【美味クレソン】6話後編 新婚の味
前回のあらすじ
どうも〜幸子です。美穂、泣かないで。必ず和夫さんの行動をつきとめるわ、新婚の美穂を泣かすなんて許さない!プンプン!私とたつじさんで和夫さんの尾行が始まりました。別にあやしい動きはないけど、ひとつ気になることが。実は和夫さんは毎日仕事帰りに、同じ食堂に通ってるんです。
たつじ「今日もこの食堂か、『故郷』」
幸子「飽きないんですかねー毎日、毎日」
たつじ「……」
美穂の家
美穂「そうなんですか。毎日同じ食堂に。私の料理より食堂の方がいいのね…」
たつじ「この家の住人ならオレも毎日食堂に通うだろうな」
幸子「ひどいわ!一体、何がいけないというの?」
たつじ「美穂さん、あなたは自分自身に見栄を張っている。イタリア料理だの、テーブルの上を見ると今日はフランス料理か、そして昼間は習い事をして忙しいと言い張る。あなたは背伸びをしているんだ、そう、背伸びをしすぎて足の指が骨折寸前さ」
美穂「足の指が骨折寸前?」
たつじ「よし、和夫さんが帰ってくる前に味噌汁の作り方を教えよう。和夫さんは毎日食堂で味噌汁を飲んでいるんだ。ツマミはパッと作れるものでいい」
美穂「味噌汁…」
和夫が帰ってくる。
和夫「ただいまー。美穂、お客さんかい?」
たつじ「夜分にすみません。おじゃましております」
美穂「あなた、ご飯にする?」
和夫「いや、今日も会社の同僚と食べてきたんだ」
美穂「……」
たつじ「ご主人、これを食べて下さい」
たつじ「クレソンに塩昆布とごま油を加えた一品です」
和夫「居酒屋のツマミみたいですね。うん。さっぱりして美味しい。ビールがほしくなりますね」
美穂「はい、ビールよ、どうぞ。」
和夫「ありがとう。クレソンの、ほのかな辛味とビールの辛味、とても合いますね」
美穂「どうぞ!お味噌汁です」
和夫「出汁がきいてて、とても美味しいよ。仕事で疲れて帰ってきたら、こいうおふくろの味が落ち着くんだ」
美穂「昆布とかつお節を合わせて時間をかけて作ったの。和夫さんごめんなさい。これからはちゃんと家庭料理を作るわ。和夫さんは仕事で忙しいのに私は習い事ばっかりで、いつも自分の事ばかり・・・」
和夫「よし、オレも仕事を頑張って毎日定時で帰って来るぞー」
幸子「美穂泣いているの?」
美穂「ただ泣きたくなるの。でも今度はうれし泣きよ❤」
和夫「美穂…❤」
幸子「ヒューヒューだよ!熱い熱い!」
たつじ「人間ありのままが大切なんだ。自分自身を卑下せず背伸びせず」
幸子「いいですね、たつじさんはいつもありのままで」
たつじ「どうしてだい?」
幸子「会社のデスクでいつも寝ているいるじゃない」
たつじ「こ、こいつは一本取られたな!」
一同「はっはっはっはぁー」
【美味クレソン】続くかも…
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