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その人にとっての美しさとは?美容外科医の難しさ

新年明けましておめでとうございます!

皆さま、今年のお正月はどのように過ごされましたか?
新しい年は、やはり気持ちがいいですね。

計画を立てるのが大好きな僕は、
早速、今年はこんなことをしたい!とワクワクしながらプランを練っています。

今年の1回目のnote。
ぜひ、医学生さんや美容医療にかかわるドクター、医療関係者、もちろん一般の方にも、何かの気づきを与えられるような内容にしたいと思っています。

13回、14回のnoteでは、僕の人生観についてお話してきました。
読んでくださった方、ありがとうございます!

多忙な医者の目標達成術についても書いていますので
興味のある方は、ぜひ、ご一読ください!

さて、今回のテーマは、
美容外科医にとって切っても切り離せない
「美しさ」についてのお話です。

■その人にとっての“美とは何か”

僕が美容外科医の道を歩み始めて、はや27年がたちました。
その間、医療技術は著しく進歩しましたし、
医療を取り巻く環境もめまぐるしく変化しています。

そうしたなか、
美容外科医に求められるスキルはますます向上しています。
同時に医師の心の持ち様がいかに大事か、
考えさせられる場面を僕は何度も経験してきました。

特に患者さんが求める「美しさ」とのすり合わせは
美容外科医の難しさの本質だと思います。

「美」に対する価値観は人によってそれぞれ。
時代によっても異なります。

グローバルスタンダードでいう黄金比率を目指す考え方もありますが、
それが、患者さん本人の「なりたい自分」と一致しているとは限りません。

アンチエイジングであれば、
患者さんにとって重要なのは、
グローバルスタンダードの美よりも
「昔の自分」です。

患者さんが求める「美しさ」を理解することを
難しくさせているのが、「感情」です。

不思議なことに、
人は同じものを見ていても、
そのときどきのシチュエーションや気分で捉え方が異なる傾向があります。

「昨日はダメだったけど、今日はいい気がする」
「さっきは良くないと思ったけれど、今はいい」

感情によって「美しさ」が左右されてしまうことは、よくあることです。
この辺りは、本当に難しいですね。

■患者さんの心を読み取る仕事

美容外科医の大切な仕事のひとつが、
患者さんの悩みをきちんと聞くことです。

老化の悩みを相談できるところはそう多くありません。

家族や友達に相談しても、
「そんなの気にしなくて大丈夫よ」
「まだまだ、平気よ」
と慰められるだけですしね。

エステサロンでも相談できますが、
エステ以上の効果を望むのであれば、
結局、美容クリニックに相談するのが適切でしょう。

聖心美容クリニックにも多くの患者さんが相談に来られます。

若い人はコンプレックスを抱いて相談に来ることが多いのですが、
一定の年齢以上の場合、「等身大の自分をもう少し良くしたい」程度の、
決して重たくない相談が多くなりました。

そういった患者さんは、老化への恐怖をお持ちなので、
医者はその気持ちを認めてあげて、
まずはきちんと話を聞いてあげることが大切だと思います。

相談ができて、しかも治療に効果を感じれば、
患者さんにとって、美容クリニックは人生の重要な場所になるのです。

■良い歳の重ね方

人は必ず歳をとります。
30代、40代、50代…と、
老化のステージは変わるので、
アンチエイジング治療は、年代に応じて継続して行う必要があります。

きちんと通っている患者さんのなかには、
10年前よりキレイになっている方がたくさんいらっしゃいます。

5年、10年と通ってくださる患者さんを見て思うのは、
外見と内面が本当の意味で良くなっている人が、
いい歳の取り方をするということ。

顔には、その人の心や感情、落ち着き具合などが如実にあらわれます。
心が攻撃的になっている人は、顔がきつくなりますし、
穏やかな人はやさしい顔になります。

良い歳の重ね方をしているかは写真にも表れるので、
カルテの写真をみれば、その人の内面が垣間見られます。

美容外科は見た目を直す治療ですが、
心を読み取りながら治療を進めていくところに面白さがあります。
だけど、難しい。

■老化は病

一般の病院と美容クリニックとでは、患者さんも医師も意識が大きく異なると思います。

基本的に一般の病院では、治療の対象が疾病(病気)です。
患者さんはできるだけ病院に行きたくないし、
医者も患者さんに病院に長く通ってほしくないと思っています。
患者さんが長く病院に通うということは、
それだけ病気と闘っているということですから。

一方、美容外科クリニックは治療の対象が、
キレイになりたい!若くいたい!という願望(希望)です。

ですから、医者は患者さんに長く通ってほしいと思っているし、
患者さんもクリニックに通いたいと思っています。

つまり、同じ医療でも考え方が、
治療を受ける側も提供する側も大きく異なるのです。

美容医療は身近な医療であることは間違いありません。
だからこそ、人によっては生活の一部になり得るものだと思います。

最近、「老化は病」といわれていますね。
病気はなる人とならない人がいますが、
老化は必ず起こる現象で、みんながかかる病気です。

命にかかわるものではありませんが、意識するかしないかで大きく変わります。

国際美容外科学会(ISAPS)が毎年出している世界中の美容医療の症例数の統計(Global Survey on Aesthetic/Cosmetic Procedures)では、年々、世界的に非外科治療が外科治療を越えています。

そのなかでも日本は特殊で約8割が非外科治療です。
それだけ、手術は避けたい…というのが患者さんの本音なのでしょう。

こういった事情もあり、
美容外科医であっても非外科的な治療もする機会は多くあります。

基本的に、非外科的な治療はリピートすることが多いので、
おのずと患者さんとは長く付き合っていくことになります。

ですから、美容外科医は、
患者さんと長くつきあう心構えも必要になってくるのです。


今回も最後までお読みいただき、ありがとうございます。

患者さんとのかかわりのなかで、僕も日々勉強です。
若い頃の僕は、結果がでやすい、
豊胸や脂肪吸引のようなダイナミックな手術をしたいタイプでした。

しかし、多くの患者さんと接するなかで、
非外科的な治療の価値も十分に実感していますし、
患者さんとの向き合い方も、変化してきた気がします。

患者さんの声を真摯に聞くことができるドクターでありたいと、心から思います。

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