見出し画像

アフリカの旅 ③ ケニア

3度目のアフリカの国への旅は東アフリカのケニアでした。これも15年以上は前の事です。西アフリカの太鼓 Djembeジェンベ を始めていて、それならばもう一度前に上げたマリか、それともセネガルギニアか、はたまたブルキナファソかといったところなのだけれど、ケニアの太鼓とダンスをやっている人と出会い、ケニアにもいろいろ素晴らしい伝統芸能(ンゴマ Ngoma)があるから見に来てよ!と言われて、ケニアの伝統的芸能を学び体験するンゴマ・ツアーに参加したのです。

ムゼー・ランドゥ


写真はケニアの海岸に近い Gedi (ゲディ or Gede ゲデ)というところ、有名なゲディ遺跡が近くにあるギリアマ人 (giriama) の村です。写っている太鼓はブンブンブ(Bumbumbu) といって、大きくて厚い皮をゆるめに張るから音を出すのは大変。それを手で叩く。前に座るのは名人ランドゥおう(ムゼー・ランドゥ)。あいにく手を怪我けがしていて、太鼓は弟子たちに任せ、ダンスを披露ひろうしてくれました。素晴らしかった。画像は荒いですが、その躍動やくどう的なダンスの様子がよく出ているのではないかと思います。

ランドゥ翁のダンス
ランドゥ翁のダンス


僕が行った翌年の第2回ンゴマ・ツアーでのランドゥ翁のダンスの映像↓。名人達の芸で場が温まった所にゆっくりと最長老ランドゥ翁が登場。後半にランドゥ翁のダンスが炸裂さくれつします。
(記事中のケニアの映像は全て友人が撮ってあげているものです。)


椰子酒やしざけ山羊汁やぎじるうましゲデの夏 

ゲデの村では、夜遅くまでうたげを開いてくれたり、僕らをとても歓迎かんげいしてくれました。そのことをんだ句です。首都ナイロビは高地で涼しいのですが、ゲデは常夏とこなつなので夏としました。
椰子酒濁酒にごりざけで、色は日本のドブロクによく似ています。片手にすっぽり入るほどの小さな植物性の細長いコーン型の器に注ぎ、かやの茎のようなものの片端かたはしに綿のついた植物性のストローで、綿側をひたしてしながら飲みます。ほのかに甘くてとてもおいしい。長老たちが、次々とおしゃくをしてくれました。老人はたいへん尊敬されていると聞いていたので、とても断れません。だいぶ酔っ払ってしまいました。
ツアーの参加者を歓迎する為に、村の山羊が調理されました。皮をいで、切ってから、内臓も何も一緒に煮込みます。香辛料がだいぶ入っているのか、臭みは気になりませんでした。それでも苦手な人はダメの様ですが、僕はとてもおいしくいただきました。食べた事はないのですが、沖縄に山羊汁 という、同じように山羊を煮込んだ料理があると聞き、山羊汁と詠んでみた次第です。

ゲデの村では、水を手に入れるのに遠くの井戸まで行かなくてはならず、女性たちが頭に乗せて運んで来ていました。

頭に乗せて水を運ぶ

昔の伊豆大島のアンコさんのようです。


僕らはナイロビで買ったペットボトルの水で過ごしました。僕がペットボトルのいくつかを紛失して、同じテントのK君に水を分けてもらい、大変な迷惑をかけてしまいました。そんな中、村の若者が木に登って取って来てくれたヤシの実のジュースは、本当にご馳走ちそうでした。

椰子の実のジュースを飲む私

村ではテントを張って暮らしました。

テント生活

シャワーは浴びれないので、川のあるところまで歩いて行って水浴びをしました。とてもにごった水なのだけれど、それでも何日も洗わずに来た体がとてもさっぱりして気持ちよかったのを覚えています。

太鼓やダンスを見せてらい、教えても貰いながら過ごしたゲデ滞在の最終日、ランドゥ翁はおもむろに太鼓の前に座り、怪我した手で叩き出しました。怪我していることもあってか、軽く叩いているようなのに、筋肉質の弟子達がぶっ叩く音よりも通って聴こえるのでした。まさに名人芸!本当に素晴らしいかった。

友人が撮った翌年のランドゥ翁をはじめとする名人達の演奏。本当に素晴らしい。演奏だけのつもりが、最後は踊ってしまう。↓


翌々年のゲデの村の若きダンサーとドラマー達
太鼓とキメのフレーズとダンスが重なる。


ゲデを出た後、いくつかの村を訪れ、同じギリアマ人の精霊を呼ぶためのンゴマ・ザ・ペポ(Ngoma the pepo)やモンバサ(Mombasa) 近郊に暮らすドゥルマ人(Duruma)の5拍子のセンゲーニャ(Sengenya) など、素晴らしい伝統芸能(ンゴマ)をいくつも見ることができました。

中でもドゥルマ人の村で受けた横太鼓 チャプオ(Chapuo) を使ったセンゲーニャのレッスンは強く印象に残っています。
「人が歩く中にもリズムがある。話す中にもある。誰の中にもリズムはあるのだから、誰でも叩ける。大丈夫!」という名人の優しい言葉で皆がほっこりするも、いざ始まると真剣そのもの。太鼓初心者もいたのですが容赦はない。少しでもずれると一喝いっかつされる。
センゲーニャのタッチはとても繊細。特にチャプオの全く音をさせないミュートは僕らには難しかったが、これも少しでも音をさせるとすかさず怒られる。いやはや。短期間滞在の僕ら相手に名人がこれほど真剣に教えてくれるとは驚きました。自由自在な名人の演奏を聴いた後だけに、本当にありがたかった。とても貴重な体験でした。

友人が撮ったセンゲーニャの映像
スタイルは異なりますが
映像はどちらもソリストの演奏。
バックで流れているのが
僕らが習ったチャプオの音です。↓


友人が撮影したスクティ(Sukuti) の演奏とダンス。↓

どの村でか忘れてしまったのですが、このスクティの太鼓も1度だけ体験させて貰いました。夜にスクティの演奏が始まった時に、伴奏のシンプルなフレーズを教わって叩かせてもらったのですが、アンサンブルの中に入ると、そのままずっと叩いていたくなる不思議な心地よさがありました。はたで見ている時には分からなかった。習ったばかりの僕の下手くそな太鼓でそう感じるのだから、名人達はどんな感覚で叩いているんだろうかと思ったものです。

多様な東アフリカの伝統芸能に触れることができたとても稀有けうな旅でした。導いてくれた方々に感謝するばかりです。

ゲデ、マリンディ(Malindi)などケニアの村々を訪れ
太鼓修行をしたZin " Atrevido" Hitoshi さんの
体験記。とても興味深い内容です。↓


帰ってきてから、僕は西アフリカの太鼓 Djembe を続け、再び西アフリカに向かうことになるのですが、東アフリカにも素晴らしい伝統芸能が沢山ある事を教えてくれた旅でした。
今でも東アフリカのすぐれた伝説芸能の映像を見つけると、うれしくなり何度も見てしまいます。↓
西アフリカとは違った味わいのダンス・太鼓で、なんとも僕は好きです。


ウガンダ(Uganda) の Larakaraka dance


ウガンダのバキシンバ (Bakishinba、Baakisimba)


いいなと思ったら応援しよう!