粘土質の土壌でガーデニング(Raised Bed)の実験
僕ら夫婦が移住先に選んだ土地は南斜面で日当たり抜群、山の尾根に囲まれた楽園のような場所でした。
サルにキョンにイノシシに。たくさんの動植物に囲まれて、まさに自然の一部になったような気持ちになります。
最高だなぁ~。さっそく自給用の野菜でも植えるか、と思って土を耕そうとしたところ、、
ザグ、、 重い。。
この土地は重粘土質で、70-80年前には棚田として使っていた休耕田だったのです。
粘土質=土の粒子が細かいということは、水はけが悪く、常にジメジメしているほか、土が硬くてなかなか野菜が根を張るには苦労しそうです。
結論、こうした土地を畑として使おうとすると、かなり大掛かりな土壌改良が必要だということがわかってきました。
そこで、粘土質の土の上を壇で囲って土を盛る、レイズドベット(Raised Bed)と呼ばれる方法を試してみることにしました。レイズドベットはパーマカルチャー界隈ではもっともオーソドックスなガーデニングの方法です。元の土地を掘り起こすことなく最小限の改変で食べられる野菜などを育てる手法と、僕は理解しています。
さらに調べていくと、ドイツなどで盛んに行われている「hugelkulture」という、枯れ木枯れ草を堆肥化させながら利用していく方法とレイズドベットの組み合わせが効果的だということがわかってきました。
参考URL:https://www.thenaturelifeproject.com/hugelkultur/
レイズドベットのメリットとデメリットをまとめると
メリット
・元の土壌の影響を受けにくい
・高さが出るので管理が楽
・雑草なども入りにくい
デメリット
・木枠を作る必要がある
・土が大量に必要になる ←ここを「hugelkulture」で改善
と、なります。
今回は「hugelkulture」枯れ木枯れ草を下に敷くことを前提にレイズドベットを作るので、木枠の高さをそれなりに出していこうかなと思います。また、有機物は分解されると量が減る(と思う)ので、そこもどういう風に変化するか実験です。
粘土質の土壌でガーデニング(Raised Bed)の作り方
レイズドベットを杉板で作ります。
まず、近くの木材屋さんで材料を調達します。
<使った材料>
頑丈な板(杉) 4m × 4本
柱となる角材(杉) 4m × 1本
長めの釘 32本
オイル(亜麻仁油) 家の改修で余っていたので使用
※ホームセンターで売っているホワイトウッドはすぐに朽ちてしまうのでレイズドベットには不向きのようです。また野菜を植えたいので、薬剤が注入されている材は避けました。
それぞれカットして、横200cm、縦100cm、高さ60cmの四角い箱を作ります。
60mの高さにしたのは、下に枯れ木を多めに敷きたいと思ったのと、植物の根が十分に下まで張れるようと思ったからですが、実際には植えたい植物によると思います。
例えば、トマトの根張りは深さが30~50㎝くらいのところに密に生えるそうです。
木材は土に直接当たっていると、そのうち朽ちてきてしまいます。僕はできるだけ天然素材で作りたかったので、朽ちるのは諦めて4-5年くらい使えたらいいなぁと思って作りました。気持ち程度かもしれませんが、水分を弾くように家の改修で余っていた亜麻仁油を塗りました。
レイズドベットの木枠ができたら、次は土作りです。
「hugelkulture」の方法で土作りをしていきます。
<使った材料>
山で拾ってきた朽ちた木
近くで生えてた枝木
刈り取った雑草
古い畳を解体して出てきた大量の藁
引っ越しの時に出てきたダンボール
ホームセンターで手に入れた油粕、牛糞、野菜の培養土
近所の家からもらった完熟コンポスト
できるだけ大きく、分解が遅いものから先に敷いていきます。
分解を促進するため、油粕を適量まきなから、ミルフィーユ状に積層させていきます。
僕の場合は引っ越し直後だったので、その時に出てきた資源をうまく使うことにしました。
真似する場合は、ぜひ近くの資源を見渡して、使えるものを使ってください。
最後に野菜の培養土をもらった完熟のコンポストと混ぜて乗せました。この深さはだいたい12cmくらいでした。これで野菜が本当に育つのか少し不安ですが、足りなかったら次はもっと土を足してみます。
長いプロセスでしたが、やっと完成です。お疲れさまでした。
直ぐに野菜を植えたいところですが、土が馴染むまで、時間を(2週間くらい ? )おいたほうがいいそうです。
粘土質の土壌でガーデニング(Raised Bed)- 野菜を育てる
レイズドベット、土作りが終わったところで、野菜の苗を植えます。
野菜の苗は育苗ポットで育てました。もちろん苗をホームセンターなどで買ってきてもいいですが、種から発芽させると愛着がよりわきますね。
植え方は色々あると思いますが、パーマカルチャー的な考え方では、多品種をうまく共存させることで小さな面積を有効活用することを考えます。
レイズドベットではそもそも小さな面積しか耕しません。それは環境負荷を最小に抑えるという意味でもあります。
例えば、玉ねぎ、レタス、ニンジンを混植した場合、実はそれぞれが必要とする光、土がうまく別れて共存できる可能性があります。玉ねぎやニンジンは太陽の光を多く必要としますが、レタスには強すぎます。ですので、玉ねぎとニンジンの葉に隠れるくらいがちょうど良いのです。
出典 Gaia's Garden: A Guide to Home-Scale Permaculture, 2nd Edition (p176)
これも理論的には、、ですので、これから実験してみたいと思います。
僕らのレイズドベットは、一年目は葉物があまり土が深くできていなくても使えるかなぁと思ったので、葉物の苗が中心です。レイズドベットの土ができてきたら、根菜にも挑戦していきたいですね。