はい、縫製室です/最少は1.8㎝(たぶん)
お直しの縫製室のスタッフになって5年目の洋裁初心者です。
ズボンの丈詰めが主な仕事内容です。
ズボンの出来上がり線をまずひきますね。
出来上がり線で切ってはいけません。縫い代分が必要ですから、必要幅分のところに裁断する線を引きます。
これが
意外と
理解されていないお客様もいらっしゃるそうです。
たとえばこんな苦情をいただくことがしばしばあるのだとか。
お、おぅ。
既製服の裾をほどいてみるとわかります。
三つ折り仕上げの裾の場合、縫い代のうち、中に縫いこんでいる部分はステッチ幅より細く、だいたい1.0㎝前後でしかもキッチリとその幅が揃っていないこともしばしばです。ステッチ幅が3㎝の裾だと、縫い代は4㎝くらいついているものだということです。そこで裾出し出来る長さも限られてくるわけですね。
こちらのお直し縫製室では、三つ折り仕上げの場合。
1.5㎝のステッチ幅であれば3㎝の縫い代をつけます。
もしくは、お直し前の状態でズボンのすその裏側を見て、見える縫い代分が2.5㎝幅であれば、縫い代を5㎝取ります。
洋裁の本だと”普通地から厚地の生地ならば1㎝を折り込んで縫い、薄地の生地ならば折る幅を同じにして中に折り込んだ生地が透けて見えないようにする”など書いてあるのを読んだことがあります。でも、こちらではすべて同じ幅をとります。縫うスピードを考えてもそのほうが都合が良さそうです。
端をロックして始末してから、スクイ(まつり縫い)にする場合。
「思ったより短いから長くして」の要望があった場合の再直しの可能性を考えて縫い代幅は婦人パンツで5.0㎝程度取ります。元のパンツは3.5㎝幅くらいが標準かなと思います。
紳士スラックスだとシングル仕上げを再直しでダブル仕立てにする可能性を考えて最小限で9.0㎝を縫い代で取っているのだそうです。でもモーニングカットだともっと短くなるんですけれどもね?スクイがしにくいからかな?
ときどき…伝票に「3㎝カット」って書かれてたりします。
そういうわけで「3㎝カットする」のと「3㎝丈詰めする」では意味が異なるので、一瞬躊躇してしまう表現なんですね。言いたいことは伝わっているのですが、ちょっと怖いですね。怖いっていうのは、布は切ってしまったらもとに戻せないものですから。
たま~にこんな要望もありますよ。
…どれだけ難しい要求なのか、わかるなぁってお話でした。
三つ折り仕上げを例にとりますと
お直しする際に、標準的な縫い代の幅は最大で7.0㎝、最小で1.8㎝です。
ジーンズは3.0㎝の縫い代を取りますがそれだとやや幅広に仕上がる傾向があるので2.8㎝のところにチャコで印をつけます。カットするときはチャコ線幅の外か内側かで調整する感じ。
私は初め、がんばっても縫い代の幅は最小2.0㎝まででした。三つ折りにしてステッチ幅が1.0㎝です。といっても1.0㎝より太くなりがちです。中に折り込んだ部分が中央の折り線から離れてしまうんですよね…。今は1.8㎝幅の縫い代でもやりますが、キレイな細いラインで仕上げるのはまだまだ難しいと感じます。
出来上がり線をアイロンで癖付けするのは当然やりますが、今日は、折り曲げ線にも癖づけしたところ、なかなかよい出来でした。
折り曲げる幅をずれないように縫い進めるためのアイテムがステッチガイドです。
ところで。
つい今しがた知ってしまいました。(インスタグラムの動画で!)
既製服のワンピースのすそなどは折り曲げる幅が、かなり細いですよね。8.0㎜とかですよ。きっと工場だと専用の機械があるんだろうくらいに思ってました。
ところが!工業用ミシンのアタッチメントが、あるんですね。
細く縫える専用のミシンじゃなくて、アタッチメントだった‼
衝撃‼
知りませんでした。
画像ではネジ留めするみたいですね。海外の動画では、マグネット式で、簡単置くだけ!のように見えました。
いいなぁ、それ…ほしい…。
っていうか…なんで、そういうアタッチメントが各店舗で用意されてないんでしょう。
はっ。そういえば…。
と、私が言ったことがありました。こういうのです。
ここの縫製室では代用品を使ってます。
(ちっちゃい四角形の磁石なの。キッチンで使う油ハネパネルをとめるために使うようなアレです。
またよく見つけますよね。
コレ、使おう!って発想がすごいったらない。)
そしたらね…
って引き出しからサッと出して見せてくれまして。
って、言ったんですよ、私。
そのお返事がこちらです。
あぅぅぅ(撃沈…)