ソーラーアークでミレー【ホロスコープから見る芸術家のひとかけら⑦の3】
さて、とうとうミレーの転機・ホロスコープ編です。
主に、1848年(34歳)のソーラーアークチャートを見ていきます。
ですがその前に、この年も比較として面白いので、まずはこちらから!
↓↓↓
◎1835年(21歳)のソーラーアークチャート
この年、ミレーは父親を失います。
画家修行に出ていたミレーは田舎に帰り、8人兄弟の長男として家業(農家)を継ぐことを考えます。
ですが、祖母からの強い後押しにより、家業ではなく絵の道に進むことになります。
で、この年のチャートです。
【SA>N、N、N】!!
なんのこっちゃですね。
まあ、1つのソーラーアーク天体が、3つのネイタル天体にアスペクトしてる!
と言いたかったわけです。
ソーラーアークの天王星が、
ネイタルチャート天体の冥王星と金星にスクエア(□)、
水星にセクスタイル(*)。
(※以降、ソーラーアークは「SA」、ネイタルは「N」と表記)
突発的な事件や事故(SA天王星)が、ミレーの眠っていた何かを覚ますように働きかけています。
まるで、天王星の働きかけによって、
大きく状況がひっくり返され(□冥王星)、
芸術の道が突如開き(□金星)、
自らの行く末に導かれる(*ASCルーラーである水星)
ような配置です。
SA土星とN海王星のセクスタイルもぴったりきてますね。
夢が現実となっていく、もしくは、ミレーのまだ淡い芸術性を現実に現していく始まりのようです。
さて、これを踏まえて、本題の1848年(34歳)にいきます。
◎1848年(34歳)のソーラーアークチャート
こちらは1835年(21歳)の時とは真逆。
【SA、SA、SA>N】!!
3つのSA天体が、Nの土星(MCルーラー)にアスペクトしています。
しかも、21歳の時にアスペクトされていた、【冥王星、金星、水星】トリオがSAで再登場!!わお!!
ミレーにとって、絵を描くことは仕事です。
この稼ぎによって、一家を支えなくてはいけません。
(ミレーはこの時すでに結婚して自分の家庭を持っています)
MCルーラーの土星にドシドシSAの天体が絡む時、仕事=絵に多大な影響があると読めるかなと思います。
で、細かく見ていく前に、ちょっとこの年のミレーのことをおさらい。
1848年はパリで二月革命が起こり、ミレーも絵が公に認められ始めました。
また、絵の主題に「農民画」を取り入れ、それが評価される年でもありました。
(※詳しくは前記事で↓↓)
ハードモードなアスペクトは、【冥王星、金星】です。
スクエアなので、思いがけず突然きた!という影響が考えられます。
二月革命により、状況がひっくり返って(□冥王星)、
芸術的活動について急に自分に有利な展開に(□金星)。
この二つが、ミレーのお仕事天体N土星を新たに目覚めさせます。
そして、ASCルーラーの水星は、ノリ良くN土星をサポート(*)。
アイデアやコミュニケーションが活性化して、土星について考えを進めていきます。
仕事のことについて、これからどうしていくのか、新たな地固めをしていくようですね。
ミレー神話の、
「もうハダカじゃなくて農民だ!これからは、あるがままの農民を描くぞ!」
にもピッタリな感じ。
(まあ、ハダカはこの決意の後も描いてましたけどね)
ただ、勢いだけでなく、確実にものになるように実行に移していったのが土星らしいです。
しかも、山羊座♑️にいますしね。
ハダカだって、今後の成長や成功に必要とあれば描きます。
この年は、現代まで残るミレーという画家が、本当の意味で始まった時だと思っています。
その時に、進行の星の影響を、ひとつの出生の天体が一手に引き受けていたことに、少しの感動を感じました。
そして、おまけで次の年も紹介。
◎1849年(32歳)のソーラーアークチャート
この年は、パリでコレラが流行り、また政治的にも大きく動いて、ミレーがパリを離れる時期なんです。
バルビゾンという田舎の地に移り、その地の風景が、ミレーの芸術感覚を刺激します。
※ちなみに、この時一緒にバルビゾンへと行ったのが、羊の画家のこの方↓↓
(この二家族で、「○○ビゾン」という曖昧な言葉を頼りに旅をしたというエピソードはお気に入り)
さてさて、話を元に戻して。
バルビゾンに着いたミレーさん、もうこの地に心奪われちゃいます。
どのくらいかというと、このくらい。
「めぐみたもうたのかーっ!!」
バチバチバチっ!!!
みたいな?
で、この年のソーラーアークチャートがこちら。
お気づきでしょうか?
またきちゃいましたよ、【冥王星、金星、水星】のミレー転機トリオ。
この3つの星にSAの海王星がアスペクトしています。
海王星は霧のような天体です。
ミレーのバルビゾンへの感動の仕方は、まるで「オレには、ヒミツの霧の一粒一粒がみえたんだ!」と言わんばかりです。
バルビゾンの自然に触れ、ミレーの中のインスピレーションが形を持って降り注いだ、とも言えるでしょうか。
芸術家は、霧のような感覚を形にできる人たちなのでは、と密かに思っていますが、
占星術的に言うと、捉えどころのない海王星を、ふとした時にハッキリと見ることができる人たちかもしれないですね。
そして、ここからミレーは、名作の森と言われる1850年代を過ごし、亡くなるまで、このバルビゾンの地で数々の作品を残していくことになるのです。
◎おわりに
さて、ミレーはこれでおしまい。
本当は、他にも面白いソーラーアークチャートがあったり、
天秤座♎️と四季連作のこととか、
超ペシミストだったのに作品優しい印象なこととか、
あんなことこんなこと、みんな面白かったけど、終わりがなさそうなのでやめます(笑)。
お次は誰にしようかな?
アメリカ近代美術もいいな~。
思いっきり時代を遡ってみるのもいいな~。
あ、ミレーだったから、ミレイとか?
お楽しみに~。
この記事を読んで、少しでも画家さんや占星術に興味を持っていただけたら嬉しいです。
ミレーは国内でたくさん見られるので、よければぜひ。
一番多く見られるのは、山梨県立美術館。
ミレーの部屋があるほどです。
(ここの四季連作の一つ《冬(凍えたキューピッド》が見たい…)
ミレーは冬の作品も良いのです…
あとは、国立西洋美術館、大原美術館なんかもオススメです!
※見出し画像:《星の夜》(1850-65)
※画像は全て、Wikipedia Commonsより