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死の隣を歩いて思ったこと

日本一危険な登山道と言われる「ジャンダルム」に足を踏み入れた。

歩幅は1メートルにも満たない切り立った岩の上両サイドには50メートル以上の崖が広がっている。

落ちれば、確実に死ぬだろう。

その日は快晴で、風もなく、音すら少なかった。

静けさが恐怖を増幅させる中、3時間以上にわたって、常に命の危険と隣り合わせの状態で登り続けた。

注意喚起の看板が死の恐怖を増幅させる

足を滑らせるな
集中しろ
呼吸を整えろ
岩を転がすな…

冷や汗をかき
心拍数は上がり
息が上がる…


周りの景色は息をのむほど美しかった。
でもその美しさは、目の前に広がる恐怖をかき消すことはできなかった。

……

ようやく山頂にたどり着いた時、目の前に広がる絶景に心が解放されるのを感じた。


そこには「天使」とも呼ばれる看板が立っていて、本当に天使が微笑んでいるかのような気さえした。

遠くには上高地、そして槍ヶ岳が見渡せた。

この瞬間だけは、肩の荷が降り、登山者同士の会話が自然と弾む。不思議なものだ。都会ではすれ違う人と話すことはないのに、山では自然と会話が生まれる。大自然がそうさせるのだろうか。

しかし、喜びも束の間、僕はすぐに現実に引き戻される。
来た道を引き返さなければならない。


すでに体は疲れ果てており、死の危険はさらに高まっていた。


一歩一歩に全神経を集中させ、踏み外したら終わりだという恐怖と闘いながら進んだ。

顔はこわばるが膝が常に笑っている。

途中、落石が15m先の道を横切る。
多分あれに当たっていたら意識を失って滑落していた。
足場が見えないルートにも遭遇し、手探りではなく「足探り」で進む感覚を味わった。



安全地帯にたどり着いた。
「生きてる…生きてた、よかった…」


そこから見えた景色は、はたから見ると驚くほど美しかった。



険しい岩場を渡りながらはその美しさを感じる余裕はなかったが、こうして振り返ると、その道のすべてが価値のあるものに見える。


そして上高地の平坦な道を歩いているとき
若造なりに、人生の真理に気づく。

登山は人生に似ている

辛く険しい道の先に広がる景色は、涙が出るほど美しく、尊いものだ。しかし、その道中はとても過酷で、何度も辞めたくなる瞬間がある。

挑戦するかどうかは、自分自身の選択次第。無理に進む必要はない。でも、挑戦したいと思いながら行動しなければ、きっと後悔するだろう。

あの登山を終えた後、僕は一つの知見を得た。
挑戦することで、人生は充実し、変化をもたらす原動力となる。

どんなに険しい道でも、自分が進みたいと決めた道なら、その先に広がる景色は必ず価値があるはずだ。
だからこそ、僕はこれからも挑戦し続けたいと思う。

同じように、自分の人生に挑戦を加えたいと感じている人たちに、このメッセージが届けば嬉しい。

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