Tatsuro Suzuki/ 鈴木達朗

職業:スポーツリポーター、翻訳業(独・英→日)。現地の翻訳事務所に籍を置きつつ、主にド…

Tatsuro Suzuki/ 鈴木達朗

職業:スポーツリポーター、翻訳業(独・英→日)。現地の翻訳事務所に籍を置きつつ、主にドイツ国内サッカー関係の記事を寄稿しています。ベルリンの女子サッカー界で指導者(UEFA-Grassroots/DFB-C Lizenz)として活動(育児休暇中…)。

最近の記事

サッカーに関する素敵な文章 ― ハラリの『サピエンス全史』より

ユヴァル・ノア・ハラリの『サピエンス全史』がドイツのベストセラー棚にあったので、読み始めた。 152ページに、サッカーを比喩に用いながら書かれている部分があった。サッカーに関して、ここまで素敵な文章はあんまり見ないので、手書きで書き写してしまった。忘れないうちに大ざっぱながら訳を残しておく。 我々はサッカー選手としてこの世に生まれてくるわけではない。進化は脚、足、目をもたらした。我々は、これらを使って走り、ボールを蹴り、ボールがゴールに入るように働きかけることができるだろ

    • 【サッカー】”戦術的ピリオダイゼーション”の教本からのヒント:理論から実践へ

      1.導入:「戦術的ピリオダイゼーション」の教本を読んで、クリアになった点以前、『エディ・ジョーンズと戦術的ピリオダイゼーション』という記事を書いた。その記事のなかで、カタールのアスパイアアカデミーで活動しているアルベルト・メンデス・ビジャヌエバというフィジカルコーチを紹介した。 このビジャヌエバが、同アカデミーでテクニカル・ディレクターを務めていたフアン・ボルドナウと2人で「戦術的ピリオダイゼーション」の教本らしきものを書いている。 アマゾンで購入できる本のリンクはこちら

      • ドイツ・サッカー界のコロナ禍の動きを振り返る - 掲載記事一覧

        ブンデスリーガをはじめ、ポルトガルなど欧州サッカー界もふたたび動き始めた。これから、日本のスポーツ界も徐々に動き始めていくと思うので、リーグ中断期間の間にリアルタイムで書いた記事のまとめを載せておきたい。 時系列で追うことで、後に、ドイツメディアの動きを線として辿ることもできるだろう。 2020年3月 世界中でサッカー界のみならず、経済活動そのものが止まった3月。各クラブが現場レベルでは選手のコンディションの維持、経営面では資金面の工面をいかに行うのか、収束のメドが立た

        • 【ラグビー】エディ・ジョーンズと「戦術的ピリオダイゼーション」

          導入:戦術的ピリオダイゼーションとは?「戦術的ピリオダイゼーション」というトレーニングメソッドは、戦術(=試合中の文脈)の浸透具合を基準としながら、発展的にトレーニングを構築する方法だ。このトレーニングがほかと大きく異る点は、身体的な負荷だけではなく、「集中力」のような心理的な負荷を考慮に入れている点だ。 この方法は、2000年代前半にポルトガル人の名将ジョゼ・モウリーニョが、欧州サッカー界で台頭して以来すでに長いこと注目されており、すでにサッカー界では浸透し始めている。そ

        サッカーに関する素敵な文章 ― ハラリの『サピエンス全史』より

          Football and language:Tactics in football and pragmatics in linguistics

          I am currently translating Horst Wein's book. Since I have read several times in German, I thought that I understood well. But you understand different when you translate into your mother tongue. At least it became clear to me what the wor

          Football and language:Tactics in football and pragmatics in linguistics

          Fußball und Sprache:Taktik im Fußball und Pragmatik in der Linguistik

          Ich übersetze momentan das Buch von Horst Wein. Da ich schon auf Deutsch mehreres Mal gelesen habe, dachte ich, dass ich gut verstanden habe. Aber man versteht anderes, wenn man in die Muttersprache übersetzend liest. Zumindest wurde es fü

          Fußball und Sprache:Taktik im Fußball und Pragmatik in der Linguistik

          サッカーと言葉:サッカーにおける戦術と言語学における語用論

          ホルスト・ヴァインの本の翻訳をしている。ドイツ語で何回も読んで、分かった気になっていたけど、母語に直しながら丁寧に読んでいくと、また、頭に入り方が変わってくるな。とりあえずはっきりしたのは、「戦術」というのは、言語と同じで、適切な言葉を適切な状況で使うことと同じ、ということ。 要は状況に応じて適切なプレーを選びなさい、と。本当に、言語学で言えば、プラグマティクスをサッカーでやりましょう、とそういうことなんだな。やっぱり、言葉を学習するプロセスとサッカーを学ぶプロセスはそんな

          サッカーと言葉:サッカーにおける戦術と言語学における語用論

          守破離とピカソ

          この前の城福さんのインタビュー(http://number.bunshun.jp/articles/-/822436 … ) に関してピカソの例を出しながら守破離について触れたけれど、それについて少しまとめておこう。 1.ピカソのいた時代 むしろ、ピカソの例が出るまで守破離というのが文脈の中の意味としては理解しても何か、いまひとつピンと来なかった。恥ずかしい話、日本の古典に関しては無知に等しいので、自分が少し知っている文脈に置き換えてみると、なんとなくその言葉の意味が掴める