ワンダと巨像 レビュー
「ワンダと巨像」、PlayStation2向けに2005年に発売され人気を博し、
今尚語り継がれる名作だ。
そんなワンダと巨像をPlayStation4向けにフルリメイクした今作を
原作未プレイの自分がレビューしていこうと思う。
元祖雰囲気ゲームとも呼ばれており、独特な世界観が特徴だ。
ストーリー
主人公ワンダは、生贄となり死んでしまった少女を救うため、
決して入ってはならない「古の地」の祠に足を踏み入れた...
天からドルミンなるものの声が聞こえてくる。
「この地に住う16体の巨像を倒せば少女を蘇らせてやろう」と。
良い点
広大なフィールド
フィールドは自然豊かな草原から廃れた街や砂漠まで、
様々な地形が美しいグラフィックで作られている。
アグロ(馬)と共に駆ける草原は、なんとも言えない爽快感があり、
いつまでも走っていたいと思わせてくれる。
徹底した世界観
このゲームでは文字があまり出てこない。
出てくるのは序盤と終盤、巨像との戦いの時くらいで、
フィールド上で文字が出てくることそうはない。
また、HPゲージやスタミナゲージも小さく表示されている。
この徹底した雰囲気作りが没入感を上げ、
ユーザーを ワンダと巨像 の世界に引き込んでくれている。
上の画像は実際のプレイ画面のスクショである。
見てわかる通り、フィールド移動の際は、一切HUDが表示されておらず、
広大なフィールドを最大限楽しめるよう工夫されている。
また、このゲームにはアイテム画面などがなく、戦闘中にバックから
回復アイテムを出して回復だとか、洋ゲー特有の複雑で多いオプション項目
などもないため、ワンダと巨像の世界のみに集中できる。
分かりやすさ
このゲームの目的は基本的に「巨像を倒す」ことだけなため、
次何をすればいいのか分からなくなったりすることがまず無い。
また、敵キャラは巨像しか出てこないため、フィールドに出現する敵に手こずる
なんてこともなく、巨像との戦いのみに集中できるのも良い点だ。
巨像の位置は、剣を光にかざすことでいつでも
確認することができるため、
フィールドの広いゲームにありがちな、
どこに行けばいいのか分からない状態にならずに済む。
巨像との戦い
ワンダと巨像では、広大なフィールド各地に生息している
16体の巨像を順番に倒していく。
剣を光に反射させることで巨像の弱点を特定することができる。
弱点以外に攻撃を与えてもダメージが入らないため、どうにか弱点まで
たどり着かねばならないのだが、弱点を攻撃するのは簡単ではない。
弓で足を攻撃して倒れた所を狙ったり、谷に落として固い鎧を剥がさなくてはならなかったり。わかりやすく例えると、ゼルダの伝説の神殿=巨像だ。
謎解き要素のある、地形や巨像の形を活かした戦闘は、
プレイヤーを飽きさせることなく「ワンダと巨像」の世界に没入させてくれる。
巨像から感じる鼓動
戦闘時の巨像の迫力が素晴らしく、
本当にその場にいるかのような臨場感がある。
ただの巨像なのに生命力を感じるのはなぜだろう。
デカいボスと戦うゲームは色々とあるが、このゲームほど
ボスの巨大さと偉大さを表現したものはないだろう。
最後の一撃は、切ない。
「最後の一撃は、切ない。」
このキャッチコピーを聞いたことがある人は多いのではないだろうか。
これはワンダと巨像のCMでも使われたキャッチコピーである
ワンダの「少女を救いたい」という身勝手な理由で、何も害のない巨像を殺すのだ。最後の一撃、ゆっくりと倒れ込む巨像の姿は達成感と同時に心にくるものがある。
巨像のデザイン
16体の巨像のデザイン全てが独創的で世界観とマッチしており、
1体1体魅力が溢れている。小さく動きが素早い巨像もいれば、
デカくて一つ一つの動きが重い巨像、空を飛ぶ巨像まで。
