錆びていては切れない

シマ:11月22日

ナイフを買った。
ナイフは便利だ。色々なものが切れる。
それ故危険なのだ。
ナイフと聞いて未だにすぐ思い出すのが木村拓哉主演の「ギフト」というドラマの事だ。
内容の中で主人公がバタフライナイフを使用するシーンがあって、それに影響を受けた視聴者の少年が殺人事件を起こしたことから再放送などが打ち切りになった。
私は木村拓哉のファンなので、時折木村拓哉が出演しているドラマを見返したいなという欲求が起こる。その度に何を見返そうか迷って、「ギフト」も当然選択肢に入るのだが、事件の影響があってソフト化されなかった為かレンタルすることが出来ない。(2019年にソフト化されたらしい)
なので結局、「空から降る一億の星」を観る。
それで「ギフト」がどういった話だったかずっと思い出せない。

ナイフを買ったんだった。
目的はキャンプで薪を細かくする為だ。この薪をナイフで細かくする作業のことをキャンプ用語で「バトニング」と言うらしい。
たった薪を細かくするだけの作業に「バトニング」というカッコいい名前が付いている。
ナイフを買う時、私にはカーボン製とステンレス製、二つの選択肢が与えられた。私はカーボン製を選んだ。
カーボン製の簡単な特徴としては、ステンレスに比べ切れ味は良いが、錆びやすいという事だった。
しかし、事前にある加工をする事で錆びを防ぐことが出来るらしい。

その加工というのは「黒錆加工(黒染め)」。
サビには良いサビと悪いサビがあって、一般的に、切れ味を鈍らせるものが「赤サビ」らしい。
公園の遊具などで、劣化したペンキからのぞいたりするあのサビの事だ。
赤サビがつく前に意図的に黒サビを付けることによって切れ味をキープさせるらしい。
「サビによってサビを防ぐ。」
こういう事に惹かれ、こういう事がカッコいい。と思ってしまう人は少なくないと思うが、私も多分に漏れずその中の1人だ。黒錆加工には、紅茶とレモンを用いる。
渋く濃いめに煮出した紅茶にレモンを絞り、その中にナイフの刃を浸しておけば、化学反応が始まる。大体二時間ほどで定着する。
詳しい仕組みは分からないが、こうする事によって鉄タンニン化合物の被膜が形成されるらしく、古くは南部鉄器やお歯黒に用いられていた技らしい。
こういう一手間をかける事でさっきまで売り物だったナイフが「俺のナイフ」になる気がして途端に愛着がわく。

たのしい。


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