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休校要請から~その⑤ 「休校特別措置」と「不登校支援の在り方」の狭間で

 一斉休校要請から始まった学習支援サービス無償提供は、学校教育の形態が教室という場を飛び出して、オンライン授業やオンライン学習で継続する期待を生みました。それは、不登校支援の在り方のひとつ(『不登校児童生徒が自宅においてIT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱い(平成17年(2005年)通知廃止、令和元年(2019年)新通知)でもあり、従来の授業形態とは異なった形態での学習方法が適した児童生徒への支援の在り方のひとつでもあり、学校教育とは異なった自由教育(オルタナティブ教育)、オープンエデュケーションの形態のひとつでもありました。それぞれに重なる部分集合のキーワードが『オンライン・ツール』なのです。それだけに寄せられる期待の実態は多面的であるといえます。

 関連note:『休校要請から~』シリーズ
休校要請から~その①学習支援サービス無償提供~
休校要請から~その②公教育と平等性~
休校要請から~その③「休校延長」と「学校再開」の間~
休校要請から~その④ 休校特別措置「出席停止」ってなんですか?
休校要請から~その⑥ リモート学習と家庭学習の発展(前編)

その④を前編とし、その後編です。


オンライン学習へのアプローチと期待いろいろ

1出席停止中の学習の保障
2不登校支援および長期欠席児童生徒の学習支援
3在宅学習(ラーニング・アット・ホーム)ツール
4スペシャルニーズ教育の学習ツール

 他にもあるかもしれませんが、ひとまず私の周りで見えることを例に取り上げることにします。それぞれについてイメージを具体的に創ってみましょう。

1 出席停止中の学習の保障

 note『休校要請から~その④ 休校特別措置「出席停止」ってなんですか?』のなかで、私は、「出席停止」扱いを感染症対策の特例措置という位置づけで解釈しました。出席停止中の児童生徒は下記の通り、学習に対する支援その他の教育上必要な措置を講ずる対象ということになります。実際に、授業となる日数とならない期間においても、学習を止めない方策が練られることになりました。

市町村の教育委員会は、出席停止の命令に係る児童の出席停止の期間における学習に対する支援その他の教育上必要な措置を講ずるものとする。
(学校教育法第35条第4項)

 そのなかで突如として追加されたのは「積極的にICT活用をすること」という趣旨です。この背景には、政策としてのICT成長戦略があります。総務省いおいては教育分野におけるICT推進があります。前身は「フューチャースクール推進事業」でしょうか。プログラミング教育の啓もうから始まりました。経済産業省からはテクノロジー・ファーストとする「未来の教室」Edtech提言により『個別最適化』の概念が登場し、社会課題解決政策にのっとり、新たな教育プログラムの推進を目指しています。文科省は、教育分野の管轄としてこれと連携した『GIGAスクール構想』を立て、コロナ感染拡大予防対策に関わる一斉休校措置に伴い、これを前倒しで進める方針を固めました。

 コロナ感染拡大予防対策として、新しい生活様式に見られるように、飛沫防止を目的として人との距離を保持する形態として「オンライン」ツールは非常に理に適っているものと認識されました。
 休校期間中あるいは出席停止期間中、もしくは感染拡大予防を理由とする家庭からの自主的な欠席中の在宅学習ツールとして「オンライン授業・オンライン学習」が期待されています。

 これは従来の「教室で授業を受ける」形態を脱した新たな学校教育の形態です。


2 不登校支援および長期欠席児童生徒の学習支援

 koakgeからもいくどもお伝えしてきた通り、不登校児童生徒の支援の在りかたのひとつに IT学習等の学習を指導要録上の出席扱いにする要望(※1note )があり、それは平成17年(2005年)通知に始まり、令和元年(2019年)の新通知(※2)においては若干の内容を変更しつつ、文科省としても長らく認識されている実情です。

