かけあい〔本科第5回課題〕
シナリオ通信講座、5つ目の課題を投函しました!
基礎科(全12課題)と違って、本科は前期と後期に分かれています。
前期は全部で10課題なので、前期の折り返し地点です。
こうやって「半分きた」「あと3分の1!」とか、その度にしょっちゅう書いているのですが、こういう言葉で自分を励まして修了までがんばりたい一心なので、大目に見ていただけると嬉しいです。笑
課題のシナリオは添削前のものを現在全て公開しています。
→ 基礎科12課題(今年の1〜7月に書いたもの)
→ 本科1:あの頃みたいに
→ 本科2:Cマイナーの恋の歌
→ 本科3:天才ハカセの発明
→ 本科4:ねえ、ふりむいてよ
今回、投函した後に読み返して気づいたのですが、ミラーちゃん、ガネーシャ様(「夢を叶えるゾウ」水野敬也著)じゃん…。
関西弁でうさんくさいキャラとなると、字面では完全にガネーシャ様になってしまうのだなということがわかりました。
あんみつ食べさせたったらよかったかな。(あかん)
今回の課題は鏡でした。
前回から、あまり展開の多いお話ではなく、短いお話を丁寧に書くことにしています。
会話でお話をつなげる練習と。
もう少し細部を膨らませていきたいです。
添削前のシナリオを全文掲載をしていますが、掲載している全ての作品において著作権は放棄していません。
引用される場合は引用元を明記(こちらのページ、もしくはツイッターなど)してください。
「映像化したい」と思われた方(ありがとうございます)はご連絡ください。
鏡にうつるは恋心
人物
戸塚梓(20)大学生
ミラーちゃん(?)鏡に搭載されたAI
米原芹(20)大学生
立木ルカ(20)大学生
鈴橋実花(20)大学生
江原創(20)大学生
店員(25)
○大学・講義室(朝)
講義前の教室。戸塚梓(20)、米原芹(20)、立木ルカ(20)が雑誌を広げている。
梓は黒髪で地味だが、芹もルカもおしゃれに着飾っている。
芹とルカが手鏡を出して前髪を整え始める。
芹「あー、やっぱ昨日前髪切りすぎたなあ」
ルカ「そう?短めでカワイイじゃん」
梓も慌てて手鏡を出す。梓の手鏡は曇って汚れている。
梓、服の袖で鏡を拭く。
鈴橋実花(20)が入ってくる。
実花「おはよー」
芹「えっ、実花、今日雰囲気違う?」
ルカ「ほんとだ!シャドウもリップもピンクじゃん!ピンク嫌いって言ってたのに」
芹「でもめっちゃ似合ってる!かわいい~」
実花「実は…買ってもらっちゃったんだ!ミラーさん」
芹・ルカ(同時に)「えー!!!」
芹「いや、高かったでしょ。実花そんなにバイト入れてないじゃん」
実花「彼氏に買ってもらいましたっ!」
ルカ「えー、いいなー。やっぱり社会人彼氏が最強か」
梓「…ねえ、ミラーさんって?」
芹「梓知らないの?ほら、CMやってる」
ルカ「AI搭載鏡、ミラーさん、ってやつ。すごいらしいの!」
芹「で、どうなの?」
実花「すごいの!似合う色とか分析して商品までオススメくれるんだあ」
梓「へえ~」
江原創(20)を含めた男子学生のグループが入って来る。
江原「おはよう。あれ、実花、今日雰囲気違うじゃん。カワイイね」
実花「ほんと?ありがとう」
芹「出た、天然人たらし!」
江原達、笑いながら通り過ぎて行く。江原を見つめる梓。
○家電量販店(夕方)
梓が鏡台の並んだ棚を見ている。
値札は5万円を超えるものばかり。
梓「高いなあ」
棚の一番隅に白色のコンパクトミラーが一つだけ置いてある。値札には「AI搭載型ミラー旧モデルのため処分価格・1万円」と記載。
梓「これなら、なんとか」
コンパクトミラーを持って立ち上がる梓。
○梓の部屋(夕方)
梓が説明書を読みながら机の上のコンパクトミラーを開く。
CGで作成されたミラーちゃんの顔が鏡に写る。20代くらいの女性だ。
ミラーちゃん「はあ、自分えらい地味やな。名前は?」
梓「は?はい?」
ミラーちゃん「名前。自分の名前も覚えてへんの?」
梓「あ、梓ですけど」
ミラーちゃん「梓な。うちミラーちゃん。早速やけど、うちを購入したからには、大変身間違いなしやで」
梓「大変身…ですか?」
ミラーちゃん「当たり前やろ。変わりたて買ったんやろ?どうせしょうもない男のためやろけど」
梓「…創くんは、そんなんじゃないです」
