試験勉強という名の知的冒険
1.出会い
今日は1冊の本を紹介します。
塾の先生を始めた頃は、予備校の先生の授業をみるのが趣味でした。休みの日に「代ゼミネット」というサイトから動画をダウンロードしていろいろな先生の授業をみていました。その中で、自分の講師人生に大きな影響を与えたのが、為近先生、藤田先生、そして富田先生でした。
富田先生は英語の先生で、ロジカルな構文読解を得意とする代ゼミの人気講師です。自分は、特に英語が苦手だったのですが、もし学生時代に出会っていたら確実に得意科目になっていたと思います。それぐらい、富田先生の授業は衝撃でした。そんな富田先生が書いた本それが「試験勉強という名の知的勉強」です。
2.代ゼミサテラインでの衝撃
代ゼミネットの動画をみただけでは満足できなかった僕は、代ゼミサテラインという教室でみる衛生授業の無料体験もしました。浪人生のふりをして、代ゼミの校舎に行き、春季講習の授業を体験しました。体験した日は、睡眠時間が3時間だったのと、その前に藤田先生の数学の授業をみた後だったので正直眠かったのを覚えています。富田先生の授業が始まり、最初1年間のカリキュラムや方針のような話をされていました。うとうととしているときに、富田先生のとある話が始まりました。そして、確実に自分の感覚が研ぎ澄まされていく感じをしました。隕石が地球にぶるかるぐらいのインパクトでした。天才の発想とはこういうことなのかと感じたのを今でも鮮明に覚えています。
3.富田先生の考え方
自分が衝撃を受けたお話をお伝えします。
その話とは、科目に対する捉え方です。一般的には、科目が多いというのは大変だと考えます。国立大学を受ける場合、当時は5教科7科目必要でした。それに対して私立は3教科ですむ。だったら、私立の方が楽だから、私立にする、、、と考えている人は愚か者だと。そもそも本質をわかっていない。
教科とはなんのためにあるのか。勉強の本質は「脳を鍛える」ことに他ならない。そして教科はその手段である。だから科目が多いということは、脳をあらゆる角度から鍛えることができるのでむしろ有利であるというのです。
その発想はなかったと稲妻が走りました。
4.本質の捉え方
この話は、たくさん勉強できるからよいとかそういった強がりじゃないんですよね。本質的に、物事をとらえることをロジカルに説明しています。ここがすごいと思いました。そして、本当に論理的です。富田先生は行間という言葉を嫌います。自分の授業スタイルも常に考えています。この本でも考えればわかるといった曖昧な表現を否定しています。考えるとはどういうことか、その考え方をきちんと言語化して書いています。自分が授業で伝えるときもこの教えは今でも守っています。
5.まとめ
これだけでは書ききれないほどにたくさんの考え方、捉え方がこの本には書かれています。そして、一貫しているのは富田先生の教え心です。富田先生の授業は毒舌で有名で「このタコ!」とか「マヌケ」と頻繁に口にしたり、本書でも明らかに馬鹿にしたような表現を多用します。しかし、不思議と愛を感じるんです。この罵倒も英語ができない生徒をどうやったらできるようになるのか、それを徹底的に考えてきたからこそ自信をもって言えることなんですよね。特にこれから先生をめざされたり、英語の勉強に苦労している人は読んで欲しいです。人にものを教えることの原理原則を学べます。