vol.12 個店にはないSCの強みとは?
個店にはないショッピングセンター(SC)ならではの強みとは?と聞かれたら、私が最初に挙げる項目は「ブランドミックス」できること答えています。
ショッピングセンターとしては、お客さまには「館に来てもらっている」と思いたいですが、顧客調査をすると、多くのお客さまは「個店に行っている」という認識を持っています。
「夕食の準備にあのスーパーに行こう」、「待ち合わせの時間まで本屋で本を探そう」など、目的の個店に意識が向かいます。もちろん、1店舗だけではありませんが、点と点になっている傾向にあります。
当然、各ショッピングセンターは、買い回りを促進するためのスタンプラリーなどを企画しますが、私はその施策もやはり点と点を結びつけているだけという気がしています。
広告訴求についても、ファッション店は独自のECサイトをもっていたり、個店ごとにSNSを通じて情報発信しています。目的の個店がある方はそちらをフォローすれば良いわけで、SCの広告(SNS)を見てもらうには、SCならではの魅力を発信しなければならないのです。
SCの販促・広告は、点ではなく面で考える
ファッションのコーディネイトについは、なるべくブランドミックスで提案しています。このお店のテイストとこのお店のテイストを組み合わせると、こんな表現ができるということをInstagramなどで見せていきます。
さらに、投稿のエンゲージメントやクリップ数を見て、反応や購買の動機を確認します。その繰り返しをすることで、館のお客さまにSCとしての面の魅力を感じていただきます。
販促施策でも、個店同士のアイテムを組み合わせたコラボ福袋は好評でした。ディベロッパーメンバーがプロデューサーとなって組み合わせ案を考え、販売イベントを開催。ディベロッパーメンバーみんなで販売し、ブランドミックスへのきっかけづくりに努めました。
ギフトシーズンもチャンスです。もともとギフトは組み合わせ。個店同士のコラボギフトを何度も企画しました。酒店と精肉店では、地ビールとおつまみに合うこだわりハム・ソーセージの組み合わせを企画。地元銘菓セットも人気でした。あくまでも一例ですが、1年間を通じて、個店と個店をつなげる努力をいかにするかということに注力しています。
貴店でもフロア会や、カテゴリー会、店長会などを設定していると思いますが、ほとんどのSCは連絡会議やヒアリング止まりになっている傾向にあります。そうではなく、いかに館として「One Team」でお客さまに素敵なことを発信するかがディペロッパーとしての腕の見せ所だと思っています。
また、「One Team」の意識を育むことで思わぬ効能を発揮する時があります。オリジナルメニューをつくる際、ある店舗が「こういう食材を手にすることができたら、こんなメニューができる」と悩んでいたことに対し、他の店舗の店長がたまたまその食材の仕入れルートを知っており、紹介してあげたのです。
確かに同じ館だとはいえ、個店同士はライバル関係でもあります。そこを超えてどう共存共栄をしていくのか。個店を育む(プロデュースする)こともディベロッパーの重要な役割。面視点がとても重要になります。
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