ミラーちゃん「創君ね。じゃあとりあえず美容院行こ」
ミラーちゃんのCGの風貌が梓の顔に変わり、髪型が茶色のボブになる。
ミラーちゃん「あんたはこんな色がええわ。はい、17時に予約しといたったし」
鏡に美容院の詳細が表示される。
梓「え?17時ってあと30分しか」
ミラーちゃん「早よ行かな遅れんで。その後デパートのコスメ売り場な」
○美容院・店内(夕方)
大きな鏡の前に座っている梓。茶髪のボブになっている。美容師が後ろに立ち、手鏡で髪の後ろを見せている。
鏡に映る梓は嬉しそう。
○百貨店・コスメ売り場(夜)
梓は鏡の前に座り、女性店員に口紅を付けてもらっている。
梓は鏡を見ながら顔の角度を変えて、満足そうにしている。
女性店員がいなくなった隙に梓がコンパクトミラーを開く。
CGのミラーちゃんが手でOKサインを作る。
○服屋・試着室内(夜)
大量の服の山。梓がワンピースを頭からかぶり終える。
試着室内の椅子の上に開かれたコンパクトミラー。大きく赤い×印が表示される。
店員の声「いかがですかあ?」
梓「あ、えっと、ちょっと待ってください」
○梓の部屋(夜)
紙袋をたくさん抱えて座る梓。
コンパクトミラーを開いて机に置く。
梓「疲れた…」
ミラーちゃん「明日、創君紹介してな」
梓「う、うん…」
○大学・講義室(朝)
芹、ルカ、実花が雑誌を広げている。
梓が入って来る。
梓「…おはよう」
実花「あ、梓おはよう、って、え!」
芹「どうしたのその髪といい…」
ルカ「カワイイ~!超似合ってる」
江原と男子学生グループが入って来る。
江原「あれ、梓ちゃん、イメチェン?すっごい変わったね。かわいいじゃん」
梓、照れてうつむいてしまう。
通り過ぎて行く江原。
梓、席についてコンパクトミラーを広げる。位置を調整して、後方の席にいる江原が写るようにする。
江原が鏡に写ったのを確認し、満足げに微笑む梓。
ミラーちゃん「ふーん、いいやん」
○梓の部屋(夜)
机の上に開かれたコンパクトミラー。
それを見ている梓。
ミラーちゃん「あれは競争率高いわ。彼女おるんちゃうの?」
梓「…いないって言ってた」
ミラーちゃん「はあ、そこまでリサーチしといて、あんな態度じゃ取られてまうで!」
梓「…だって」
ミラーちゃん「次は告白やな」
梓「は?」
ミラーちゃん「告白やて言うてるやん」
梓「…早すぎると思うんだけど」
ミラーちゃん「男はギャップに弱いもんやねん。今行かんでいつ行くん?」
梓「あと一週間くらい待って距離を縮めて…」
ミラーちゃん「今やろ!はい、スマホ出し」
梓「え?」
ミラーちゃん「早よ!」
梓、しぶしぶスマホを出す。
ミラーちゃん「ブルートゥースオンにして」
梓、スマホを操作する。
ミラーちゃん「送っといたし。明日昼休み、中庭な」
梓「えっ!」
スマホを操作する梓。
メッセージの画面には、宛先が「創くん」内容が「明日の昼休み、中庭でご飯一緒に食べへん?お弁当持ってくし」と書いてある。
梓「私こんな言い方しないよ…」
ミラーちゃん「細かいことは気にせんでええの」
メッセージの着信音。
スマホにはメッセージの着信を知らせる通知と「いいよ」と表示される。
梓「どうすんのこれ。お弁当も作んなきゃじゃん…」
鏡に唐揚げのレシピが表示される。
梓「そういう問題じゃないよ…」
ミラーちゃん「早よ言って楽になりいや」
○大学・中庭
ベンチに座っている江原。
それを遥か遠くから見ている梓。
梓はコンパクトミラーを開いて持っている。
ミラーちゃん「ほら、あとあそこまで行って言うだけやん。簡単やろ」
鏡の中の自分を不安そうに見る梓。
梓「そんな事言われても…」
ミラーちゃん「おっしゃ、じゃあ最終兵器教えたる。勇気が出るおまじないや。横の赤いボタン押してみ」
梓「赤いボタン?」
梓はコンパクトミラーの横についている赤いボタンを押す。
コンパクトミラーが梓の手から落ちる。
梓の目の色が赤色に変わる。
梓、江原に向かって走って行く。
梓・ミラーちゃんの声(同時に)「創君、お待たせ。だいぶ待ったやろ。ごめんなあ」
江原「ううん、今来たところだよ」
梓、江原の隣に座り、江原と腕を組む
割れたコンパクトミラーが落ちている。
おしまい
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