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知っていますか? Cuboid syndrome (立方骨症候群)
【実践!ゼロから学べる足の臨床マガジンの記事一覧】
こんにちは!
CLINICIANSのタツこと、白須達也(@tatsu_bridge)です!
今回は先日、Cuboid syndrome(立方骨症候群)の患者さんを対応したので、そのことについて、まとめていきたいと思います。
早速ですが、みなさんCuboid syndromeって知っていますか?
それでは、いってみましょう!
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▶︎ 概要
Cuboid syndromeとはその名の通り、
立方骨周囲の靭帯および関節の損傷に起因する症候群
のことをさします。
足部の外側・小趾側の疼痛を引き起こし、主に中足部や第4・5趾の付け根部分に疼痛が生じます。
疼痛部位がなかなかはっきりとしないため、診断が難しく、立方骨の疲労骨折と混同されやすいです。(立方骨の疲労骨折は稀ですが・・・)
立方骨のマルアライメントや亜脱臼によって引き起こされ、踵立方関節部分で立方骨が下方に落ち込んでいることが多いと言われています。
以前のこちらの記事を読んで頂くと、立方骨のことがよくわかると思います。
足部の外傷・障害によって引き起こされることが考えられており、一般の方においてもそれほど珍しいものではありませんが、アスリートやダンサーにより多く発症すると報告されています。
2011年の研究では足部外傷の既往のあるアスリートの4%に立方骨周囲の問題があったと報告されています。
(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3445231/)
適切に診断され、適切な治療が行われれば、多くの場合は完治が期待できます。
また、症状は急な痛みや次第に強くなる痛みとして生じるとされています。
▶︎ 主な症状
・足部の小趾側の疼痛・荷重時痛
・鈍い痛みや鋭い痛み
・歩行困難
・ジャンプ困難
・腫脹
・つま先立ちでの疼痛増強
・足部/足関節の可動域低下
・足底感覚過敏
・足関節外側部の関連痛
上記の症状が主に見られます。
▶︎ 要因
過用、足関節捻挫、回内足、その他が挙げられます。
過用
・立方骨症候群の最も大きな要因
・アスリートやダンサーに多い
・疼痛を我慢しながら過度な負担のかかる動作を継続している傾向がある
・ランニングのような高負荷な動作を長期間継続したあとに起こりやすい
足関節捻挫
・内反捻挫後に起こりやすい
・2006年の研究では、内反捻挫の40%に立方骨症候群を発症していたと報告
(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3861761/)
足関節内反捻挫や捻挫で痛めやすい前距腓靭帯についてはこちらの記事を読んで頂くと理解が深まると思います。
回内足
・回内足の人に多くみられる
・下腿三頭筋や長腓骨筋の短縮が立方骨のマルアライメントを引き起こす
その他の要因
・テニスなどのように素早いサイドステップの多い競技
・階段昇降
・足に合っていない靴
・不整地でのトレーニング
・激しい運動時の休息不足
・肥満
靴についてはこちらの記事を読んで頂くと、理解が深まると思います。
▶︎ 診断
レントゲンやMRIでも分からないこともあり、疲労骨折や踵骨棘のような疾患と間違われることもあります。
機能評価と問診が重要になります。
▶︎ 治療
安静、免荷、RICE処置が基本になります。
※急性外傷の処置として有名なRICE処置ですが、近年はPRICEやPOLICEがグローバルスタンダードになっています。
RICE
Rest(安静)
Ice(冷却)
Compression(圧迫)
Elevation(挙上)
PRICE
Protection(保護)+RICE
POLICE
Protection(保護)
Optimal Loading(最適な負荷)
Ice(冷却)
Compression(圧迫)
Elevation(挙上)
実際のスポーツ現場では、確定診断が出るまではPRICEで、確定診断後にPOLICEで対応しています。
理由は確定診断が出ないとOptimal Loading(最適な負荷)がわからない、またリスク管理の観点からこのような対応をしています。
具体的なものは以下になります。
・関節マニュピレーション
・パッドで中足部を安定させる
・テーピングで固定
・サポーターで適切なアライメント保持
・消炎鎮痛薬
・下腿部のマッサージ
手術はほとんどなく、保存療法にて行います。
▶︎ 予後
治癒期間は立方骨症候群の以下の要素によって様々になります。
・受傷してからの期間
・外傷か障害か
・足関節捻挫のような他の疾病に起因するかどうか
単独損傷で軽症の場合は数日で軽快しますが、足関節捻挫のような他の疾患に起因する場合は数週間を要することもあります。
筋力増強やストレッチング、バランス訓練などの理学療法が治療や予防に重要であり、足部・足関節を固定するサポーターを用いることもあります。
ここまででみなさん、Cuboid syndromeがどのようなものか理解できたでしょうか。
ここからは私が実際に対応した患者さんの症例報告を行いたいと思います。
▶︎ 症例紹介
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