「水について」
「昔はこんなモノつけなくても、空気が吸えたんよ」老人は小さな子供に向かって話しかける。
小さな子供は、ぼんやりとした表情で老人を、ただみつめる。
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わたしの育った町には川が流れています。
今はどうなっているかわかりませんが、当時はゴミに溢れ、汚れきった川でした。
他人事のように書きません。十代の頃、わたしもその川を汚していた1人です。
何を書いても言い訳にしかなりません。わたしは川をゴミで汚すゴミでした。「生物が生きるうえで、水は絶対に必要なモノです。わたしたちはその水を、お金で買わなければいけません」水道代、ペットボトルの水がそうです。
この文章を読んでくれている人の中に、わたしと同じ記憶がある人がいると思います。
わたしが小さい頃は、水道の水を飲むのが当たり前でした。現在のようにペットボトルで買うなんてことが当たり前になるなんて、思いもしませんでした。
当然ひと昔まえの人たちも、水道代として、水にお金を払うなんて、想像もしていなかったはずです。
生まれたときから、ペットボトルの水、浄水器、ウォーターサーバーで育っている子には「水はお金を払って買うモノ」という認識でしょう。
日本は水道の水が飲めると言っても、飲んでいる人は少数なはず。
水道水が飲める国も、世界からみれば少数でしょう。
もう1度書きます。
「生物が生きるうえで水は絶対に必要なモノです。わたしたちはその水を、お金で買わなければいけません」
なぜそうなったか、それは簡単です。
「水が汚れたから」です。
日本がまだましなことは、みなさん知っているはずです。
世界に目を向けると、水質汚染のせいで、安全で清潔で綺麗な水が飲めない国がたくさんあります。
その原因を作ったのは資本主義です。
資本主義の国は自国が汚れていくのを嫌がり、他所の国を汚しました。
そして資本主義は自国も汚します。
わたしたちが汚しているんです。
「資本主義が汚し、資本主義が水を買わす」
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「昔はこの川で泳いで、よく遊んだもんよ。魚もたくさんいて綺麗だったんよ」老人が、小さい頃のわたしに、話しかけてきたことを、思い出しました。
ゴミまみれの川から老人に目を移し「こんな汚い川が綺麗だったなんて、何言ってんだ?」と思いながら見ていました。
大気汚染によって空気が汚れています。
ずいぶん前から、空気清浄機が売られています。
水の時も初めは、親が浄水器を買ってきたのが始まりでした。
「資本主義が汚し、資本主義が空気を売ります」
「生物が生きるうえで、空気は絶対に必要なモノです。わたしたちはその空気を、お金で買わなければならなくなる、かもしれません」
この文章冒頭の、老人を思い出してください。
あの老人は、わたし、そして、あなたかもしれません。
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