 これは適応教室改め教育支援センター等の施設における不登校支援のひとつです。令和元年10月の新通知により、下記の内容が周知され、既存の通知等もその内容に沿い、廃止や変更がなされました。

当該児童生徒が現在において登校を希望しているか否かにかかわらず,自ら登校を希望した際に,円滑な学校復帰が可能となるような学習活動であり,〔「学校への復帰に向けての取組であることを前提とし,」より変更〕

一部抜粋『不登校児童生徒が自宅においてICT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱いについて』新通知による変更点

 学習指導要領に沿った厳密な学習課程の履修が課されることは無く、学習意欲を持つことや集団教育への適応が動機といえます。小中学校においては一日も登校していなくても卒業できますから、該当する学年に相当する学習内容をそのまま履修することが目的にはなりません。これは不登校特例校の学習課程においても同様であると解釈しています。
 民間教育機関や不登校支援のフリースクールにおいても、学習面だけでなく自己肯定感や自尊心の回復など、学校環境や人間関係などあらゆる要因によって傷ついた心をケアすることが最優先である面を持ちます。

 不登校児童生徒や長期欠席児童生徒への支援には、学校で受ける授業と同様あるいは同等の学習内容に取り組むとしても、その手段や方法は多岐に富む必要がありますし、配慮と工夫が求めれられることでしょう。学期ごとのカリキュラム消化が目的となることはほとんどないでしょうし、学校の授業を再現するかのような生活指導が厳しく守られることが優先されるはずもないでしょう。「学校」や「先生」「勉強」という単語に抵抗を感じることもあるのです。
 単純に「学校に行かないなら、別の場所で勉強すればよい」と考えて、学習手段を提供することだけが支援にはならないということです。

尚、『不登校児童生徒が自宅においてICT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱いについて(通知)』によれば、ICTツールの提供者は在籍する学校でなくてもよく、民間の教育機関による提供で可能です。ただし「出席扱い」とみなす要件があります。しかし、その要件は厳守されているより参考程度かもしれません。それぞれ児童生徒がおかれた状況や家庭の要望をふまえ、各学校長による裁量判断が大きく占めます。


3 在宅学習(ラーニング・アット・ホーム)ツール

 ホームスクーリングで学校教育の学習課程を学習に活用する動機と活用例して、下記のケースが想定されることを書きました。(ここでいうホームスクーリングは、普通教育のうちの自由教育(オルタナティブ教育)という認識です。)

 ホームスクーリングのカリキュラムとして
〇学校教育の教科学習の習得を目的にする
〇全履修を終えることを目標とする
〇一部課程の履修を目標とする

 スクールアットホームの在宅学習として
〇教科履修を目的に進学や転学のため活用する
〇学校の教育方法を知り、身につけることを目的にする
〇学校教育の履修とみなされることを目標とする

 アンスクーリングの活用として
〇必要な分野を理解するための基礎教育として一部を活用する

 学校に登校する以外の方法として〔塾に通う・家庭教師に学ぶ・独習する・通信教育で学ぶ・コミュニティでまなびあう・学習支援事業を利用する〕などさまざまな可能性が考えられますが、インターネットの活用は手段のひとつです。独学用に活用できるサイトは昔からありますし、有料の学習サイトや、諸外国の教育プログラムを利用するという方法もあるからです。オープンエデュケーションの概念がそれを助けます。
 これらのことからもわかるように、オンライン学習の提供者は在籍する学校がその設置者とは限らない学習環境が可能であるということです。

 また、そのうえで在籍する一条校で「出席扱い」を要望するのであれば、その要件は上記の『・・・ICT等を活用した学習活動・・・』通知に沿うものとなります。「出席扱い」は卒業要件ではありませんので必ずしもすべてのホームスクール家庭がそれを要望するものでもありません。


