人物に出会う〔第5回課題〕
シナリオセンターの通信講座・受講経過を記録しています。
5回目の課題を提出しました。(全12回)
前回・4回めの課題は「イライラしている人」でした。
挑戦してみたのはスピード感。
3回めのテーマは「迷っている人」でしたので、ゆっくり、じわじわと主人公・木下の心の中の迷いを表現してみたつもりです。
「イライラしている人」は「迷っている人」に比べ、スピード的には速いかなと思い、加速させてみました。
3回目の課題から、少ないページ数ながらにも完結させたいという気持ちが強くなり、4回目はかなり削ってオチまで持っていきました。
なので、テーマの「イライラ」が薄いと言われてしまえば、そうなのかも。
あとは"セリフで繋ぐ"事を試みました。
セリフを削りたくなってしまう癖があるみたいなんですよね、私。
画面の描写をたくさん描きたいがために、セリフを削っちゃうみたいなんです。
今まで作ったものって映像にしたものも含めてセリフが少ないものが多い気がします。
今回(5回めの課題)は、またセリフが少なめに戻っていますが(笑)そんな中でもキャラクターが分かるように描きたいなと思ったものです。
課題は「出会い」
200字詰原稿用紙4枚です。
お楽しみください。
ちっちゃな手
人物
寺西龍太(5)幼稚園児
寺西智彦(70)龍太の祖父
寺西小春(32)龍太の母
寺西太一(35)龍太の父
◯病院・待合(早朝)
ソファーで寺西龍太(5)が寝ている。
廊下の奥から小走りに近づいてくる寺西智彦(70)。
龍太が寝ているソファーの前で立ち止まり、龍太を揺り起こす。
智彦「りゅう、起きろ。行くぞ」
龍太、目をこすりながら上体を起こす。
智彦「行くぞ」
龍太「じいじ、だっこ」
智彦、龍太を抱きかかえ歩き始める。
◯病室(早朝)
ベッドに横たわっている寺西小春(32)。
傍に生まれたばかりの赤ん坊が寝ている。
病室のドアが開く。
智彦に抱っこされた龍太が入ってくる。
龍太「ママ!」
小春、人差し指を口にあて、声を出さず「しー」と龍太をたしなめる。
もう片方の手で赤ん坊を指差す小春。
龍太、指差された赤ん坊を見る。
小春「りゅうちゃん起きてたの?」
龍太「うん」
赤ん坊を見つめたまま返事をする龍太。
智彦、龍太をおろす。
ベッドにゆっくりと近付いていく龍太。
ベッドのふちに手を添え、赤ん坊を見つめる。
すやすやと寝息を立てて寝ている赤ん坊。
病室のドアが開き、スーツ姿の寺西太一(35)が駆け込んでくる。
太一「小春!遅くなってごめん!」
小春に駆け寄る太一。
龍太、手を伸ばし人差し指を赤ん坊の手のひらに近付けていく。
真剣な顔の龍太。
赤ん坊の手に触れる龍太の指。
龍太の顔がほころぶ。
おしまい
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