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終わりなき不在/佐川恭一

銀行に就職するも、
「自分には向いてない」と退職し
小説家を志し始める「自意識過剰」な
主人公が迷走しまくる小説です。
ここまで自意識過剰になるか?と
もはやある種の快感を感じました。
芥川龍之介の小説の
令和verのような雰囲気も漂っています。

この小説は短編小説で、
登場人物それぞれのストーリーは
重なり合っていてます。
スピンオフに近い感じですね。
そして、それぞれが気持ち良いくらいに
すれ違いまくっています。
もはや妄想の域に達しています。
主人公はじめ、
登場人物は20代かなと思われます。
迷走しているものの、
どこか勢いがあり、
脆さがあり、
とにかく生きにくそうでした。

ビジネスにおいて、
「共通認識」することは
極めて重要です。
この小説を読んでいると、
他人同士が共通認識するということは、
絶対できないのだと思わされます
(ビジネスの文脈ではありません)。

小説は、読む前と読んだ後で、
読者の意識を変えてしまう
何かを内包していなければならない。
そこには単なる一般論や、
興味深いストーリーだけではなく、
作者の個人的な、
世界に対する「実感」が書き込まれてあるべきだ。
自分の人生を、全力で乗せているかどうか
――それが俺の小説に対する評価の基準であったし、
その観点からして志賀谷庸太は俺の中で明らかに特別な存在だった。

本書の中で、このような主人公の
回想シーン?がありました。
まさに、意識を変えさせられる
力のある小説でした。
こじれにこじれまくった若者に
巻き込まれたい!という方におすすめです😌

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