ファンドを閉じるとき
一般的な投資において、投資をしたからには売るという行為がいつか訪れ、その売るタイミングというのが難しいものですが、
ファンドと言われるものも、レイズ(お金を集めるとき)よりクローズ(清算するとき)の方が難しい。
レイズももちろん難しいのですが、ポジティブなエネルギーが集結するタイミングはモチベーションも上がるものです。
一方クローズの環境は違います。
投資先の整理は投資先と利害が一致するものではないですし、その調整そのものが出資者との利害が一致しなくなるという状況を生みます。
このジレンマに陥るとネガティブなエネルギーに囲まれ、心身ともに疲弊します。
ファンドは有期限のものであり、およそ10年で満期を迎えます。
なので、投資先とファンドの両者にとってベストなタイミングで整理できるポートフォリオは限られています。
いくつかの投資先は、利害関係に満ちた出口になってしまうのです。
自分の場合、一つは経験済み、いま時点であと四つ。
一つの経験から言えるのは、ポジティブなファンドクローズを目指すというより、淡々と対処できるマインドであり胆力が求められるということです。
儲かるか儲からないかということが決定するプロセスにおいて、すべてが綺麗に片付くということはありません。
ロジックをしっかり組み立て、感情を切り離して決めていくことも、ベンチャーキャピタルという仕組みにおける宿命だと思っています。