よ!"とのこと

【ワイン概要】
① アシルティコ:
土壌由来の豊富なミネラル, やや厚めのボディにしっかりとした酸。

↓2つのワイナリーで見た共通のアシルティコの製法
(1) ステンレスのみ: 厚みのあるPinot Grigioのような…CampaniaのGreco di Tufoのような…

(2) シュールリーorバトナージュ: 澱。大好き

(3) ニクテリ (Nycteri): ギリシャ語で"Νύχτα" (Nychta) は Night の意で、元々は日中に収穫したブドウの酸化を防ぐべく、気温が低く光の無い夜間に潰す、という伝統的な製法を意味するらしい。アシルティコの香気成分を守るために、手摘み, 収穫後10 ℃で保存, フリーランジュース & Natural Flow とのこと。
Koutsogiannopoulos wineryで聞いた話によると、必ず古樽の熟成をかけるそう。

(4) Grand Cuvée: 樽熟瓶熟をしっかり。まるで高級ブルゴーニュ。

② アシリ, アイダニ
これらはアシルティコの補助品種として用いられるが、単品種もアリ。
フルーティで香り高い品種のため、アシルティコのキレのある味わいに加えることで厚みを与えるんだとか。
単品種でそれぞれ飲み比べましたが、言うなればアイダニはフルボディ, アシリはミディアムボディ。いずれもやはりミネラル感はとても強く、アシリは白桃のようなニュアンスがありました。

③ Vinsanto
忘れてはいけないヴィンサント。トスカーナなどイタリアにも同じく乾燥ブドウから造る甘口ワインのVin santoがありますが、このような製法のワインをVin santoと呼ぶようになったのはサントリーニ島のVinsantoに由来する説もあるそう。

1年前の旅, Firenzeで買ったVinsanto del Chianti 🇮🇹
裏面 Alc.16%, 酒精強化か?

しかし、言語自体はヴェネツィア支配下だった頃に由来し、Vino Santorini ⇨ Vinsanto となったとか。
(Wine museumの説明: https://santoriniwinemuseum.com/e-shop/sweet-wines/vinsanto-koutsogiannopoulos-pdo-santorini-375ml-detail)

なおサントリーニ島の方はPDO Santoriniを取得しており、製法などは全く異なります。イタリアの方は地域によって異なるも、トレッビアーノ, マルヴァジアの白ブドウを中心に、サンジョベーゼなど黒ブドウの添加をすることもあり、なんなら酒精強化もあるそう。(地域により異なる)

PDO サントリーニではアシルティコを中心にアイダニなど白ブドウから造られ、Koutsogiannopoulos wineryに関しては10-14日間天日干しされ、14-15 ℃, 湿度70%で2年間のオーク熟成、さらに瓶熟。


【訪問ワイナリー, テイスティングキュヴェ】

ひとまず情報箇条書き (ただのテクニカルシートの写し)

① Santo wine
・Assyrtiko Selection Cuvée 2021
skin contact for 6 h in 5℃, fermented at 16℃, aging in stainless tank for 10 m on fine lees, PDO Santorini
・Santo sparkling white (Assyrtiko)
PGI Aegean Sea.
・Assyrtiko
PDO Santorini
・Nykteri (85% Assyrtiko, 10% Athiri, 5% Aidani)
picked between 10-20 August, skin contact for 6 h, fermented at 16-17 ℃, aged for 6 m in french oak barrels, PDO Santorini.
・Assyrtiko Grand Résérvé 2020?
skin contact for 6-8 h, batonage every 2 days for 1 m, 12m toast  french oak, 12m in the bottle.
・Santo sparkling rose (80% Assyrtiko, 20% Mandilaria)
・Kissiris rose (80% Assyrtiko, 20% Mandilaria), PGI Cyclades.
・Kameni (100% Mandilaria), PGI Cyclades
・Vinsanto (85% Assyrtiko, 15% Aidani)
Sun-drying for 6-8 d, fermentation for 40-60 d.
・Athiri
・Aidani

