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胡蝶の夢を見る。第一話


第一話 立ち入るもの。

2300年代後半、あらゆる電子産業が盛んになりバーチャル技術が現実と電子の世界の境目がなくなるようなことが当たり前になった頃。

あるMMORPGが発売された、あらゆる文化や奇跡を体現できるという自由度の高いRPG、レベルとスキル制をもちい、リアルマネーにも変換できてファンタジー世界に生きながらにして生活できるという事から、雇用市場と世界の流通事情が様々な要素で変化した。

医療技術も最新性の技術はゲームの世界にも流用され、魔法とも変わらない展開技術も現実でも発生する事になった。

もはや科学と魔術は似るものとしての認識に変わっていく。

トッププレイヤーたちはありとあらゆる企業に協賛され世界に発信されていく、そんな中とある一人の男がこのゲームへと足を踏み入れる。

胡蝶の夢を見る。

日本の企業が作ったMMORPG。

小さな会社ではあるがあらゆる秘匿技術を扱い発売10年を経過したいまでも不動の一位に君臨しているロングセラーゲームだ。

レベルとスキル制のシンプルなつくりからあらゆる職業の自由性、世界観の自由度、また胡蝶の夢とタイトルの通り、それぞれのプレイヤーに根源と呼ばれる蝶が宿り固有のギフトが与えられる。胡蝶の夢の舞台、世界を作った多くの神の中プレイヤーに興味をもった神が加護を与えるというものだ。

本筋の物語はなくそれぞれの物語が展開され、人生の一端を知れるというものらしい、時間のずれもなく胡蝶の夢の中での世界を楽しめるという事だ。
そんな自由なゲームにさきほども言うようだが、一人の男が入ってきた。

「白い空間だな」

仮想空間にダイブするための機材に自身を預け、壮大なオープニングを見ながら、キャラメイクをするための空間へと降り立った男。

最近仕事をクビになり、発達障害と診断され鬱になって自宅療養していた男の名前は黒井翔馬(くろいしょうま)

年齢は25歳で、身長は179センチ、細身の筋肉質で性格は温和、顔も10代にも見え、黒髪をマッシュルームカットにしている今時の雰囲気の男だ。

元々はサラリーマンではあったがパソコンが扱えず、色々メモをしたりなんだりしても記憶できず、様々な要因で行動ができなくなり、そのままクビとなり、心療内科にかかり、ゲームの世界にも言ってみたらとアドバイスされる。

最近のゲームの全て発達障害や精神障害という内在的な障害も感覚軽減できるようなシステムを組み込んでいるらしいので、自分の自信を取り戻したりリフレッシュするというのにも効果があるらしい。

そこらへんの話はきちんと聞いたわけではないし、いい加減に言われてそうな気もするが、まあしばらくは療養をするようには言われているので、とりあえず挑戦してみることにした。

「さてどうしたらいいんだろうか」

このゲームは別段説明書というものもなくその場その場で行動すると何かが起こるとの事だが。

「おや、旅人かね」

目の前に現れたのは白いローブを纏った穏やかな老人。

「ああ、そうでしたね、僕は旅人でしたね」

「問いかけになかなかとぼけた返答をするな、面白いね」

白いローブの老人がくくと笑うと立ち上がる。

「本来ならば道行案内人がいるはずなんだが、どうやら空間に変化があったようだな」

老人はくくと笑う。

「しかし面白い、どうやら青年に宿る蝶を無垢なるものらしい」

老人はにこりと笑う

「青年、名は?引退した身ではあるが私が世界への導き手になることにすることにしよう」

「俺の名前は黒井翔馬です」

「魂に刻まれた現実での名は危険だな、そうだなあ、無垢、そうだな、ゼロはどうかな?はじまりの零の文字だ、無垢な君にぴったしだとおもうが」

翔馬は自分のセンスはそこまでよい方ではないのでゼロの名をありがたくもらう事にした。

「さて、身体情報はリアル重視にしておくと色々と動かしやすいが容姿の髪色や瞳の色を変えるほうがいいだろうな」

老人は淡々と説明していく。

「そして世界に再誕する際に旅人、いわゆる異世界人である君たちにも固有スキルである源泉である蝶が与えられる、現地人も生まれ持ったものであるし、蝶の力によっては世界を揺るがすものもある、力の強弱など鍛え続けてれば遜色はないがね、これは改善と努力をし続ける現実の世界でも変らない事だろう」

老人はにこやかに微笑む。

老人はさらに言葉をつづける。

「生まれつき苦難があろうと精神的要素や身体的要素があろうと、この世界では現実で努力や改善をし続けた魂の規格で力も決まる、どうしてか?それはそういうものだと理解していればいい、ゼロ、君が過ごした季節はこちらの世界では無駄にはなるまい」

老人の言葉に翔馬、ゼロは胸をつかまれるような想いがした。

「仮想現実の世界ではあるが、こちらもきちんとした命があり、旅人である君たちには死はないが、こちらで生きる者達は笑いもするし哀しみもするし、生命の終わりもある、物語というには濃厚な世界もあるだろう」

