本田 龍祐~Ryusuke"dragon"Honda
なぜ蔵元は、酒米(酒造好適米)を使うのか?一般米との違いは?そしてどのような味わいになるの?などをまとめています。科学的な話もあります。
龍力㈱本田商店は、創業1921年。2020年に100年目を迎えました。そこで清酒「龍力」がどのような成り立ち方をしたのかを書いてみたいと思います。 多くの蔵元は、~~酒造と言う風になりますが、龍力は本田商店です。 なぜなのか、それは、もともと龍力㈱本田商店は、普通の酒屋さんだったのです。 龍力の初代本田新二は、姫路市余部区上余部の造り酒屋の次男として誕生しました。 親元は、「播磨鶴」という銘柄を造っておりました。 新二は、明治の終わりの頃、播磨鶴のお酒を売るために、現在の
山田錦は酒米の王様と呼ばれ、現在酒造好適米における作付面積1位の品種です。 1936年2月27日に、兵庫県にて山田錦は誕生し、2024年に88歳・米寿を迎えます。これほど長く愛されている品種はありません。全国の蔵元からも信頼され、ますます生産が拡大中です。 (コシヒカリが1956年、五百万石が1956年誕生) 山田錦の特徴は、 ①精米砕けないこと。心白の大きすぎるお米は概して砕けやすく、酒米として必ず望ましいものではない。 ②蒸米の表面が粘らず、捌けが良いこと。 ③麴菌が蒸
私たち(株)本田商店は、兵庫県姫路市で「龍力」という日本酒を造っています。 蔵のお仕事というと、日本酒を造っているとなるのですが、日本酒と一言で言っても様々な味わいがあります。 味わいの事について。 よく、「美味しいお酒を頑張って造ります。」や「良いものを提供します。」よく聞くとおもいます。 この「美味しいお酒」って何でしょう?「良いもの」って何でしょう? 様々な答えがあると思います。しかし嗜好品を造るという事は、「美味しい」とは何か?「良いもの」っていったい何?と言う
清酒製造において、協会酵母や培養酵母と呼ばれ、多く使われております。 また、自然界にいる酵母を野生酵母と言います。お酒造りには酵母が必要です。 酵母というものは一体何なのか? 清酒酵母は、学名saccharomyces cerevisiae(サッカロマイセス セレビシエ)といいます。 このサッカロマイセスセレビシエを日本語訳にすると 「甘いものが好きな菌」 この甘いものが好きな菌 と言う意味です。 私たち蔵元が使う、協会7号や9号など、香りの高い1801などは清酒酵母
日本酒を語る上で必ず出てくる言葉が精米歩合。 多くのラベルにも記載のある言葉です。これは。玄米を100%とし、どれだけ残したか。という事です。3割5分磨くと精米歩合65%となります。6割5分磨くと精米歩合35%となります。 その精米歩合によって、お酒の名称が変わってきます。 60%まで磨くと吟醸と名乗れます。50%まで磨くと大吟醸と名乗れます。 このように日本酒業界は精米歩合を基準に成り立ってきました。 しかし、行きつく先が見えてきました。 精米歩合戦争の勃発 近年
龍力ではコロナ禍において、醸造する酒造りのタイムスケジュールを変更いたしました。 伝統産業である酒造りは、朝5時から働き、15時頃一日の仕事が終わるというような働き方でした。 これでは、若者が働く環境としてはなかなか難しく、募集しても来ないと思い、現代の働き方に変えるべく、8時から17時までの酒造りに変更しました。 もちろん、麹造りなど夜間作業が必要な場合は、当直します。 ではなぜ、朝5時から働いていたのか?という疑問がでてきます。 伝統だから、それが当たり前だからという
2021年12月12日(日) お酒の神様「三輪明神」で知られる大神神社の拝殿前の大注連縄(おおしめなわ)の掛け替えが行われました。 この大注連縄は、岸和田の照友会により昭和29年から奉納されています。 大注連縄を造る際に、背丈の長い稲藁が必要になります。 短いものだと途中で折れてしまったり、稲藁が飛び出たりと、作りにくくなってしまいます。 そこで、草丈の長い山田錦の稲藁が候補にあがりました。。 しかし、現代ではコンバインの性能が良くなり、収穫と同時に稲藁を細かく裁断してしま
8月末~9月初めにかけて、山田錦の花が咲く時期です。 出穂と呼ばれ稲の茎の中から、米になる部分がニョキニョキと伸びて花が咲きます。 山田錦の花は、午前中の1時間程度しか咲かない花です。 2021年の状況ですが、出穂の時期としてはベストと言えます。 ただ本年は梅雨が長く日照不足の影響もあり、成長は少し遅いです。 しかし出穂前後の昼間の気温が高く、今まさにぐんぐんと成長しているところです。 こうなると心配なのは、実りが多すぎて倒伏してしまう可能性があります。 とはいえ、2021