4 スペシャルニーズ教育の学習ツール

 特別な支援を必要とする学習者のための教育方法、多種多様な学習ツールの活用や手段を用いた環境整備のことをいいます。その学習ツールのうち、ICT機器は有効な手段のひとつに広く認識されています。ICT機器で【すべて】の支援がカバーできるわけではありませんが、有効な手段のひとつとして学校現場でも児童生徒のニーズに応じて、誰もが使える仕組み作りとしてインクルーシブ教育への関心が高まっていると思われます。
 一律に、同様のツールを全員が利用する許可が与えられることで「誰もが使える」ようになることとは違います。【必要のある人が、必要なモノ・コトを、必要な時に使う】ことができる寛容な社会実現です。

 スペシャルニーズ教育の要望として主にあげられることは、学校教育で受けることができる学習内容を、支援の必要性に応じてカスタマイズして活用できるようにする、ということです。
 これは学校教育を受ける方法のひとつです。

 ただし、スペシャルニーズの要望を持つ人は学校教育の受益者だけとは限りません。学校教育以外の多様な学びのなかにも確かにいることを忘れてはいけません。
 これは学習方法や手段の多様性の受け入れのことです。

 4つの側面を眺めてみれば「オンライン授業・オンライン学習」への期待は多様であり、その方法や手段、動機もさまざまであることがわかります。それぞれのアプローチにかなった、それぞれのオンライン学習のありかたが問われているのではありません。どのアプローチからも活用できる「オンライン学習」は、すなわちオープンエデュケーションの期待といえるかもしれません。


家庭学習課題は「宿題」か、それとも「学習の保障」か

 ここでは前述の「1 出席停止中の学習の保障」としてのオンライン学習について理解を深めていきたいと思います。
 休校期間中は、まず最初に民間からの学習の機会の提供が高まりました。「学びの機会」が奪われないことの重要性が確認されたのではないでしょうか。次に、長引く休校、再休校の状況をふまえて、在籍校からの家庭学習課題が課されるようになりました。児童生徒に提供される「学びの機会」の内容は、文科省による「Q&A」がそれを示しています。

各学校が休業期間中に課す家庭学習については、登校再開後の授業への円滑な接続を見据え、主たる教材である教科書を中心に、教科書と併用できる教材等を適切に組み合わせたものとして課し、学校の指導計画の下で、その学習状況や成果を把握し指導や学習の改善に努めることが重要と考えています。


 家庭学習課題は、家庭からは学校から出された「宿題」とみなされる傾向が強かったようです。宿題に対する姿勢として「宿題を提出する」「宿題に取り組む」「宿題はすべて完成させる」ことが慣習的にあったため、それと同様の取り組みが当然として受け止められた家庭も多く、負担が増したものと思われます。
 文科省の指導に忠実に従えば、学校の先生がすることには、学習指導要領を踏まえた学習内容を家庭学習向けにつくり直して家庭に提供し、家庭で児童生徒の学習機会を保障する取り組みに協力していただくのですから、大変な知識と労力と、児童生徒への想いの強さがうかがえます。

 しかしながら、実態としては、学校と家庭の普段からの連携や関係性が浮き彫りになる結果になったといえました。学校と家庭が、上下関係や教育の丸投げのようなものではなく、対等に話し合いができ、相談ができ、信頼できる相互の関係性があるのであれば、家庭にも児童生徒本人の過度な負担にしない柔軟な対応ができた家庭も少なくなかったでしょう。

