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#12 「〇〇させる」を徹底的にやめる(前編)

『ホームスクールをあたりまえに生きてる』エッセイ 第12弾
徹底的に「〇〇させる」をやめる 前編です。
 中編はこちら。後編はこちらまとめ編はこちら。


 「読み・書き・計算」さえあれば、とはよく耳にすることですね。
 ですが、それさえも「〇〇させる」意識は捨てるように心がけてきました。

読むこと

 幼少期で思い出すのは、やはり「読み聞かせ」です。でも、読み聞かせというと、「親が子にしてあげること」のような雰囲気がありますね。それだとなんだか義務感が必要になりそうで、気おくれします。

 私自身が本が大好きでした。幼稚園は2年保育のお寺系の私立幼稚園を通いましたが、入園まえからすでに区立図書館を訪れては座り込んで分厚い本を読んでいたことを覚えています。絵本を読んだ記憶はあまりありません。

 絵本はとても素敵です。絵が素敵です。言葉のリズムが素敵です。
 そんな絵本をこどもと笑い合いながら共有する時間を持つことが、きっとしあわせな時間なんだと思います。


 ある時、幼児向けのちいさくて薄い絵本を、ページの終わりからさかさまに読んでいくということをしました。なぜ、そんなことを思いついたかというと、当時たしか3,4歳頃の子が絵本を読むことにさほど興味をしめさなかったことがきっかけでした。
 「おもしろくしたい」。
 ただその一心で、やってみました。
 すると、それが大うけしました!絵本にあまり興味のない3,4歳の子が、私と一緒に大笑いです。一緒に絵本を読んだ楽しい時間を過ごすことができました。


 また、ある子はまったく「文字を追う」ことに興味が無く、図書館で選ぶ本は「物探し」の類でした。私はこういった本は手にとったことがなかったので、子が指定の探し物を、細かいイラストや写真のなかから見つけ出すさまを感心して眺めていました。その本は何度も何度も借りることになりました。
 この子は、長いこと「文章を読む」ような読み方をしませんでした。
 ところが、なにがきっかけだったのか。
 初めて読んだ、本と言える本は『ハリーポッター』シリーズです。6歳頃でした。
 こんなこともあるんだと驚いたエピソードです。


 あまり絵本を読まなかった子は、大きくなってからも小説を読むこともありませんでした。読み進めていると、どの行を読んでいたのか見失うのだといいます。
 ある時、本好きの子が、この子が好きなアニメの原作を勧めたようです。
 本好きな子は、周りの人にも本を好きになってほしい、本を読む楽しさを知ってほしいと思うようです。
 すると。

 それまで絵本を飛び越えて、児童書はそれなりに数多くシリーズものを好んで読んでいたものの、ライトノベルまでは進まなかった子が、気づけばアニメの原作というやや厚い本のシリーズを読むようになりました。
 「読みたい」気持ちはずっとあったけれど、なかなか読むことがなかったのは、きっかけを待っていたような感じです。
 きっかけを作ったのは、本好きのキョウダイだったというわけですね。


 「読むこと」の目標に、読解力と語彙力を考えますが、その基準に私は「新聞を読むことができる」を掲げています。それで時折、新聞を定期購読したり、そうでないときも不定期に買ってきたりします。
 よく新聞を読むのは、アニメ原作好きな子と、あのいきなりハリーポッターを読み始めた子です。どちらかというと「読みが苦手かな?」と思っていた子たちです。
 他のふたりはまたライトノベルをよく読みます。
 紙の本だけでなく、電子書籍も読めるようです。私は紙の本オンリーですけれどもね。

 漫画は、家族全員だいすきです。


 字はいたるところに発見できます。
 字はどこにいても溢れています。
 字に触れないでいることは難しいですね。

 家族みんなで観る洋画は字幕で観ることが多かったです。まだ下の子が字が読めなかった頃は、上の子が字幕を読み上げていました。
 字幕を読み上げている声を誰も「うるさいよ」なんて言いませんでした。
 そうしていつしかすっかり字幕を追えるようになっていました。



 「読めるようになる」時期を急いだりはしません。
 字が読めるようになると…、字を読んでしまうからです。
 字を読む前の、字の無い世界には戻ることはなかなか難しいです。

 まだ字が読めないうちのこどもの世界はとてもすばらしいものです。
 目に映る世界のすべての表現を受け止めています。
 「字」や「言葉」に変換されるまえのありのままの世界の姿を目に映しています。「あれは〇〇」といった理屈での理解とは違います。まさに理屈抜きで理解し、受け容れている様子が感じられます。「字」以上に、「言葉」以上に、すばらしい表現力が生まれる瞬間です。

 そのすばらしさを目にしてから、その間に育つ感性をとてもとても大切にしなければならないと思いました。
 字が読めるまでの時間はとても短いのです。

 

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「ホームスクールをあたりまえに生きてる」シリーズを集めたマガジン 2022年5月スタート。 更新中。基本的に全文公開としています。 気に入…

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