老人は語る。

「君の悲しみはきっとこの世界で晴れるものと私は信じたいし、そのための力を渡そう、無垢なる力ゼロよ、根源たる蝶を宿す者よ、君の旅立ちを祝福をしよう」

旅人ゼロ。

シークレットチュートリアルクエスト
「根源知る者」をクリアしました。

シークレットクエストのためこの情報は秘匿されます。

「これは?」

「世界の声が聞こえたか、まあ引退した爺の気まぐれだ、土産程度におもいたまえ」

老人はにこりと笑う。

「さて容姿はそのままでいいのかね?もしあれならこちらで容姿を決めるが?」

「ああ、それならお願いします」

ゼロは驚きつつもお願いすることにした。

ゼロの容姿は夜の闇のような黒い髪に瞳は金色で容姿はどこかの冒険小説のような優しい風貌の青年というのがしっくりくるような雰囲気だった。

「随分と優し気な男となったな」

老人は満足そうに笑う。

「さて次は職業か、まあ色々あるが、私はこれを推しておこう」

目の前に白いボードのようなものを発現させると

創成師という職業が現れた。

「この職業は?」

「あらゆる可能性を生み出す失われた職業だ、ゼロ、君にはこの力を扱うのに適していると踏んだ、あらゆる失伝した技術を復活する可能性もある」

老人の言葉にゼロは迷う事なく選択した。

「内容をみていないのに、なかなか剛毅だな」

「元々楽しむためにきたわけだから、なんだかんだ本来選択にはない職業みたいだから」

「そうだな、本来であればない職業だな、ゼロであるからこそ改めて発現した職業でもある」

老人の言葉を聞いて職業を見る。

職業

創成師レベル1

あらゆる根源の力を扱い全てを理解する
その力はかつて世界を滅ぼすほど

「…いきなりやばそう」

「君ならば正しく使えるはずだ、心配しないでいい」

シークレットチュートリアルクエスト

「秘されし超越者の継承者」クリア

シークレットクエストのため秘匿されます。

「…ますます怖いんですが」

「まあうまくいくさ」

老人の言葉にゼロはため息をつく。

「さてでは君の蝶を覚醒させようか」

老人はにこやかに微笑むとゼロの胸の中心に触れる。

「理を超える魂の破片、その身に宿る蝶よ、汝の宿主にその姿を顕現せん」

そういうと同時にゼロの胸元から美しい七色の蝶がひらひらと発現する。

「ほう、色彩蝶か、しかもこれは殲滅級か、素晴らしいな、神をも殺す力か」

「…え?」
シークレットチュートリアルクエスト
「世界を壊す蝶顕現せし者」クリアしました

シークレットクエストのため秘匿されます

「マジでなんなん?これ?」

「はは、まあ力があることはよいことだ、生きる上での助けになる、少なくともゼロ、君は善行よりの男だと認識している、妙な事はすまい」

「まあそうですが、ゆったり冒険したいんだけどなあ」

「まあしばらくは力は隠しといた方がよいだろう、蝶の等級に関しては冒険者ギルド等で聞くといい、世界の事は私ではなく現地の人間に聞くのが醍醐味だろう」

老人はにこやかに微笑む。

「蝶の力もおのずと感覚さえ掴めば使えるからな、まあこれも奇縁だ、私の加護も与えよう」

老人はにこやかに手をかざすとゼロから白い光があふれる。

初代創成神の加護がつきました。

シークレットクエスト

「最古の神の寵児」クリア

シークレットクエストのため秘匿されます。

「お爺さんて、すごい系?」

「娘に仕事を継がせただけのただの老人だ」

老人はにやりと笑う。

「まあ君の足跡は友人から聞いているでな、君と出会って些か興味がわいた」

「友人?」

「現実名では名取、こちらでは医療神ナセリだな」

ゼロはその言葉を聞いて得心を得た、名取というのは現実世界の自分の主治医で、一応診察内容をゲーム側に話してもいいかという話しもあったわけなので問題はないが、名取先生もこのゲームに参加しているという事になるのか。背景はしらないがゲームを楽しむのであればいちいち聞く必要もないだろう。

「まあ君の事をきいて私は興味を持ち話にきただけだ、そしてこれは選別だ」

「はい?」

ゼロは神聖剣グランシャリオを手に入れた!

神聖剣グランシャリオ

初代創成神が作り上げた七つの星の力を秘めた神聖剣。
あらゆる力を自らの力に変換し宿主と共に成長する星の力を操る聖剣
現在は一つの星の力のみ使用可能

「・・・なにこれエンドコンテンツ?」

「力はある程度封印されているよ、この世界はどうにも最近きなくさくてね、使徒というわけではないが、少しはパワーバランスを崩す存在が欲しいところなんだ」

老人はくかかと笑うとゼロに向き直る。

「まあ長話は終わりだ、せっかくだ世界を楽しんでいくといい」

「すごいものをもたされた感じなんですが、楽しんできます」
「よろしい、さて座標指定をしたいとこだが、どうやら召喚術式が介入したようだ、ステータスを見て戦いにいきなさい」

「はい?」

空間に白い光があふれる

ゼロ

職業創成師レベル1

レベル1

HP100
MP20

攻撃力2000
防御力100
かしこさ90
すばやさ50
器用さ40
運20

E神聖剣グランシャリオ
E冒険者の服
E冒険者のズボン
E冒険者のサンダル

加護
初代創成神の加護(秘匿)

固有蝶
色彩蝶レベル1


発達障害当事者の詩人が色々と経験しながら生きていくかんじです。興味あれば支援してくださるとありがたいです