 果たして、一連の家庭学習課題は「宿題」だったのでしょうか。


学習の保障

 文科省による「Q&A」を読み解くと、休校中の家庭学習課題の趣旨が明確になります。これは学校教育を受ける機会の保障です。

 学習評価に反映することができるとすると同時に、その要件が示されていることになります。

問3 臨時休業期間中に実施した家庭学習の内容を、当該児童生徒の学習評価に反映してよいか。

○ 臨時休業に伴い学校に登校できない児童生徒に対しては、指導計画等を踏まえながら家庭学習を課し、教師がその学習状況や成果を確認し、学校における学習評価に反映することができます。
○ 各学校が休業期間中に課す家庭学習については、登校再開後の授業への円滑な接続を見据え、主たる教材である教科書を中心に、教科書と併用できる教材等を適切に組み合わせたものとして課し、学校の指導計画の下で、その学習状況や成果を把握し指導や学習の改善に努めることが重要と考えています。
○ このような観点から、令和2年4月10日付け初等中等教育局長通知「新型コロナウイルス感染症対策のための臨時休業等に伴い学校に登校できない児童生徒の学習指導について」では、家庭での学習状況及び成果の把握の方法を例示していますが、その中では、
 ①ワークブックや書き込み式のプリントの活用、レポートの作成、登校日における学習状況確認のための小テストの実施など家庭での学習を支えつつ、その学習状況を適切に把握するための取組に加えて、
 ②作成したレポートに対する教師のフィーバックや児童生徒自身によるノートへの学びの振り返りの記録など、家庭学習の成果を児童生徒が自覚して次の学習や指導に生かしていくための、いわゆる指導と評価の一体化に資する取組も併せてお示ししているところです。
○ 文部科学省としても、このような各学校における指導と評価の一体化を通じた家庭学習の充実の取組を支援する観点から、①文部科学省ホームページでの「子供の学び応援サイト」の開設や②教科書発行者に対し、教科書の内容に対応した動画やワークシート等の教材の整理、ホームページ等での周知を依頼するなどの取組を行っているところであり、引き続き、これらの取組を充実してまいります。


 学校教育の学習課程の履修は、評定に置き換えられます。通常の学校生活をかんがみた方法とは異なり、家庭学習課程への取り組みをどのように評価に反映するのか、その方法について示されました。

問4 家庭学習の成果を学習評価に反映する場合、「思考・判断・表現」や「主体的に学習に取り組む態度」はどのように評価すればよいのか。

○ 文部科学省では、本年4月から全面実施となる小学校の新学習指導要領の下での学習評価について「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の観点別の学習状況の評価を実施するよう求めております。
○ 御指摘の観点に関する学習評価の方法について、昨年3月の中央教育審議会教育課程部会の報告では、
 ・「思考・判断・表現」の観点については、ペーパーテスト、論述やレポート、発表・グループでの話し合い、作品の制作や表現などの方法を
 ・「主体的に学習に取り組む態度」の観点については、ノートやレポート等における記述、授業中の発言、教師による行動観察などの方法を
 それぞれ例示しているところです。
○ 令和2年4月10日付け初等中等教育局長通知「新型コロナウイルス感染症対策のための臨時休業等に伴い学校に登校できない児童生徒の学習指導について」に基づき、各学校においてどのような家庭学習を課し、どのような方法で学習状況を把握するかは、該当する教科等の特質や内容、主たる教材である教科書の記述等を踏まえて、当該学習活動の実施や学習成果の把握が適切に行えるかどうかを含め、それぞれの実態に応じて検討いただくこととなりますが、一般論としては、①ワークブックやプリント、ノートへの記述など家庭学習の直接の成果物を求める方法により把握できる情報と、②登校日や家庭訪問等、児童生徒と直接やりとりをする方法により把握できる情報とを適切に組み合わせた指導計画を立案し、その下での学習評価の方法を検討いただくことが重要と考えます。
○ なお、各学校における家庭学習の状況を把握する上では、主たる教材である教科書に沿ったワークシートの活用も有効となります。文部科学省では、先般、教科書発行者に対し教科書の内容に対応した教材の整理を依頼したところです。

 いわゆる一条校である「学校」では授業日数の規定があります。(※参考;授業時数等に関する学校教育法施行規則及び学習指導要領の規定)。これについても、家庭学習をどのように位置づけるのかについて明記されています。

