カトリック教会は統一教会をひとつの宗教と認め、宗教間対話の相手と見なしていた
カトリック中央協議会は1985年6月22日、「世界基督教統一神霊協会に関する声明」を発表しました。この声明において、日本カトリック司教協議会は次のように述べています。
〈世界基督教統一神霊協会は、1954年韓国で文鮮明師によって創立され、韓国では六五万人、日本で三十万人の会員がいるといわれています。この運動の目的は一つの人間家族をつくり上げることであり、そのため、キリスト教を統一し、共産主義を根絶し、米国と韓国を中心に平和な世界を実現することを目指して努力しています。私たちは、一つの人間家族をつくり上げることの意義を否定するものではありませんが、この世界基督教統一神霊協会がキリスト教ではなく、ましてやカトリックでもないことを示し、キリスト教一致運動としてのエキュメニズムの対象にもなり得ないことを明確に宣言したいと思います。〉
このように述べて、日本カトリック司教協議会は、旧統一教会・家庭連合がエキュメニカルな対話の対象とはなり得ないことを表明しています。とはいえ、カトリックの司教たちは、ひとつの人間家族をつくり上げることの意義には、理解を示しています。
1989年3月25日のキリスト新聞の記事によると、カトリック中央協議会事務局次長を務めていた神林宏和神父は、1985年の声明について、カトリックの司教たちが『原理講論』を参照しながら、教義的な面から判断したことを明らかにしています。
さらに神林神父は、当時の司教たちが、「社会的問題を起こしているとか、いないとかについては判断を下しませんでした」と説明しています。声明が発表された1985年においても、神林神父がコメントを発表した1989年においても、カトリック教会は旧統一教会・家庭連合の政治的な問題や社会的な問題を、議論の対象にしませんでした。
神林神父の説明によると、むしろ当時のカトリック教会は、「『世界基督教統一神霊協会』が短期間に大きく発展した背後には現代社会のゆがみがあり、社会の世俗化、都市化、機械化などにより、家族から離れ、目的を失い、生きがいを失って、人生に不満を持ち、孤独に悩む人々がいると考え、カトリック教会が、司祭、信徒ともに、これらの人々に積極的に働きかけるべきであると呼びかけました。」
つまりカトリック教会は、自分たちの伝道の使命を再認識し、現代社会のゆがみの中で生きがいを失って孤独に悩む人々に積極的に働きかけるよう、神父や信徒に呼びかけました。
対照的に、日本キリスト教団や福音派の諸教会は、旧統一教会・家庭連合の信者に対する拉致監禁・強制棄教という人間の尊厳を踏みじる野蛮な活動に走りました。
さらに神林神父は、「キリスト教でなければ、キリスト教一致運動の相手にはなり得ない、とは言いましたが、宗教ではない、とは言っていませんので、諸宗教との対話という路線の中で話し合う余地は否定していません」と説明しています。
つまり、カトリック教会は、統一教会とのエキュメニカルな対話をすることはできないけれども、統一教会をひとつの宗教として認めており、宗教間対話の相手として位置づけることは可能であると考えていました。
画像:世界平和統一家庭連合公式サイト
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