知的障害者のきょうだい⑥--同じ釜の飯--
ぱーっと霧が晴れたようになった。 「・・・ある絵を見て、はっとして。はっとした、というより、圧倒されたんです。メキシコの女の子が描いた絵だったのだけれど、おそらく自分の母親を描いたもので。ピンク色のドレスを着て、緑色の帽子をかぶって、ちょっと呆然とした笑顔の、母親の絵で、私、それを見て、美しい、美しい、て、思って。自分が悩んでいたことや、夫や、夫の新しい恋人への憎悪や、自分自身への自己嫌悪や、そういうものが本当にぱーっと霧が晴れたようになって、お腹の底の方から、生きる希望、と