問8 上記措置をとる場合において、授業時数の扱いはどうなるのか。

○ 今般の措置は、あくまで新型コロナウイルス感染症対策のため、臨時休業となっている学校の児童生徒、又は出席停止等となっている児童生徒について、休業が長期化し教育課程の実施に支障が生じる事態に備えるための特例的な措置として、学校が課した一定の要件を満たす家庭学習の学習状況・成果が確認でき、十分な学習内容の定着が見られる場合に、再度学校における授業で当該内容を取り扱わないことができることとするものです。

○ 学校が臨時休業となっている又は児童生徒が出席停止となっている状態で、家庭学習を授業そのものと認めるものではないため、その学習時間を授業時数としてカウントすることはありません。

○ 各学校においては、子供たちの学習を保障するため、
①休業期間中における教科書及びそれと併用できる教材を活用した家庭学習や登校日の設定、家庭訪問の実施、電話の活用等を通じた学習指導や学習状況の把握に努めるとともに、
②学校再開後における、徹底した補充授業や補習
などの措置を可能な限り講じていただきたいと考えています。


 以上を踏まえると、休校期間中にはじまった家庭学習による「学びの保障」の意味とはなにか。その趣旨が明確になったのではないでしょうか。

 この「学びの保障」は、「学校教育を受ける機会の保障」です。学校教育を受ける児童生徒の教育を受ける権利を守り、家庭の保護者の教育を受けさせる義務を履行する機会提供のことでした。
 もしも、これを「不登校児童生徒のまなびの保障」と同じだと解釈するならば、そしてオルタナティブ教育(自由教育)を選択する家庭の「多様な学びの保障」と同じだと解釈するのであれば、それは日本の教育制度である公教育が学校教育のみに独占されていることの示唆でもあります。教育が学校教育のみであるという社会通念が横たわっている大きな課題が潜んでいるのだということになります。


(参考)新型コロナウイルスによる緊急事態宣言を受けた家庭での学習や校務継続のための積極的なICT活用とGIGAスクール構想

 前述した「Q&A」にあるように

(抜粋)家庭での学習状況及び成果の把握の方法を例示していますが、その中では、
 ①ワークブックや書き込み式のプリントの活用、レポートの作成、登校日における学習状況確認のための小テストの実施など家庭での学習を支えつつ、その学習状況を適切に把握するための取組に加えて、
 ②作成したレポートに対する教師のフィーバックや児童生徒自身によるノートへの学びの振り返りの記録など、家庭学習の成果を児童生徒が自覚して次の学習や指導に生かしていくための、いわゆる指導と評価の一体化に資する取組・・・

という家庭学習課題の在り方に加え、積極的なICT活用が加えられた背景には、政策としてのICT成長戦略があると考えられます。ここでは参考資料としてリンクを置くことにします。
 これらは休校中の学習の保障から生まれた構想ではなく、元からあったものを、これを(都合が良い)機会に推進していこうという流れであるということを認識したうえで、その内容の理解を深める方向に進みたいと思っています。
 


資料① GIGAスクール構想の実現

(リーフレット)GIGAスクール構想の実現へ



資料②「未来の学び」構築パッケージ

内閣官房IT総合戦略室
総務省
文部科学省
経済産業省



資料③ 経済産業省 未来の教室


資料④ 総務省 教育情報化の推進


 ICT技術の向上。それは確かに生活を便利にするものなのでしょう。
 医療分野、産業分野等での利用活用のメリットは、効率的・生産的であることでしょう。人為的ミスをなくすということも想定できるでしょう。

 でもそれを教育分野にも適用するものなのでしょうか?
 体系的な教育、特に技術の習得でいえばそれらはたしかにメリットがあるだろうと考えられます。短時間で、有効的に、効率よくという理想を叶えてくれるかもしれないという期待が持てます。
 個別最適化は、本人にとって最短で最適な「学習方法」を提供してくれるのかもしれません。