それぞれにカッコよさがあり、必ず推しの巨像ができるだろう。
フォトモード
この記事で使用している画像は、ほとんど私がフォトモードで撮影したものだ。
色合いを変えたり、時間を夜にしたり。
変に複雑ではなく誰でも簡単に楽しめるシステムになっている。
特に良いのが、フォトモード起動の速さである。
十字キー下を押すと瞬時にフォトモードが起動するため、
ちょっとしたことでも撮影してしまう。
美しいグラフィックで描かれた自然や、幻想的な世界感も相まって、
カメラマン魂に火が付き、余裕で数時間費やしてしまうだろう。
クリア時間
私はこのゲームを5時間41分でクリアした。
短すぎるという批判の声が聞こえてきそうだが、このゲームを飽きずに楽しめる
最適な時間だと私は思う。短いがゆえにこのゲーム体験が特別なものになるのだ。
クリアまでの時間が長くて、サブストーリーが豊富なゲームが評価されがちな
今だからこそ、皆さんにこのゲームを遊んでもらいたい。
まぁ、ここでゲーマーに対する不満を嘆いても仕方がないので、
後日記事にしようと思う。
悪い点
徹底しすぎたリアル重視
ワンダはアグロ(馬)に乗る時すら少し手こずるし、
攻撃を受け倒れたら、なかなか立ち上がらない。
この鈍い人間らしい動きがこのゲームの良さでもあると思うし、好感が持てる。
このゲームにはダッシュがない。
まあダッシュがなくても地上ではアグロ(馬)がいるので
そこまで不便に思うことはないが、水中では話は別だ。
ワンダは極端に泳ぐのが遅い、本当に遅く、テンポが悪い。
潜るアクションやジャンプなどは泳ぎながらでもできるのに
早く泳ぐことができない。私はそれがストレスで一度ギブした。
リアルを重視するのはいいのだが、自分より数十倍大きい巨像を
握力だけで登れる時点で人間離れしているし、泳ぐ時のダッシュは
あって良かったと私は感じた。
すり抜けバグ
上の画像は巨像に突進され、壁にめり込んだ時のスクショだ。
私は4回ほどしか起こらなかったが、このゲームは地面や壁にめり込んだり、
巨像の中にすり抜けたり、ワンダが右から左に物凄いスピードで揺れたりと、
多少バグが多かったように思う。
特に地面にめり込んでしまった場合は、奈落に落ちて死ぬしか選択肢がないため、
巨像のHPをだいぶ削ったときにバグが起きたら、絶望するだろう。
説明を削りすぎ
ある巨像との戦いで、松明を拾って巨像に当てるというイベントがあるのだが、
アイテムの拾い方など一度も説明されていないので、どうしようもない。
適当にボタンを押していても、敵はこちらの状況など考えもせず
突進してくるわけだ。私は拾い方がわからず、最終的に攻略を見た。
作中の文字や説明を省いて、雰囲気を作っているのは分かるのだが、
ゲーム内で必須になるアクションは絶対に説明するべきた。
攻略を見ずにクリアをしたかった私はここで結構落胆した。
総評
ワンダと巨像の世界に没入させるための徹底したゲーム作りは素晴らしいが、進行不能になるバグや、説明不足による
遊びにくさなどの問題点によって、素晴らしいゲーム体験を
少し窮屈なものにしてしまっている。
巨像との戦いは、ゼルダのような謎解きをうまく活用しており、巨像の形や地形を上手く活かした戦闘は、
プレイヤーを飽きさせることなく夢中にさせてくれた。
クリア時間が短いのを否定する人がいるかも知れないが
この作品を飽きることなく最大限楽しむには最適な時間だと思う。この短いゲーム体験が、多くのユーザーの心に残っているのは、本当にすごいと思うし、名作と言われるのもうなずける。
以上、ワンダと巨像のレビューでした、
初めてのレビューで至らない点、たくさんあったと思います。
ここまで読んでもらえて嬉しいです。またよろしくお願いします