第二回遼遠小説大賞ここまでの振り返り 最終
第二回遼遠小説大賞の募集期間が終了した。計30作の参加があった。本当の挨拶は結果発表の時に書くけれど、まず心から感謝を。さて、最後の振り返りだ。
振り返り
押田桧凪さん『からめて』はさすがの一作だった。この前パンダの話を読んだけど、今回はタコだ。第一回の時から一向に衰えない独自の小説は、今回その独自性を保ちがらもどこか突き抜けた爽やかさがある。
外清内ダクさん『Stayin' Alive in the Void』を読む前、私はちょっと腐っていた。今更小説を書く意味だの、なんだの、読みたくないよ、そんなとことっくに通り過ぎてるんだよと。ところがどっこいそんな「俺達」の話だったのである。
毛盗さん『川のある土地』は「ようやくこういう作品が来てくれた」と歓喜した。レギュレーションを5人で相談して微調整した甲斐があった。どういうことか、リンクを踏んで見てみてほしい。
尾八原ジュージさん『迷子のなり方』は、すでに遠くをふらふらしている人の実感のようなものを感じてとてもよかった。そう、迷子なのかもしれない。最初から最後まで上品な作品だった。
宮塚恵一さん『マキニス・モエキア』は、今回の企画トップクラスの安定感を感じる。そして、「安定している」=「挑戦していない」ではないのが恐ろしいところだ。挑戦しているからこそ安定しているのである。
Pz5さん『蓮華泥中在水』は遼遠小説大賞の最終日に相応しい作品だった。評議員がこういうかたちでアンサーしてくれて嬉しい。プロットを頼りに読んでしまったのがちょっと悔しいが、プロットもカッコよかった。
高村 芳さん『同情』は今書かれるべき小説だった。こういうことを描くのは、小説の(というより芸術の)役目だと思う。遼遠がこの作品を出す場になれたのであれば、この上なく嬉しい。
2121さん『褪せたインクと君の声』はちょっと呻き声が出てしまうような作品だった。とても素朴なのだが、こんなに胸を掻き乱されるとは思わなかった。普通これをやろうとしても、こうはならんと思う。刺さった。
syu.さん『少女を林檎とするならば』は、私はまだ音だけを楽しんでいる。そして音だけ楽しんでいる段階なのに凄いことをしていると分かる。よくこんな作品を書けると思う。これから解釈するのも楽しみにしている。
フカさん『メロンパン日和』はとってもよかった。「この小説、ここで読んでいていいのかい?」と思わせるところがある。ここで読める=遼遠に寄せてくださったという幸福をめいっぱいに感じたい。
藤田桜さん『ハルピュイア』は、ある種の極致だった。この書き方の限界まで行っているんじゃないかという感じがした。この作品が読めて幸福に思う。まだ現世に留まっている意味はあったのだろう。
では、講評・結果発表は後日!しばしお待ちを~!
資料費に使います。