「納税」の意義
皆さん、こんにちは。
税理士ラベンダーです。
3月12日の投稿では、アクシデントがありました。
過去における記事と投稿したばかりの記事を削除してしまい、急遽、書き直し作業をしたりと大変な状況でした。
というのも、マガジンを作ろうとしてファイリング中、違ったところにファイルしてしまい、それを直そうと記事を「削除」をしたら、元記事自体が消えてしまいました。
皆さんも、マガジンを作るときはご注意ください。
もっとも、皆さんは私ほどドジではないと思いますが・・・。
さて、最近はずっと税務に関する記事ばかりだったので、今回は少し離れてコラムを書きたいと思います。
今年の申告期限は終了しましたが、毎年、この時期は大変な思いで申告作業をされていると思います。
そこで、今回は知っているようで知らない「納税の意義」について、投稿したいと思います。
少しでも、皆さんの心理的負担の軽減に役立てれば、幸いです。
1.日本国憲法とは
紐解けば、まず「日本国憲法」から説明しなければなりません。
私たちも中学生の頃「国民主権、基本的人権の尊重、平和主義」ぐらいはよくわからないまま頭に叩きこまれたと思います。
そこでまず、憲法とは何か?
憲法とは、日本に存在するあらゆる法律を統括する「最高法規」であり、憲法第3章では、その殆どが国民の「権利・自由」を規定しています。
2.国民の権利と義務
憲法第3章では「基本的人権の尊重」「幸福追求権」「学問の自由」「職業選択の自由」など、私たちの生活に必要な「権利」について規定されていますが、それと同時に3つだけ、国民の「義務」も規定されています。
これが「教育」「勤労」「納税」です。
では、なぜ、これらが義務なのでしょうか?
すべての国民がきちんとした教育を受け(教育の義務)、そして社会に出て働き(勤労の義務)、納税する(納税の義務)ことは、この国を成り立たせる上でとても大切なことなのです。
言うまでもなく、税金は公共サービスの財源となります。
つまり、医療、福祉、介護、年金、教育、警察など、私たち一人一人が安心・安全に暮らすために必要な財源であり、そのための税金なのです。
そして、私たちはこの国の「主権者」です。
主権者とは「国を統治する権利、最高決定権を有する者」のこと。
つまり、私たち国民が、この国の「主役」なのです。
その主役の私たちが、私たちの安心・安全な暮らしのために「納税の義務」があるということなのです。
3.議会の存在
そして、その税金の使い道を決めるのが「議会」です。
国なら「国会」、都や県なら「都議会」「県議会」、区や市なら「区議会」「市議会」の議員たちが、税金の使い道を決める。
本来なら、私たち国民が直接議会に赴き、税金の使い道を決めるべきものです。しかし実際それができない以上、「選挙権」という権利を行使して、私たちのために使う予算を考える「議員」を選ばねばなりません。
このように「納税」と「選挙」というのは、密接な関係があると言ってもいいでしょう。
4.選挙の意義
選挙に行くのが面倒というのも、分かります。
ですが、投票をしないと言うことは、今の税金の使い方、今の生活に満足しているという「白紙委任」の意思表示にもなります。
日本の税金・社会福祉の国民負担率は、令和6年度は45.1%です。
負担率が高いといわれている北欧諸国、例えばスウェーデンは55%の負担率です。しかし、スウェーデンは国の借金もなく、おまけに国民の数が1000万人程度。
日本と比べ、僅か10%程度の負担増で、医療・年金の充実、大学生までの教育費無料など、高社会福祉国家として国民一人一人が豊かな生活・満足な生活を送れています。
繰り返します。
税金の使い道を決めるのは「議会」です。
そして、議会の決定を受けて、実働的に働くのが官僚や役所の人達です。
つまり、私たちの意見を聞き「税金の使い道」をきちんと考えてくれる人を「議員」として選ばなければ、議会は形骸化され、議員、官僚や役所の思うままに運用される可能性もあるのです。
そして、憲法第99条には「憲法遵守義務」と言って、議員及び公務員に、憲法を尊重し擁護する義務が課されており、その義務を理解している人を選ばねばなりません。
それが、私たちの「自由・権利」を保証することにつながるのです。
5.終わりに
国・自治体でも、企業と同じように会計監査する機関があります。
国なら会計検査院、地方公共団体では地方公共監査制度を導入し、ある程度、税金の使い方の適正化を図る動きもあります。
私も自治体の監視委員会の委員として、意見を言う機会を与えられています。
しかし、日本は税金を徴収することには厳しくても、使い方に意見を言う、あるいは監視するシステムが少なすぎると感じます。
私たちの税金は、主権者である私たちのために使う。
これが大原則、そこに「納税の意義」があると、理解して頂けたら幸いです。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
(参考文献)
日本国憲法 | e-Gov法令検索
国民負担率
国際比較 sy202402b.pdf (mof.go.jp)
sy202402c.pdf (mof.go.jp)
租税法 金子宏 著
中高生のための憲法教室 伊藤真 著
税理士ラベンダー
24.4.2
追記 マガジンを今日から閲覧できます。