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スティーブン・ハッサンも批判した日本の強制棄教の実態
スティーブン・ハッサンは1953年にニューヨーク州で生まれた米国ユダヤ人です。彼は19歳の時に統一教会に勧誘され、2年余り会員として過ごしました。1985年にケンブリッジ大学を卒業し、1988年に『マインド・コントロールの恐怖』を書きました。この本は日本語にも翻訳されて、1993年に日本で出版されました。
『マインド・コントロールの恐怖』の著者であるスティーブン・ハッサンは、2000年3月29日付で、日本基督教団の小島誠志議長に手紙を書いていました。この手紙の中で、ハッサンは日本の強制棄教の方法を批判しました。
ジャーナリストの室生忠氏はこの手紙について次のように指摘しています。
「ハッサンが、日本で頻発する強制棄教のテキストに自分の著書『マインド・コントロールの恐怖』が使用されていると聞かされて、いわば“責任逃れ”のために書簡を書いた可能性も考えられる。」(p.310)
日本基督教団の牧師たちは、ハッサンのこの著書を指南書として、統一教会の信者に対する拉致監禁・強制棄教に関与していました。
室生忠氏は、日本の強制棄教においては、以下の四段階が正確に組織的に実行されていると指摘しています。
①牧師、脱会屋が信者の親族を「救出セミナー」に参加させて、「保護説得」と称する拉致監禁の必要性を徹底的に教育する。
②牧師、脱会屋の実質的指導のもとに、親族によって信者の拉致が行われ、マンションなどに監禁する。
③牧師、脱会屋の指導のもと、親族に元信者が協力して被害者と統一教会を激しく非難攻撃して、脱会を迫る。
④信者の抵抗が弱まった段階で、監禁現場に牧師、脱会屋が現れて本格的に棄教脱会を迫り、その過程でハッサンの『マインド・コントロールの恐怖』も読まされる。
このような強制棄教の方法は、牧師の面会の仕方としても問題がありますし、拉致監禁が犯罪であるという問題もありますし、監禁された信者の心に深刻な傷を残すという問題もあります。
ハッサンは手紙の中で、牧師は監禁現場に出向くべきではないと主張し、さらに「拉致や非自発的監禁は不可避的にトラウマを残すでしょう」と述べています。
室生忠氏は、この手紙が日本基督教団に送られていた意義について、次のように述べています。
「幾重にも迷彩を施しつつも、ハッサンという反統一教会運動の世界的なリーダーが、強制棄教の弊害をこれだけ重視、強調している事実と、拉致監禁を批判する手紙が日本基督教団に発せられていた意味はきわめて重い。」(p.312)
資料:室生忠『日本宗教の闇/強制棄教との戦いの軌跡』アートヴィレッジ、2017年。
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