日本酒の歴史の中で日本酒業界に新しい光を灯したお酒があります。 それは「大吟醸」です。「冷やして美味しい」を目指したお酒。 その大吟醸の原点の味わいを追究しました。 現代の華やかな大吟醸や、軽やかな味わいの純米大吟醸の原点を、大吟醸のパイオニアである龍力が今一度突き詰めてみようと仕込みました。 【原材料】 使用米は、山田錦が誕生した地である、兵庫県特A地区吉川町金会。 金会では山田錦がまだ命名される前、品種育成を行った地です。まさに山田錦の黎明期です。 その結果がすばら
先日、新聞に左党と言う文字を見かけ、まわりに聞いてみた。そうしたら知っている人もいれば、全く知らない人もいた。 日本酒好きな人の事を「左党」という。 決して政治色の強い党ではない(笑) 調べてみるとダジャレだ。 元々は、大工道具の「ノミ」から来ている ノミを持つ手が左手で、左手の事を「ノミ手」。右手は槌を持つから「槌手」と言った。 それが「ノミ手」と「飲み手」が同じ言葉の響きだから、転じて左手を飲み手と言って、飲み手一派と言う意味で「左党」となった。 ダジャレが文化を創
テロワール(土壌特性)に特化したホームページを作成すると共に自社のECサイトをオープンいたしました。 HPアドレス https://www.taturiki.com/ オンラインShopアドレス https://taturiki.shop-pro.jp/ 龍力は、1921年創業し本年2021年に100年を迎えます。 100年の歴史の中で、たくさんの挑戦を行ってきました。 1970年代に近畿圏初の生酒の販売や大吟醸酒の市販化。 1980年代に全量自社精米に切り替え、大吟醸酒製
ドラゴン黒はDragonSeriesの辛口です。 黒色は、シックや落ち着いたというイメージがあるのでそのイメージをお酒にしました。 ただ辛口を造るのでは面白くないと思い、辛口を造る為のテーマを考えました。 それは「刺身を美味しく食べるための辛口」です。 刺身を一番おいしくする料理は何かと考えました。 お寿司だと考え、シャリのような特徴を持つお酒ができたらどうだろう。 そして、色々なお寿司屋でシャリを食べ、研究をしました。 シャリの味わいを分解すると、甘みがあり、それをマ
10月は山田錦の収穫期です。2020年の山田錦の収穫ですが、例年より少し早めの収穫となりました。 8月の高温や好天に恵まれすぎ、雨が少なかったこともあり心配していたのですが、9月に入ると、それまでの暑さが嘘のように秋の気配を感じるようになりました。 中下旬からは昼夜の寒暖差も大きくなり、山田錦にとっては最高の気候となっています。 この気候で、ゆっくりと登熟し、ぱってりと太り、心白が発現していたら最高の年になるでしょう。 龍力の使用する山田錦の一部は、自然乾燥法である稲木掛け
2020年度山田錦の現在の状況ですが、8月末(26日前後)に出穂を迎え、稲穂の実りの時期となってきました。 実は、この9月上旬の気候が山田錦にとって重要なのです。 この時期に、夜が暑い熱帯夜が続くと高温障害になり、雨が続くとお米の栄養素が流れだし 味わいの出にくいお米となります。 米作りにおけるポイントは多くありますが、9月上旬から中旬の気候が、山田錦の育成の重要な一つのポイントと言えると思います。 (吉川町米田にて撮影2020.9.8) では、今年の状況はと言いますと、9
酒蔵は伝統産業です。いきなり技術革新があることはほぼありません。 他業界であれば、パズルの形で言うとこの形に併せてきました。なんてことがあるかもしれません。何度も言いますが、酒蔵は伝統産業です。変化はあまりできません。 伝えられる事は自分が持っているピースの形をどれだけ伝えられるのかだと思っています。 例えば四角いピースを「実は四角いの持っています。」ではなく「僕が持っているのは、四角いピースですよ。」っていう事が大事になってきています。 それが、「当たり前」の「見える化」
今では、しぼりたてや生酒は、あたりまえになっています。 実は、龍力の生酒の販売は、1970年代まで遡ります。 これは、日本でも1番か2番目に早く販売した蔵です。 少なくとも近畿圏(大阪国税庁管内)では一番早い蔵元です。 では、なぜ言い切れるのかと言いますと、 こんな話を四代目蔵元本田眞一郎が、話しておりました。 1974年、大学を卒業し、蔵に入社した眞一郎。 その頃は、キリンビールの特約店で、キリンビールが本田商店の売り上げのほとんどを占めていました。 お酒は、冬に杜