② Koutsogiannopoulos winery
・Aidani 2022
picked in middle of August till beginning of Sempember.
・Ksera Homata 2021 (100% Assyrtiko)
picked in the beginning-mid of August, fermented at 17 ℃, 6 m lees contact before bottling.
・Nykteri 2018 (100% Assyrtiko)
only free-run juice, 1-2 d before the end of fermentation the wine is placed in the 3rd used Frence oak barrell.
・Grand Reserve 2018
alcoholic fermentation in stainless tank at 17 ℃, 1-2 d before the end of fermentation the wine is placed in the 1st used Frence oak barrel, wine remains into the barrel for 12 m with its lees, remains in the bottle for at least 6 m.
・Voudomato 2021
・Mavrotragano 2017
・Vinsanto 2000 (85% Assyrtiko, 15% Aidani)
sundried for 10-12 d, aged in oak barrel in 2 y, ends up naturally having residual sugars 13 Be and Alc. 10%.
・Kamaritis 2002 (Assyrtiko, Athiri, Aidani, Mavrotragano, Mandilaria, Mavrathino) Kamara: underground room
sundried for 10-14 days, aged in oak barrel in underground cavana for at least 10 y before bottling.

【感想】
①Santo wine
素晴らしい景色の中でテイスティングができました。

Santo wineからの眺め

(1) Santo sparkling white
アシルティコのスパークリングの存在に驚き。瓶内二次。シャンパーニュのようなイースト香の芳醇さかつ、味わいはアシルティコらしいミネラル感。

1. Santo sparkling white (100% Assyrtiko)

(2) Assyrtiko
上述の通り、厚みのあるPinot grigioのような?
Selection Cuvéeの方は、その澱との親和性に驚き。病みつきになって買いました。

2. Assyrtiko

(3) Nykteri
アイダニの添加, 古樽の利用もあってフルーティさ、まろやかさあり。

3. Nykteri (85% Assyrtiko, 15% Aidani)

(4) Grand reserve
ミネラル感強めの高級ブルゴーニュのよう。アシルティコの幅広さに驚き。

4. Assyrtiko grande réserve

(5) Rose sparkling
凄い…!Demi-secと中甘口ですが、ただの甘口ならず。香りはまるでストロベリーガムのような華やかさ。嫌な甘さではなく、自然な甘い香りはいつまでも漂っていて欲しいほど。
味わいも、甘さの中に、旨みあり。と言わんばかりのコク。
誰でも美味しく飲める上、非常にクオリティが高いと感じたワイン。
アシルティコ+マンディラリア、ステンレスタンクのどこからそんな香りが生まれるんだろう…?

5. Santo sparkling rosé (80% Assyrtiko, 20% Mandilaria)
6. Kissiris rosé (80% Assyrtiko, 20% Mandilaria)
7. Kameni (100% Mandilaria)
8. Vinsanto (85% Assyrtiko, 15% Aidani)
眺望

② Koutsogiannopoulos winery (Wine museum)

入り口

(1) Wine museum編
楽しみにしていたWine museum。
土壌やクールーラ、農業的な説明から始まり、サントリーニ島におけるワイン造りの器具の変遷が見られました。特にプレス機が多かった気がする

土壌の説明
Theran soil
軽石

以下、博物館での雑なメモ
【栽培】

11-2月に剪定を行い、各枝には3つの芽を残し、実ができる。それが内側に来るように仕立てる。
畑は1年に3回耕す。鍬は、根を痛めないように12 cm以上はすかないようになっている。水不足のため、水を吸い上げる根は決して傷つけてはいけない。
3回の鍬入れを、ニャト, ディボロ, トゥルアルトゥリと呼ぶ (聞こえたままなので表記が合ってるかしらない)

