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「飽き性」じゃなくて「2周目」かもしれない

牡牛座は粘り強く、ひとつのことを続けることができる、という説明をよく目にするが、残念ながら私の場合は当てはまらないのではと思う。

例えば長編小説を書くことは、好きだが時間がかかる。そうすると作品を世に出す頻度が少ないことで情緒不安定になり、短いスパンで書けるエッセイに手を出す。

エッセイを頻繁に書き上げることで情緒は安定し、どこかに応募したり、オンライン公開などしていると、ほど良く「やってる感」を得られる。しかし間もなく「小説を書くことにどっぷり浸りたい!」という反動がやってきて、ふりだしに戻る。

長い間この繰り返しをしている。飽き性か、ないものねだりか、それとも複数の島を行ったり来たりする性分なのか。そういえば子供の頃は「絵描き期」と「物書き期」を繰り返していた。

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エッセイはエッセイでまた変遷がある。新聞に投稿したり、どこかへ応募したりと、単発のエッセイはそれまでも書いてきた。週1くらいの更新頻度で連載というものが私にできるだろかと、エブリスタに20本ほど投稿したこともある(現在は公開終了)。書きたいことがたまっていたから吐き出したわけだが、前述したとおり「やってる感」を得たいという目的もあった。

そのとき書いたエッセイは、私の思想や創作、子供時代のことや実家でのことが中心。とても書きやすく、ネタに困ることはなかった。

その後「小説期」に入り、しばらくしてまた「エッセイ期」へ。今度は嫁ぎ先が舞台で、嫁としての生活を描くことにしたわけだが、これがどういうわけだか非常に書きにくい。ただの嫁日記ではなく、10年かけて自分の中で折り合いがついたことを書くことにした、というのも理由のひとつ。折り合いがつかないうちは書けないから、更新も大いに遅れた。

さらにこのとき悩ませたのは、プライベートを語ることについて。実家でのことを書いたときはまったく悩まなかったのに、嫁ぎ先でのことは書きあぐねた。

時を同じくして、私は地元で顔を出しての活動もしていたから、嫁ぎ先のことを書いて「あら、あそこんちでこうなのね」と微妙な知り合いへのプライベート情報流出を恐れたというのもある。

とは言え、エッセイに関しては読まれて困ることは書いていないつもりだ。念のためSNSでやりがちな法律違反についても調べたし、書いたものが晒されたとて、エッセイに登場した人たちが傷つくことがないようにと配慮した。

だから疲れた。

このエッセイは早く終わらせよう。いや、もうエッセイそのものを書くのはやめよう。小説だけを書いていこう。――いつからかそう思っていた。

  *

「エッセイ期」に疲れ果て、「小説期」に入るわけだが、完成まで時間のかかる小説では「やってる感」がなかなか得られないという問題が残っている。

だったら短い小説を書こう。エッセイのように、書きたいときにポンポン書けるような、短い小説を。そんな簡単に書けるほど達者ではないが、しかしこれは我ながらナイスアイディアだと早速スタートさせた。

――が、シリーズ4作目で早速ストップ。5作目を書き上げたものの、公開は保留にした。

人生の大転機を迎え、年齢も重ねたことで、今までと同じような小説では納得できなくなってしまったのだ。ずっと書きたかった物語のはずなのに、書いているとき、その世界に潜ることができなかった。だから完成したものを読んでも、当然ながらまったく気持ちが入らない。

「小説期」が止まれば「エッセイ期」へ移る。あれほど嫌がっていたエッセイだが、以前書いたような思想や創作についてならいいのでは、と思い始めていた。自分のことを書くから、誰かのプライバシーを気にして神経をすり減らすこともない。

エッセイというより日記がいい。個人的なことを、ただただ日々つぶやくだけの。でもそれじゃあ見ている人はつまらない。有名人の日記ならともかく、私の日記を読んだところで「だからなんだ」となる。

作品を書くとき、私はなるべく「自分の本棚におきたい本」「引っ越すとき一緒に持っていきたい本」と思えるものを書こうと意識するようにしている。人生に行き詰まったとき、読み返したくなるようなものを。だから今回の日記も、あとで読み返す価値があるようなものを書きたい。

そうだ、牡牛座として生きていこうって決めたのだから、それをテーマにした日記にしよう。需要は少ないだろうが、それでも牡牛座の生態に興味のある人にとっては、ひとつの研究材料になるかもしれない。――そうして今このnoteで「牡牛座日記」を書いている。今のところ、とても居心地が良い。

結局また戻ってくる。やっぱり私は、複数の島を行ったり来たりする性分なのか。自分にあきれる。だけど戻ってきて再出発するとき、ちょっとずつ、改善、進化はしているんじゃないだろうか。

「飽き性」じゃなくて、「2周目」「3周目」かもしれない。

ならば良い。その性分のままで行け。進化するなら、何回でも行ったり来たりすればいい。ただし筆力はもっと上げろ。ひとつの島に滞在している間、他の島の手入れがまったく行き届かなくなるから。ほったらかしにしすぎて島をだめにするな。もちろん家の仕事もやれ。体調もコントロールしろ。倒れたら母が大変になるだけだ。

迷いは晴れた。やるべきことも決まった。家のことをした上で、とにかく書け。――私の悩みって、結局いつも答えは「書け」に落ち着くんだよなぁ。

それと「複数の島を行ったり来たりする」も、ずーっと長いこと続けているのだから、見ようによっては「牡牛座は粘り強い」に当てはまっているんじゃなかろうか。


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