秋のはじまりの、赤と緑と青の景色
9月の中頃、私は毎年のように、「そろそろかな?」と、心がざわざわとし始めます。そろそろかな。まだかな。芽がでてきた?どうかな?
飽きもせず、今年もまたこの季節が来た!とばかりにカメラをカバンに忍ばせ通勤。楽しみで仕方がありません。
その花は彼岸花。その名の通り、秋のお彼岸のタイミングに合わせるかのように咲く花。9月の中頃に突然芽がでて、気づけば一面を真っ赤に染めていきます。
私が彼岸花を知ったのは10年くらい前。和歌山県紀美野町にある棚田の畝を、真っ赤に染めている姿に感動したことがきっかけでした。
生まれ育った地域にそれほど綺麗に咲く風景がなかったこともありますが、私はそれまで彼岸花という花すら知らずに30年間を過ごしてきました。「見ようとしないと気づかないもの」が世の中にはたくさんあるということをこの時ほど強く感じたことはありません。紀美野町で彼岸花を知ったあと、「あれ、こんなところにも咲いてるんや・・・」と、何気ない風景の中にも彼岸花を見つけることが多くなりました。
そこから名所を求めるようになり、訪れたのは既出ですが奈良県明日香村の稲淵の棚田。
棚田の名所で、お彼岸の季節には見事な赤と緑のコントラストをみることができます。その翌年には橿原神宮からこの明日香村へ続くピクニックルート(10kmくらい)が最高に美しいという話を聞いて、橿原神宮→本薬師寺跡
→明日香村の田んぼを散策。満開の時期でしたのでこれも本当に美しい景色でした。
結婚し、子供ができてからは名所巡りはできていません。ただ、私がいま住んでいる泉南市には紀美野町や明日香村に負けない美しい田園風景があり、毎年通勤がてら、またはこどもと散歩がてら彼岸花の季節を楽しんでいます。
ここ数年は毎年同じルートの同じ景色しかみていないのですが、それでも毎年ワクワクしております。妻からはよくもまぁ飽きもせんとと呆れられておりますが、秋のお彼岸の一瞬にだけにみられるこの景色にはそれだけの魅力があります。記事を読んでくださった方の中で彼岸花にこれまで興味がなかったという方、ぜひ来年は田んぼのまわりを眺めてみてくださいね。今までと違う風景が見えるかもしれません。
最後に余談ではありますが、彼岸花との出会いは「それまでそこにあったはずのものだが、見ようとしていなかったから気づかない存在」の発見でもありました。カメラを趣味にしてからこの気づきは本当に多くなったのですが、それは仕事や家庭にもプラスの影響を与えてくれています。
見えていなかった部分の気づき、見えていなかった部分への配慮。
カメラはそんな気づきを与えてくれた、かけがえのない趣味。そんなことをこの記事を書きながらあらためて感じました。
記事:タバラット 店長ヤマモト
趣味:サッカー観戦、カメラ、子供と電車に乗る
タバラット公式サイト
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