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不眠症はどんな病気?症状や原因・なりやすい人の特徴・治療法をご紹介します




ストレスの多い現代社会において、日々いかにストレスを蓄積しないかが重要になっています。
ストレスや疲労を回復するのにとても重要なのが睡眠。昨今、睡眠が十分にとれない「不眠症」の方が多く、日本人を対象にした睡眠の調査によれば、5人に1人が「睡眠で休養が取れていない」、「何らかの不眠がある」と回答しています。不眠症の症状や原因を知り、不眠症にならないために、また不眠症の方には不眠症を克服するためにはどうしたらいいか、具体的な方法を紹介していきます。

不眠症の症状と原因
 Q:不眠症はどんな病気ですか?
不眠症とは、入眠障害・中途覚醒・早朝覚醒・熟眠障害などの睡眠問題が1ヶ月以上続き、日中に倦怠感・意欲低下・集中力低下・食欲低下などの不調が出現する病気です。

 Q:不眠症の原因はなんですか?
不眠症の原因として挙げられるのは、生活リズムの乱れ、ストレス、年齢、カフェインの過剰な摂取、スマホ等からのブルーライトの浴びすぎ、など多岐に渡りますが、そのほとんどが日々の生活習慣によるものです。他には、薬の副作用神経質な性格などと原因は様々で、その原因に応じた対応が必要です。

 Q:不眠症になりやすい人の特徴を教えて下さい。
神経質で生真面目な性格の人ストレスをより強く感じ不眠症になりやすいと言われています。また、女性に比較的多く発症し、20~30歳代から始まり中年・老年と加齢とともに増加し、60歳以上では約3人に1人が不眠症状で悩んでいます。神経質な人ほど常に気を張っておりリラックスした状態になりにくく、交感神経が優位になりやすいです。交感神経が優位になると呼吸が浅くなるため、脳も体もリラックスしにくく寝つきが悪く入眠しにくい状態になります。


 Q:不眠症は生活にどんな影響を与えますか?
不眠の状態が続くと、十分な休息がとれずに倦怠感がとれないだけでなく意欲低下、集中力低下、抑うつ、頭重、めまい、食欲不振などさまざまな症状が現れ、生活の質が低下すると言われています。よく眠れないと日中の疲労が十分とれず、翌日のパフォーマンスも下がります。不眠のことが頭から離れず「今日は眠れるのだろうか」と一日考えてしまい、夜になってもそのことが頭から離れず寝つきが悪くなり悪循環を繰り返す方も少なくありません。

不眠症の診断と治療法
 Q:不眠症の種類について教えて下さい。
不眠症は4つのタイプに分けられます。 寝つきの悪い「入眠障害」、眠りが浅く途中で何度も目が覚める「中途覚醒」、早朝に目が覚めてしまう「早朝覚醒」、ある程度眠ってもぐっすり眠れたという満足感(休養感)が得られない「熟眠障害」です。
症状が1つだけのこともあれば、複数あわれる場合も多いです。それではそれぞれの症状について見ていきましょう。
まず「入眠障害」とは寝床に入ってもなかなか眠ることができず、30分〜1時間以上眠れない日々が1ヶ月以上続くことです。睡眠不足になりやすいため、昼間に疲れや眠気を感じることがしばしばあり、「眠れないこと」に苦痛を感じます。不安や緊張が強いときに起こりやすく、不眠のタイプの中で最も訴えの多い症状です。
次に「中途覚醒」とは睡眠中に何度も目が覚めてしまったり、その後なかなか寝付けなくなる状態を言います。日本人の成人の不眠症に多く、加齢とともに眠りが浅くなったり、目覚めやすくなるため中高年や高齢者になるとより多く見られると言われています。
続いて「早期覚醒」とは、望む時間よりも2時間以上前に目が覚めてしまい、再入眠できない状態のことです。体内時計のリズムが前にずれやすい高齢者に多くみられます。
最後に「熟眠障害」とは、睡眠時間は十分に取っているのに関わらず、眠った感覚が得られない状態のことです。いわゆる「睡眠の質」が低く、深い眠りに入れない場合が多いです。睡眠時無呼吸症候群など、睡眠中に症状があらわれる病気が関係している場合は自覚するのが難しいです。


 Q:不眠症のチェック方法を教えて下さい。
不眠症のチェック方法として、2000年に世界保健機関(WHO)を中心に作られた不眠度のチェックシート「アテネ不眠尺度」というものがあります。8つの質問に対し、週3回以上経験したことにチェックを付けていきます。チェック方法を以下に説明します。

過去1ヶ月間で少なくとも3回以上経験したものを選択し、最後に点数を合計します。
□寝付きはどうでしたか?
0点:いつも寝つきはよい 1点:いつもより少し時間がかかった
2点:いつもよりかなり時間がかかった 
3点:いつもより非常に時間がかかった、あるいは全く眠れなかった

□夜間、睡眠途中に目が覚めましたか?
0点:問題になるほどではなかった 1点:少し困ることがある
2点:かなり困っている 3点:深刻な状態、あるいは全く眠れなかった

