eスポーツの税金 Q&A
2019.11.19更新
Q1.
eスポーツの大会で「仕事の報酬」として支払われる賞金は、一時所得と雑所得のどちらになるのか。はたまた、ケースによって両方になり得るとしたら、どういう要件か。
A1.
概略的に言うと、専業プロゲーマーは事業所得、兼業プロゲーマーとセミプロゲーマーは雑所得、趣味の延長線上の一般ゲーマーは一時所得に分類される可能性が高いです。
一時所得は、対価性のない偶発的・臨時的な所得が該当するため、「仕事の報酬※」として支払われる賞金であれば、事業所得か雑所得のいずれかの所得区分になります。
実務上は、個別事情を斟酌して複数要件に照らして総合的に判断されます。詳細についてはQ3をご参照ください。
※ここでいう「仕事の報酬」とは、「営利を目的とする継続的行為から生じた所得」のことをいい、景品表示法第4条の規定の適用対象に関する議論における「仕事の報酬等」の概念とは異なります。
参考法令:
所法27①、34①、35①、所令65、所基通34-1
Q2.
eスポーツの選手がゲーミングチームに所属した場合の契約金は臨時所得になるのか。
A2.
ゲーミングチームに所属した場合の契約金(更新料・移籍金等を含む)については、その契約が3年以上の専属契約で、その契約金額が年俸(契約締結の際に見積もった平年額をいう)の2倍以上である場合には、臨時所得に該当します。
例えば、3年契約の契約金が1,000万円である場合、チームからの年俸が500万円以下であれば臨時所得になり、総所得金額が5,000万円以下であれば、平均課税制度を適用して節税も可能です。
なお、そのチームと雇用契約を締結し、年俸が給与所得として取り扱われたとしても、契約金は雑所得として臨時所得の対象になります。
また、過去に平均課税制度の適用もれがある場合、更正の請求により、5年前まで遡って還付請求が可能です。
参考法令:
所法2①24、90、所令8、所基通2-33、2-34、204-29、204-30、通則法23①
Q3.
①消費者庁はeスポ賞金は景表法上「仕事の報酬」であると法律上明確に位置付けています。
②JeSU浜村副会長はプロ制度の創設当初からJeSUライセンスは「ゲームを生業とする者としての証明」として説明しています。
この辺の与件が税務に影響を与えるのか。
A3.
①②ともに、税務判断に直接的な影響を与えないものと思料されるため、JeSUのライセンスを保有していることによる、税務的なメリットはありません。
所得税法における所得区分、景品表示法第4条の議論に関する「仕事の報酬等」、JeSUが発行するジャパン・eスポーツ・プロライセンスについて、それぞれの要件を下表にて整理したところ、要件の類似性は認められるものの、直接的に紐づく程の関連性は確認できませんでした。
参考法令等:
法令適用事前確認手続照会書及び回答通知書(消表対620号)、景品表示法4、景品表示法第二条の規定により景品類及び表示を指定する件1、景品類等の指定の告示の運用基準について5(3)
参考判例:
国税不服審判所(平成26年9月1日裁決)
http://www.kfs.go.jp/service/JP/96/03/index.html
国税不服審判所(平成30年3月22日裁決)
http://www.kfs.go.jp/service/JP/110/09/index.html