SPACによる米国上場を探ってみた(1)

SPACとは何か?

SPACとはSpecial Purpose Acquisition Companyの略で、直訳すると特別買収目的会社。スパックと発音。SPACは、上場した時点で、自らは事業を行なっていないペーパーカンパニー。SPAC自体は、特定の事業は持たず、主に未公開会社の買収を目的とした投資ビークルで、IPOによって調達した資金を元手に企業買収を行います。SPACの上場後に買収された未公開会社は、従来の上場のプロセスを行わずに上場。買収後は、被買収企業と統合して、被買収企業の名前で取引。ティッカーシンボルも被買収企業のものに変わり、株価も被買収企業のビジネスの評価によって変動。

SPACはどの程度使われているか?

以下の数字はSPACのデータベースを提供するSPAC Researchによる集計(21年2月15日時点)。明らかに増加傾向で、調達金額ベースで21年2月半ばで既に$46.1Bnと20年全体の半分以上に。

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何故今SPACなのか?

一言で言えば、コストがかかり過ぎる従来型のIPOと比較して、デメリットの存在を認識したとしても、SPACによる上場を選択する企業が増加しているということ。従来型IPOとの比較は後述したい

ざっくりいうと、SPAC上場はどんなプロセス?

”二つ”のプロセスに大きく分割

ステージ1:SPACのIPO

1: スポンサー・創業者がSPACを結成
—スポンサーがワラントを購入し、引受一時金と案件費用を賄う(現金100%の信託報酬を維持するため)。
—スポンサーは、取引時に促進されたIPO後の株式数の20%に相当する株式を受け取る。
2: SPACのスポンサーは、株式及び端数ワラント(単位、株式及びワラントの全てが取引可能)を構成するユニットの売却を通じたIPOを実施。
3: 企業結合や清算時までの間、IPOで得た資金を信託。


ステージ2:SPAC合併・逆IPO
4: スポンサーが適切なターゲットを特定し、SPAC スポンサーと株主がプロフォーマ・カンパニーの大部分の株式を保有するように、ターゲットの株主(すなわち、「売り手」)との合併交渉を行う。
5: 取引はSPACの株主投票に付され、株式の償還の可否も決定される。
6:  合併が承認された場合、対象者は SPAC を吸収合併し、株式公開会社とななる。
—信託現金は、BS上の現金、又は売り手の流動性イベント向けに使用
—売り手は通常、プロフォーマ・エクイティの大部分を保持している(したがって、この取引はリバースIPOと同等)。

上場用のSPACの典型的な条件は?

SPACの”典型”ストラクチャは以下の通り

①証券: 1株につき1/3のワラント
②IPO価格: 10ドル
③取得請求権: SPAC株主は10ドルで株式取得を請求可能
④ファンダーズ取分: SPAC株式全体の20%
⑤ワラント行使価格: 11.5ドル
⑥ワラント数: 3百万株(対10百万株。1ワラント1ドル程度)
⑦手数料: 2-3%
⑧期間: 24か月以内に買収対象が発見出来ない場合、取得請求可能

纏め

今後はより細かい論点について詳述していきたい

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