私の解離と沈没船

私はすぐ解離するので、メールアドレスやパスワードはいざというときに見るノートに全部書いてある。
さっきnoteのアカウントを新しく作ろうと思ったらヤフメのアドレスがどうしてもわからなかった。
焦った。
でも、そういうことには慣れているので冷静になったら思い出せた。

昨日からTwitterが大騒ぎになっている。
タイタニック放映後だ。

人々が、沈みゆく船に乗っているようだと言った。
或いは最後まで演奏し続けた楽団のような気持ちだ、と呟いていた。

そんなとき私は伝わりやすいコミュニケーションの方法を覚えたところだった。
1ヶ月程、脳が過覚醒になってちっとも眠れないという状況だ。
気を紛らわせていたTwitterもろくに使えない。眠気も酷い。身体の疲労も溜まっている。
もう諦めて携帯を置いて横になって目を閉じた。

目を閉じるのが怖くて不安で不眠症が悪化していたけど、あまりに眠れなくてもうどうでもよかった。
とにかく少しでも刺激を遮断して目と脳と身体を休める時間を作らなければ。

そんな気持ちで、気づいたら空の色が、飲み帰りに見るそれだった。
もう少し眠ろう、と思って目を瞑ると次は朝になっていた。
そうして1時間ごとに目を覚ましながら、何年振りだろうか。眠剤なしで7時間眠った。

Twitterを開いたらメイン垢ではまたツイートが見られるようになっていた。
ブラウザで検索したら、どうやら大騒ぎになっているようだった。

文句を言う人、焦っている人、依存症を自覚する人、終わりだと言っている人、このまま心中するつもりだと普段通りにツイートを続ける人、ツイート予約だろうか、いつも通りに運用されている企業アカウント、何事もないかのように表示され続けているプロモーション。
一番怒っていたのは課金勢だった。
ニュースアカウントのリプ欄に似顔絵アイコンの普段なら忌み嫌われるような人たちが愚痴を言っていた。

いくらお金を払っても、いくら発信し続けても、見る人がいなければ何の意味もない。そして今、外で叫んでいる人が我が家の近所にいる。情けない声をあげている。
まだ陽のあるうちだというのにどうしたことだろうか。

それはそうと、沈みゆくTLを眺めてみると私の人生そのものなのであった。

誰にもわかってもらえない、ただ1人で呟き続けるような、遂には口も塞がれるような、そんな時期があった。
覚えているだろうか。
ちょうど一年前のこの頃、大規模な通信障害が起こったことを。

私は当時難しい状態だった。
一人暮らしで頼る人もなく飲みに行くか唯一の友達と連絡を取るだけの日々だった私にとって、通信障害で全ての連絡が取れなくなるということはこの世の終わりだった。
携帯が信用できないなら、時間も日付も信用できなくなり検索してもその内容が信じられず、最後には空の色だけ見て時間帯を予測していた。
都会の空は明るい。
真っ暗にはならない。
そうして何もわからなくなっていく状態を、機能しなくなったTwitterであらゆる人があらゆる反応を見せ、とうとう虚空に向かって呟くこともできなくなったのである。

人は簡単におかしくなった。
皮肉にも一年前の自分を認められる状況となったわけだ。

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