□希望する時間より早く目覚め、それ以上眠れなかったことはありましたか?
0点:そのようなことはなかった 1点:少し早かった
2点:かなり早かった 3点:非常に早かった、あるいは全く眠れなかった

□睡眠時間は足りていましたか?
0点:十分である 1点:少し足りない 2点:かなり足りない
3点:全く足りない、あるいは全く眠れなかった

□全体的な睡眠の質はいかがでしたか?
0点:満足している 1点:少し不満である 2点:かなり不満である
3点:非常に不満である、あるいは全く眠れなかった

□日中の気分はいかがでしたか?
0点:いつもどおり 1点:少し落ち込んだ 2点:かなり落ち込んだ 3点:非常に落ち込んだ

□日中の身体的および精神的な活動状態はいかがでしたか?
0点:いつもどおり 1点:少し低下した 2点:かなり低下した 3点:非常に低下した

□日中の眠気はありましたか?
0点:全くなかった 1点:少しあった 2点:かなりあった 3点:激しかった

不眠症セルフチェックの診断結果は以下のとおりです。
合計点が[1~3点]の人は、まずまずの睡眠がとれています。
合計点が[4~5点]の人は、不眠症の疑いがあるため注意が必要です。生活習慣や睡眠環境の改善に努めましょう。
合計点が[6点以上]と高い方は、不眠症の可能性があるため専門医の診察を受けることをおすすめします。

 Q:不眠症はどのような検査を行いますか?
不眠症の検査には、PSG検査(終夜睡眠ポリグラフ検査)とも呼ばれている検査方法があります。 センサーを装着した状態で一晩眠り、睡眠状態を検査します。この検査によって、 睡眠の質や深さ、呼吸状態、寝相、てんかんを発症しているかなが明確になります。

 Q:どのような治療法がありますか?
不眠症の治療は、「薬物療法」と「非薬物療法」の大きく2つに分けられます。 「薬物療法」では、睡眠薬や睡眠導入剤などの薬による治療を行います。 一方、「非薬物療法」では、薬を用いずに生活習慣の改善(睡眠衛生指導)により不眠症の治療を行います。 

 Q:再発の可能性はありますか?
不眠症の原因にもよりますが、生活習慣(運動習慣、思考習慣)の影響が強いとされており、一度、不眠症を克服したからといって生活リズムが乱れてしまうと再発する可能性は大きくなります。

 Q:不眠症の予防法を教えて下さい。
 不眠症の予防法として有効なのは生活リズムを規則的にしていくことです。1日の中でできることは様々で、朝の習慣からその日の睡眠の質が決まってきます。朝に有効な手段としてまず挙げられるのは、目覚めたらまず朝日を浴びること。朝日を浴びることでメラトニンが抑制されセロトニンが活性化します。セロトニンは14時間前後にメラトニンに変化するため、夜になると眠気を感じます。メラトニンとは、体内時計を調整する脳内物質ホルモンで、覚醒と睡眠を切り替え、夜に自然な眠りを誘う作用があり「睡眠ホルモン」とも呼ばれています。また、可能であれば朝20分程度の軽い運動も朝に取り入れるとよいでしょう。散歩などのリズム運動はセロトニンをより活性化してくれます。セロトニンはメロトニンに変化する特徴の他に、「幸せホルモン」とも言われセロトニンが分泌した分幸福感を感じやすく、うつ病などの精神疾患の予防にもなります。
現代ではデジタル機器に触れる機会が多く、スマホやパソコン、テレビなどのブルーライトを浴びてしまうと昼夜問わず脳は覚醒します。特にスマホは画面が小さく、目からの距離も近いたブルーライトの影響は強力。眠る1〜2時間前はスマホを見ずに、読書やストレッチなどしてリラックスする時間を過ごすことがおすすめです。
他に不眠症の予防に効果的なこととして、覚醒効果の高いカフェインの量も意識することも重要になります。カフェインが多く含まれるコーヒー、緑茶、紅茶、エネジードリンクなどは多くても1日2〜3杯までにして、午後4時以降は摂取しないよう心がけましょう。
あと、昼寝のしすぎにも注意が必要です。1時間以上昼寝をしてしまうと体内リズムが乱れ、夜に入眠しにくくなってしまいます。昼寝は長くても20分程度して、昼寝をする時間帯は午後3時頃までとしましょう。


 Q:最後に、読者へメッセージをお願いします。
「寝るより楽は、なかりけり」という言葉があるように、寝ること眠ることは本来楽で気持ちのいいことです。現代社会は、職場や家庭など環境によるストレス、スマホ・パソコンからの情報過多で自分の外側に注意が向くことが多い環境になっています。時には自分の身体の状態や呼吸状態に意識や注意を向ける時間を作ってご自身を労わってください。「夜はぐっすり眠る」子供時代に戻ったつもりで本来の自分の体内リズムを取り戻しましょう。




参考サイト
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2003/03/s0331-3a.html

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丸山達也(健康を研考する人)
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