【収穫以降】
収穫は8月半ば。かつてはパティティーリ?という場所でブドウを踏んで潰していた。
この潰す作業の時は娘たちは家を出ることを許され、そこでの出会いから結婚に結びついた。

【搾りカス】
搾りカスはチクーダと呼ばれ、そこから蒸留酒のチクディアが造られた。カザーニと呼ばれる釜で蒸留された。
初めは風邪を引いた時の薬や消毒薬として使われ、酒として飲用されることはなかった。

これを蒸留する場所をRakidiaと呼び、Rakiの由来に?修道院では、Visitorに対してTsikoudia (Raki) がLoukoumiと共に提供された。

搾りカスは桶にブドウ汁と共に入れて4日ほど放置するとメイチョと呼ばれる中甘口のワインができる。

(2) テイスティング編
Bronze, Silver, Goldの3コースから選択でき、順に€25, 45, 80 くらい?だったが、せっかくなのでGoldを選択。
GoldにはVinsanto 2000なども含まれ、かなり豪華なコース。。。

テイスティングしたワイン8種
白4種
赤2種
Vinsanto 2000
ボトルで買ったらおいくらなんでしょうか…

マリアージュのプレート。白ワインにはチーズ2種 (手前がケファロティリ, 奥がグラヴィエラ)、赤ワインにはチェリートマト, トマトブレッド?
Vinsantoにはドライフィグ, Kamaritisにはダークチョコレート、というマリアージュの指定まであり素晴らしかったです。

付け合わせのプレート

それではワインの感想へ。
① Aidani

アシルティコよりもフルーティで厚いはずのアイダニがなぜ最初に、、?というのが最初の疑問でした。

② Ksera Homata (100% Assyrtiko)
どういう意味だっけ、、、!土壌の名前、、?
これを飲んで、①②の順番の意味がわかりました。アシルティコにバトナージュで澱のニュアンスが強くついているので、味わいがリッチに。やっぱりこの味わい、、好きだ

③ Nykteri (100% Assyrtiko)
Santo wineのものよりもハチミツのようなニュアンスがあり。Aidani入ってないはずなのに、よりフルーティに感じました。気のせい?

④ Grand reserve (100% Assyrtiko)
ぶっちぎりで感動しました。12 mの樽熟、6 mの瓶熟。アシルティコのスッキリサッパリの味わいはどこへ。熟成を経て、完熟した桃, ハチミツ, イースト, ジンジャーブレッド, バニラなどなど、粘度が上がりもはやややトロリとした液体から発せられる複雑で芳醇な香りがグラスの中に立ち込める。
なんとも贅沢なグランキュヴェでした。

⑤ Voudomato 2021
サントリーニの全ブドウのうち、1%程しか作られてない珍しいブドウらしい。サントリーニではフルボディの赤はほぼないよって言われました。
M. Ruby, M. Tan., M. Acidityとバランスが良かったのは覚えてるけどあまり覚えておらず。。

⑥ Mavrotragano 2017
同じく赤品種。Voudomatoよりもしっかりタンニンあり。また覚えておらず。あまり赤を意識してなかったのかな…。ショック

⑦ Vinsanto 2000
非常に貴重な体験でした。色はイェーガーマイスターか?!ってくらい焦茶色。ドライフィグとの相性は天才でした。
ほんとボトルで買ったらいくらするんだろう…バスの時間が迫っていて、やや焦ってしまったのが本当にもったいない。結局乗れなかったし…笑

⑧ Kamaritis 2002
こちらも良い体験でした。Vinsantoと同じようなスタイルだと思っていたので、なぜこちらはマリアージュがダークチョコレート、、?と思っていましたが、飲んで納得。
こちらは白3種に加えて赤品種も3種入っているので、タンニンがある程度しっかりしていました。このタンニンとダークチョコレートの組み合わせか!と飲んで納得。興奮気味でお姉さんに言ったら Exactly♪ と言われて嬉しかったです。

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