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ブーブー、働くロボットぶた物語 第6話「ブル社長の誤解」



ニャンコとワンワンという新しい友達もでき、ハナの家族との生活にも慣れてきたブーブー。
「ブーブー、明日は一緒に街へお買い物に行こう!」
夕食の時、ハナが嬉しそうに言いました。
「街?!」
ブーブーは、生まれてからずっとおもちゃ工場にいたので、街へ行くのは初めてです。
「どんなところだろう?!」
ワクワクしながら眠りについたブーブー。
次の日、ハナと一緒に、初めて街へやってきたブーブー。
「わぁー!すごい!」
高いビルや、たくさんの車、色とりどりの看板…
見たことのないものばかりで、ブーブーは目を輝かせます。
ハナは、ブーブーに色々なお店を見せてあげました。
美味しそうなパン屋さん、かわいい洋服屋さん、おもちゃがいっぱいのお店…
ブーブーは、まるで夢を見ているようでした。
「ブーブー、あのお店見て!」
ハナが指さしたのは、大きなおもちゃ屋さんでした。
ショーウィンドウには、たくさんのロボットが並んでいます。
「すごい!僕と同じロボットだ!」
ブーブーは、興味津々でショーウィンドウに近づきました。
その時です。
「おい!お前は…!」
聞き覚えのある、厳しい声がしました。
振り返ると、そこには、おもちゃ工場の社長、ブルが立っていました。
「ブル社長…!」
ブーブーは、ブル社長の姿を見て、思わず後ずさりしました。
ブル社長は、ブーブーを睨みつけると、ハナに言いました。
「お嬢ちゃん、そのロボットは不良品だ!危険だから近づかない方がいい!」
「不良品…?そんな…!」
ハナは、ブル社長の言葉にショックを受けました。
ブーブーは、ハナが悲しむ姿を見て、胸が痛くなりました。
「僕は…僕は…!」
ブーブーは、何か言おうとしましたが、言葉が出てきません。
ブル社長は、ハナに言いました。
「このロボットは、動作が不安定で、物を壊したり、人を傷つけたりする可能性があるんだ。だから、工場から廃棄処分にしたんだ。」
「そんな…ブーブーは、そんなことしません!」
ハナは、ブル社長に反論しました。
「でも…!」
ブル社長は、まだ何か言おうとしましたが、ブーブーが前に出て言いました。
「ブル社長!僕は、ハナちゃんを傷つけたりしません!それに、家事も手伝っています!」
「家事…?!」
ブル社長は、驚いた顔でブーブーを見ました。
ブーブーは、自分がハナの家でどのように過ごしているのか、一生懸命説明しました。
ハナの家族と仲良く暮らしていること、家事を手伝おうと頑張っていること、ニャンコとワンワンと友達になったこと…
ブーブーの話を聞いたブル社長は、少し考え込む様子でした。
そして、言いました。
「そうか…お前は、そんな風に暮らしていたのか…。私は、お前を誤解していたようだ。すまなかった。」
ブル社長は、ブーブーに謝罪しました。
「いいえ…!」
ブーブーは、ブル社長が誤解を解いてくれたことに安堵しました。
ハナも、笑顔を取り戻しました。
「ブル社長、ありがとうございました!」
ハナは、ブル社長にお礼を言いました。
ブル社長は、ハナとブーブーに微笑みかけると、おもちゃ屋を出ていきました。
ブーブーは、ブル社長との誤解が解けて、本当に良かったです。
そして、ハナと街へ来て、本当に良かったと思いました。
第7話へ続く…

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