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【私の活動領域③】創業支援

メーカー退社後入学した大学院を2015年9月に修了し、本格的に経営コンサルタントとしての活動を開始しました。その当初から従事している業務が
「創業支援」です。

2014年1月から、産業競争力強化法に基づいて、市区町村が民間の創業支援等事業者と連携し、ワンストップ相談窓口の設置、創業セミナーの開催等の創業支援を実施する「創業支援等事業計画」を策定し、国が認定する制度がスタートしました。自治体が主導して、地域における創業を支援していく枠組みが始まったところでした。

そのようなタイミングに重なったこともあり、創業支援に従事する機会に恵まれました。独立して初めて登壇した機会が、2015年9~11月に行われた「本庄早稲田塾 ゼロから始める創業スクール」(埼玉県本庄市、(公財)本庄早稲田国際リサーチパーク主催)です。私は、マーケティングなどの講義を担当しました。

今振り返ると、独立したての私が本当に役に立てたのか自信はありませんが、アンケートでポジティブなコメントをもらって嬉しかった記憶があります(早口でした、とか、ネガティブな評価もよく覚えています)。

その後、本庄早稲田の創業スクールではメインの講師を務めさせていただくようになり、カリキュラムの検討等含めて担当しています。また、東京都墨田区でも、起業ゼミの講師を数年間努めています。

国の創業支援の枠組みで行う創業スクールは、「経営」「財務会計」「マーケティング」「人材育成」といった内容を、もれなく伝えなければなりません。本庄早稲田の創業スクールでは、これらの内容を網羅することはもちろん、スクール終了時に「ビジネスプラン」を完成していただくことを目標に置いており、講義の中でビジネスプランに盛り込んでいただきたい内容を順に紹介しています。

また、早稲田大学アントレプレナーシップセンターの業務でも、創業前の学生、研究者の方の創業相談を受けています。創業スクールと創業相談、それぞれの業務で得た知識、学んだことを互いに生かしてきました。

創業のタイミングは人それぞれ

創業スクールには、幅広い世代の方が参加され、これまでの職歴、現在の職業なども様々です。創業に対する思いについても、スクールが終わったらすぐに創業しようという方もいれば、今すぐに創業する気はないけれど、まずは知識を得たいという方もいます。また、すでに個人事業主として、あるいは会社の代表として活動していて、改めて経営について学びたい、という動機で参加される方もいらっしゃいます。

創業のタイミングは人それぞれ、いつやってくるか分かりません。そのタイミングが来た時に、少しでも思い出していただけることがあればいいなと思ってお話をしていますし、そのタイミングでしっかり見返していただけるよう、講義資料はかなりボリュームのあるものを準備しています。

アントレプレナーシップの大切さを伝えたい

数年間創業支援に携わるうちに、一番お伝えしたいのは、「アントレプレナーシップの大切さ」であると思うようになりました。アントレプレナーシップとは、「起業家精神」とか「起業家特有の行動様式」を指します。私はアントレプレナーシップのエッセンスは、「何をするか自分で決めて、行動すること」だと思っています。創業すると、仕事をどれだけ頑張るか、頑張らないかも自分次第、自分で責任を持って決めて、行動することになります。

そして、アントレプレナーシップを大切にすることは、創業者だけに必要なものではなく、組織の中で仕事をする、あるいは社会の中で生きていくうえでも、とても有用だと思います。なので、創業することの良さは「自分で決められること」である、と、創業スクールではまず初めにお伝えしています。

また、講義の中でそのようにお伝えしている自分自身も、アントレプレナーシップを大切に、日々過ごすことを目標にしています。私は、仕事柄「先生」と呼ばれることも多いのですが、この呼ばれ方はあまり好きではありません。ただ、創業スクールの受講生の皆さんからそう呼ばれると、先生と呼ばれるにふさわしい自分でありたいと、素直に思えます。

そして、先生と呼ばれるにふさわしい自分であるために、常にアントレプレナーシップを持っていたいと思っているのです。

受講生の事業観にも影響を与える仕事

本庄早稲田での創業スクールは、2015年から始まって今年で8回目(2020年はコロナのため開催なし)になり、卒業生は100名を超えました。本庄市やその近郊には、創業スクールの卒業生が創業して活躍しており、それ以外の創業者、経営者も含めて、次の創業志望者を受け入れるコミュニティが生まれて、着実に大きくなっている様に思います。また、行政や支援機関、金融機関を含めた「エコシステム」としても育ちつつあるようです。

創業スクールの卒業生どうしは、同じスクールを卒業した、ということで仲良くなれるようですが、もう1つ、同じ講師から教えてもらっているので、事業について話をした時の相互理解が早い、と言って頂けたことがあり、とても嬉しく思った記憶があります。

一方、創業を目指す皆さんの事業観の形成、ビジネスに対する姿勢に少なからず影響を与えるということでもあり、大きな責務を負っていることを認識し、身が引き締まる思いがあります。これからも、創業に必要なことや事業を継続していくために大切なこと、また、創業をしない方にも有用なマインドセットを、精一杯お伝えしていきたいと思います。




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