見出し画像

酔っ払い客への対処は慎重に!

1乗務でひとりかふたりは必ず泥酔客に遭遇します。運転手と泥酔客のトラブルは、ほとんどが「言葉遣いが悪い」といった些細な事から始まります。なので、僕は、酔っぱらっているなと感じたお客さんには特に丁寧に接していました。そのおかげか、大きなトラブルはありませんでした。むしろ丁寧に接するとお客さんに気に入られ、後日携帯に送迎指名の電話が入るようになったのです。

1か月に1回あるかないかですが、途中で熟睡するお客さんもいます。帰宅先が家族住まいの家ならピンポンを鳴らし、家族の方に運び出しや料金精算をお願いします。他方、相手の家がわからない段階で熟睡されちゃったり、一人暮らしの場合は非常に困ります。お客さんの体を揺さぶりたいのはやまやまですが、会社の規定で「お客の体には絶対に触れるな」としている会社が多いとようです。触ったことで、あとから「財布を取られた」などと因縁つけられたりするケースがしばしばあるからだそうですし、女性客だと「変なところ触られた」なんていう苦情も想定されます。そういう場合は、近くの交番にクルマを回し、警察官に協力してもらうのが一番です。

泥酔客を乗せると途中で嘔吐されることも想定しておかないといけません。僕は、やばそうだなというお客さんを乗せたら、すぐにコンビニ袋を渡しますが、それでも社内には吐かれることはよくあり、そうなると車内の清掃をしなければなりません。床マットや座席のシーツに吐かれたら、基本的にその日は営業終了となります。お客さんを降ろした後、汚れたシーツを取り、床マットは公衆トイレで洗い、消臭剤で臭いを消します。汚れたのがシーツぐらいだったら、それを取っ払った状態で営業を続けることが可能です。座席にシーツがついてないことを指摘するお客さんはまずいません。

ちなみに僕の所属していた杉並交通では、吐いた人から罰金を取ることはありませんでした。各タクシー組合でも罰則は設けていないはずです。もしタクシー運転手から罰金を請求されたときは、その運転手の要望にすぎないケースだと思うので、気持ち悪くて具合が悪い状態でしょうけど、その辺をしっかり確認することが大事です。

こんなこともありました。歌舞伎町で、酔いつぶれた仲間をタクシーに乗せようとしている集団にあたりました。断ろうと思いましたが、行先を聞いてみると横浜青葉台とのこと。長距離、1万2千円の万収です。ちゃんと住所がわかればおいしいケースです。

こういうときは本人に聞いてもわからないので、一緒にいる仲間に調べてもらいます。まずは免許証などでの住所確認。次にクレジットカードや現金を持っているかどうかも確認してもらいますが、持っていたとしても、泥酔者とのやりとりではあとあと問題になるかもしれません。ですので、家族と同居かどうか聞き、同居だったら家の電話番号がわかるかどうかまで調べてもらいます。電話番号がわかったら、走り出す前に電話し、家族に事情を伝え、乗せていった大丈夫かどうかを確認します。これで金銭的の問題も解決です。あとは嘔吐対策のコンビニ袋を渡して、出発です。

いいなと思ったら応援しよう!