AIスタートアップで医師がこの一年にやったこと
こんにちは。白石 達也(@dr_white1103)と申します。
2019年4月からAI医療スタートアップUbie株式会社で、「世界レベルで医療をよくするぞ!たくさん幸せにするぞ!」ていう気持ちのもと頑張ってます。
(転職のきっかけは前のnoteをぜひご参照ください)
お陰様で第3回 日本サービス大賞「厚生労働大臣賞」と「審査員特別賞」を同時受賞させてもらったり、シンガポールに進出したりしています。勢いのある医療ITベンチャーになってきたか?!
医者や、また他の職種の方から「入社してどんなことをしているの?」「具体的にどんな業務をするの?」といったことを尋ねていただける機会が増えてきました。なので、自身が入社してから、関わった部分や変遷について振り返る機会とさせてもらえたらと思います。
*これはUbie Advent Calendar 2020の20日目の記事になります。ぜひすべての記事を読んで下さいね。
<こんな人に読んでほしい>
<アジェンダ>
1.プロダクトの各施策のUI/UX検討
病院向け「AI問診ユビー」
・出力テキストの改善
AI問診ユビーの機能のひとつとして「タブレットで入力された問診が医師が記載するカルテのような形で出力される」というものがあります。
↓入社した際のAI問診ユビー(2019年4月頃)
当時ユーザーから「読みづらい」という声がかなりあがっておりました。
たしかに日本語っぽいもののなんというか情報がごちゃっとして読みづらい・・・。
これについて大きく2つ問題があり、
これについてテキスト生成の単位やつなぎ方を変えるなど、生成アルゴリズムを変えることにしました
ほとんどみえないですが、spread sheetでアルゴリズムを見直してるところです。これをエンジニアの方に反映頂いて以下のようにシンプルになりました。
↓最近AI問診ユビー(2020年4月頃) デザインもversion up
もちろんまだまだ改善の余地はありますが、よみづらいというお声を頂くことは殆どなくなりました。問診項目の追加作業もぐっとやりやすくなりました。
・新機能の開発に関わる①説明可能AI
AI問診ユビーの機能のひとつとして「タブレットで入力された問診項目に基づいて考えられる病名のサジェスチョンを行う、病名辞書」というものがあります。(あくまで補助です。)
これについて、「おもむろに疾患が並べられており、すっと頭にはいってこない」という声がありました。
医療の分野に限らずAIといわれるものはその出力までの過程がブラックボックス(正確にはブラックボックスというか、全ユーザーにとって即座に理解可能ではないので実質ブラックボックス)。
なので、各疾患について「予測に関して関わりが深い問診」を表示することにしました。どういった文言のルールで表示するかなど関わっています。
いまはこんな感じです。
・新機能の開発②
さらなる機能開発について「どんな機能がそもそもいいのか?」といったことをユーザーインタビューを繰り返しながらブラッシュアップし、開発をすすめていっております。
一般向け「AI受診相談ユビー」
・結果画面の改善
AI受診相談ユビーには問診の結果画面で非常に多くの情報がでてきます(一度ご使用頂いたほうがわかりやすいかもです)。そこをどのように整理し、どのように出力するのがより望ましいのか?などに関わっております。
↓他の医師やデザイナー、エンジニアとのディスカッションの記録
今現在はかなりすっきりし、かつ情報もリッチになってきております。この1~2ヶ月でも多くのversion up、機能追加がありますのでぜひご覧になって下さい。
*また、このアプリケーションと前述の病院向けプロダクトと連動することで、来院前に問診が行えるようになっております。
現在USでも提供中(ubiehealth.com)※2023/3 追記
2.AIの教育
データの改善
・問診データの改善
ユビーはこのように問診するわけですが、この項目一つ一つがカルテの記事・病名のサジェスチョンに役立てられます。
新しい症状の追加や改善などを、エンジニア謹製のツールを使って改善していきます
どういった診療科を集中的に改善していくかは、メンバーの得意な診療科やユーザーニーズの高いところで決まります。今期は整形外科領域の問診なんかはシェーマも含めてかなり力をいれました。
・関連データ・医療ドメインの整理
入社したタイミングはデータのつながりとか作り方は口伝・一子相伝でその人がどっか行ってしまうと途絶えるような感じでした。僕も困るし次入社する人も困るし、外部に作業依頼するときもかなり説明しづらい状態でした。
なので下記のように使用するデータの繋がりを図示・作業関連のデータ資料作成しました。
各データテーブルとその関連など医師が関わる部分を説明する資料。シンガポールでも使うので英語版も。
外部の医師との協業
かなり膨大な量・側面のデータを取り扱います。手数という意味でも専門性という意味でも到底社員だけでまかなえるものではありません。
ですので、各専門診療科の先生方に依頼をして要事データの作成などをしていただいております。本当にお世話になっております。(頂戴したデータやアイデアがまだ反映できていない先生、大変申し訳ございません。)
*作業依頼Google Spreadsheetなどで、依頼背景やどのようにサービスに反映されるか共有の上依頼させてもらったりしています。
*もし、少しくらいなら手伝ってもいいという先生はコチラに登録くださる・連絡など下さいますと嬉しいです。
↓こんなかんじです
3.医学的な研鑽など
・症例勉強会などへの出席
懇意にしていただいております総合内科の先生などに勉強会に呼んでいただき、単純に医師としても感動し勉強し、また「どのようにすればこの思考をユビーに取り入れることができるか」などを考える助けとさせて頂いております。(鳥越先生(病名思い出しツール開発医師)や松本謙太郎先生には大変お世話になっております)
・コロナ禍をうけて
2019年暮れから2020年初頭に新型コロナウイルス感染症により、世間の生活が一変しました。医療機関では、「来る患者はもしかして感染しているかもしれない」、また患者は「病院にいけば感染してしまうかもしれない」。
人と人の接触を減らせるツールだから何かできるのではないかと、自発的にメンバーの働きかけがあり、それをきっかけに関連する症状の聴取やアラート、対面の外来前にスマートフォンで聴取する仕組みなどができていきました。(改善は随時必要ですが)
↓社内チャットツールでのやりとり
かなり当時の社内方針を大きく変えるものでしたが、一丸となってわずか一ヶ月ほどで最初の段階のリリースができたのは、本当にすごい会社にいるなと思えました。
5.まとめ
如何だったでしょうか??
データの作成部分以外は、手法的なことも含めて毎月違うことに取り組んでいます。なので一概に「こういう業務をやります」と言えず.....。いい方向に向かうためにその時に最も必要な医学的なことに取り組む、やり方は時に自分で考える、ということを繰り返してます!。
もっとこういうことが聞きたい、という方などはぜひ採用サイトからUbieDayというオンライン会社説明会やカジュアル面談にお越し下さい。
一歩一歩、日本も世界も医療・健康のことで困ることの無い世界を目指してプロダクトを作って参ります。
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