歴史小説 畠山重忠 その5
鎌倉の重忠の館には久しぶりに静かな時が流れていた。
「成清。あの日から五年。世の中はがらっと変わってしまったな。」
「誠にもって。殿のご活躍で、畠山党の所領も増えました。それに、何よりも鎌倉第一の武者としての殿の声望は、我ら畠山党の誇り。先日の南御堂勝長寿院落慶法要の際も、我ら畠山党は随兵の先陣を賜り、面目をほどこしました。」
「所領が増えたといっても、このように日本国のあちこちに散らばっていては、管理のしようがない。きちんとした代官を送るように心がける必要がある。」
「と