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ネタバレ注意 映画人間合格を観て

 1998年の映画だからもう26年前だ。
 西島俊之と役所広司という豪華コンビに麻生久美子や哀川翔という今なら豪華キャストで演じられる「一度は崩壊した家族の再生」の物語と書いてしまうと二行で終わってしまうが青春の最も大切な10年をずっと眠り続けていた西島くんが25歳にしてやっと目覚め、昔の記憶を辿りながらポニー牧場を再建したり中学の同窓会開いたり。。
 でもこの映画はつまるところ次の2つの言葉に集約されると思う。
 哀川翔が言う「僕って人から目障りって言われるんです」というセリフと映画最後に西島くんが言う「僕は確かに存在しましたよね」と役所広司に問いかける2つの言葉に。
 西島くん家族のお父さんは家族を省みず、北海道やアフリカに行ってしまう旅人だ。
 西島くんは思春期の最も大切な時間を失った青年。みなこの映画に出てくる人達は人生において「何か」を失っている。
 でも彼らは「自分」を生きている。自分のしたいことを精一杯やっている。
 それが観る人に一種の「救い」となって爽快感を与えている気がする。
 翻って僕の人生はしたいことをやってきただろうか?と振り返ってみる。「僕は確かに存在しただろうか?」そしてこの言葉を伝える確かな人はいるだろうか?
 役所広司は産廃処理や魚釣りという世間的には日陰者な職業で生業を立てている。
 哀川翔も何で稼いでいるかわからない。
 でも世間的には「あなたの職業は?」という問いよりもこの映画では「日々の出来事」の方にスポットライトを当て観ている人に問いかける。
 「目障り」と言われても「僕は確かに存在した」と言うセリフが吐ける誰かを探して日々を丁寧に過ごしたいものだ。

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