人生で大切なたったひとつのこと
普段はAmazonで本を買うことが多い。
Amazonは僕の購入履歴を踏まえて、興味がありそうな本を紹介してくれてありがたい。
そのおかげで出会えた本もある。
ただその結果、なんだか似たような本ばかり読んでいるような気がしてきている。
ということで、最近はAmazonに頼らず、地元の図書館を利用するようにしている。
宛もなくブラブラと図書館の中を歩いていたら、気になった小説の横に置いてあり、なんとなく借りてみたのがこちら。
本書の著者はジョージ・ソーンダーズさん。
アメリカ生まれで作家・大学教授をされているそうだ。
このように書くと、なんだかスマートなエリートのような人物を想像するが、紆余曲折を経た人生を歩んできたようだ(誰でもそうかもしれないが)。
さて、本題に戻ろう。
この本のタイトルで掲げられている「人生で大切なたったひとつのこと」とはなんだろうか。
この本はソーンダーズさんが大学の卒業式で、卒業生(これから社会に出る前途有望な若者)に向けたスピーチを書籍化したものだ。
スピーチの冒頭で、「人生で後悔していることは何か?」ということについて語られている。
そこでさまざまな後悔しているエピソード、仕事や若き日の冒険・恋愛などが語られるわけだが(この内容がソーンダーズさんの人柄を表しているようで面白い)、どれもちがう。
ソーンダーズさんが後悔していることは、「とある女の子に優しくあれなかった自分」と語っている。
つまりこういうことだ。
人生で最も後悔しているのは、優しさが足りなかったこと。
おそらく、多くの人にとって優しい人であることは、当たり前で目新しいことではない(と信じたい)。
そのはずなのに、野心や承認欲求、要は「成功したい」「一旗あげたい」といった野望に邁進しているうちに、優しさという一個人の中で最も尊いものを隅に追いやってしまう。
そう、優しい人であるということは、僕たちが考えている以上に難しいということなのだ。
優しさについて語るゾーンダーズさんの言葉の端々から、人生のさまざまな経験を経て、心の底から湧き出てきた印象を受けた。
さて、自分はどうだろうか。
最近の僕は、周囲の人たちに優しくあれただろうか。
気がついたら3回はこの本を読んでいた。