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#6 所有する意識はなくていいな
『ホームスクールをあたりまえに生きてる』エッセイ 第6弾です。
所有する”意識はなくていいな
我が家はよく引っ越しを繰り返しているのですが、ある家ではベランダにハンモックを吊り下げていました。まっしろなハンモックで、ベランダの屋根の下で影になりましたので、海から届く風にあたりながら、誰かがそこで読書していたり、昼寝をしていたりするのでした。
ところで、その家は隣との庭の境界線がありませんでした。加えて、我が家のベランダは駐車場に面していて、誰でもそのハンモックが目に止まるのでした。とはいえ、通常の感覚では、境界線がなくともなんとなく「ここから他人の家の庭だな」と理解できる…はずなのですが。
おもしろいことに、どこからともなくこどもたちがやってきて、いつのまにかそのハンモックをブランコ代わりにして遊んでいるのです。
最初は驚きました。
「え、ちょっとまって。こういうときは…
『おばちゃーん、外のハンモックで遊んでもいい?』って、訊ねてくるもんじゃない?」
そう思いましたもの。
知っている子もいれば、まったく知らない子もいます。
時には、「こどもたちだけできたの?親はどこ?」と思うような5歳未満のキョウダイ二人が夕方過ぎるまでそこで遊んでいることもありました。
そこは少し丘にあがった上にある団地集落だったので、ふもとに元々の集落があります。団地内の広場に遊びにきている感覚と似ているのでしょうか。広場といっても…完全に他人の家の庭なのですけれども。
「借りる」。そういう感覚をここでは持ち合わせていなかったんですね。
これは学校でも先生方が持っている問題意識でした。
例えば、学校で共有の水道。そこにホースがつながっていて、確かに誰もが使える状態になっています。
が、どうでしょう。
わたしなどの感覚では、「学校にある(学校所有)もの」「生徒が使う」という条件がそろえば、自動的に「生徒が使うときは、先生に許可を取ってから」という行動が身についています。
言い換えると
「みんなのものは、個人が勝手につかってはいけない」感覚を持たされているんですね。どちらがよいというハナシではありません。
日本的な感覚なものですから、ここ沖縄の学校に勤める先生方としては「常識的な観念」として、「それではいけないよ」と教えなければならないわけです。それを問題意識として持っていました。
でもね。
沖縄のこどもたち(少なくとも、この限界集落に住むこどもたち)は、
「みんなのものは、だれでも、好きな時に、使ってよい。だって、みんなのものなのだから。わたしにも、あなたにも、だれにでもそれを使う権利がある」というわけです。かつては「沖縄は個人主義だ」と言われていたのを思い出しました。
所有する意識を持たないでいようとすると、これがかなり気楽になれるんですね。あまりその”物”に執着しないでいられます。ともすれば「諸行無常」の境地とでもいうんでしょうか。
ハンモックを使うルールを、もしも「我が家で使うルール」で決めていたとしたら、たぶん「長く使えるように気をつける」を優先していたと思います。それがわたしの性格だと思いますし、せっかくのいただきものでしたし、大切に長く使いたいと自然に思います。
でも、”ウチのモノですから”感覚をやめると、どこのだれがハンモックと使っていても、ハンモックがどうなろうが気にならなくなりました。ともかく楽しく使ってくれていることのほうが、こちらもうれしくなりました。
ただ、やっぱり予想以上に早く壊れてしまいましたけれど、それはそれで「しっかり使ってもらってよかったね」で済むものでした。少なくとも、たのしい遊び場が提供できたよろこびのほうが大きかった気がします。
ハンモック目的にやってきていたこどもたちは、知っている子は同じ学校に通うこどもたちで、見知らぬ子は、その親戚の子だったりしました。彼らとは顔見知りでもあるし、遊び友達でもあります。もちろん、その当時も我が家はホームスクール暮らしでした。
ちいさな学校でしたので、なにか行事があると、気軽に先生方は連絡をくださり、自由参加ができました。わたしたちは在籍生徒としてではなく、地域に住むこどもとおとなのひとりとして、そこに参加していたのです。
その関わりかたは、とても素敵なものでした。
負の面も、後には起こりましたけれど、それはまた別の機会に、別のテーマでお話できたらいいな。
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ホームスクールをあたりまえに生きてる
「ホームスクールをあたりまえに生きてる」シリーズを集めたマガジン 2022年5月スタート。 更新中。基本的に全文公開としています。 気に入…
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