 しかし私は考えてしまうのです。

 時代を超えて、普遍的な問いではないでしょうか。

人にとって「学ぶ」とはなにか。
 無駄であるものが無駄でないもの
 遠まわりすること
 結果だけを求めず、そのプロセスをたのしむこと
「意外性」の出会い
一見、結びつくとは思えない情報の集合知

 それらは同じ物を得たり、同じ機会を持ったり、同じ体験をしているように見えても、経験したことはひとりひとり違うということが重要なヒントであるような気がしています。
 
そういったことをおいて、さも人間をプログラミングするように、期待する結果を出すための人材育成を「教育」としてしまっていいのでしょうか。
そこに大きな疑問を抱くものです。

 「ICTの積極的活用」の言葉の持つ意味とは、ツールとしての活用なのか。それとも、ICT化することにより無駄を省いた教育方法なのか。どこをみすえて推進されていくものなのか。そんなことを見極めたいと切に思うのでした。


心のケアについて


 児童生徒の心身の状況の把握と心のケア等についての対応が示されています。例えば、休校以前からこどもが学校に行かない家庭では、家庭訪問ひとつをとっても、ましてや電話連絡にしても、大変な負担を感じることがあります。また休校措置や学校再開の経緯を経て、学校に通い続けることの不安や、どのようにこどもの教育や学習の機会を確保すればよいのかを問い直している家庭においても、不登校の歴史を繰り返すかのような、登校刺激が起こっています。
 これまでにも不登校のこどもがいる家庭や、ホームスクール、オルタナティブ教育を選ぶ家庭においても生じたこれらの登校刺激に対する不安解消と同様ですが、「なんのためにそれをしているのか」という行動の動機や目的・理由を知っていると、余計な憶測で不安をふくらませる必要が無くなります。そしてなにを確認されようとしているのかも理解できますし、それに対して伝えるべき点はなにかも明確になります。言い換えれば「相手の立場に立って考える」ことができる情報があれば、余計な心配も少なくて済むようになるということです。

 取り越し苦労をすることなく、冷静に、学校と家庭との対等関係を作り、互いにこどもの、児童生徒の安心と安全を護る行動に協力して臨めるのであれば、それは誰にとっても平和で、平穏で、安心の多い暮らしに結びつくのではないでしょうか。


問2 児童生徒の心身の状況の把握と心のケア等についてはどのように対応すればよいか。また、児童虐待防止のためにどのような対応が考えられるか。

○ 臨時休業を行う学校については、学級担任等を中心として、電話等を通じ、臨時休業に伴い自宅で過ごす児童生徒及びその保護者との連絡を密にし、休校期間中において必ず定期的に(概ね2週間に1回程度)児童生徒の心身の健康状態を把握するようお願いいたします。その際、保護者だけではなく、児童生徒本人とも直接電話で会話するなどして、児童生徒の状況を的確に把握してください。
○ また、新型コロナウイルス感染症に起因する様々な悩みやストレス等に関し、必要に応じて養護教諭やスクールカウンセラー等による支援(児童生徒の発達段階等に応じて電話による相談を含む)を行うとともに、相談窓口(「24 時間子供SOSダイヤル」や各自治体において開設している相談窓口等)を適宜周知したり、設置したりするなど、児童生徒の心のケア等に配慮するようお願いいたします。
○ 特に、要保護児童対策地域協議会に登録されている支援対象の児童生徒に関しては、在宅時間が大幅に増加することに伴う児童虐待のリスクも踏まえ、電話等で定期的に(概ね1週間に1回以上)児童生徒の状況を把握いただくとともに、地域のネットワークを活用した見守り体制の確保にご協力いただくようお願いいたします。また、分散登校(児童生徒を複数のグループに分けたうえでそれぞれが限られた時間、日において登校する方法)を行う場合であっても、登校日の設定等についてきめ細かな対応のための工夫を行っていただきますようお願いいたします。加えて、スクールソーシャルワーカー等を活用するなどして関係機関と緊密に連携し、必要な支援を行うことをお願いします。




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