2月14日(水)ロシア時刻.12時44分.ロシア上空にて
旅のハプニングは付き物だが今回は格が違う。
スマホが壊れたのだ。
東京に向かう夜行バスの中、私は眠れずにスマホをいじっていた。ふとした瞬間、手が滑り、手で画面を物凄い力で押した。
オワタと思った。予想は的中。スマホは再起不能になった。東京に着くまであと4時間。
この4時間ほど長く感じたことはない。様々な作戦を立てて、一度公衆電話から母に電話をかけた。私の焦りが伝わったのだろうか、彼女の声も少し焦っているように感じた。
状況を説明し父の連絡先を得た。
そしてあまりにも疲れていた私は一度寝ることにした。
次に起きたのは東京に着く30分前。ここで意外なことに気づく。もう私は焦っていなかったのだ。
状況を客観的にみて、この状況で一番最悪なことはスマホの修理に行ったりしている間に時間が経ち、飛行機に乗り遅れることだ。
私はある種、覚悟を決めて成田空港に向かった。
成田までは予想以上に時間がかかった。東京についてもたついていたら...と考えるとぞっとする。私はとりあえず父に電話をかけた。
父に状況を説明すると意外にも冷静だった。
「空港のauショップに行って代機を借りなさい」
と彼は言った。なるほどと思い、information centerで位置を聞き、auショップに向かった。これで一件落着。私はそう思った。
しかし、世の中はそんなに甘くなかった。空港のauショップでそのようなサービスをしていない。
店員はそういった。完全にツんだ。そう思った。
私はチェックインや手荷物検査などを済まして搭乗口に着いた。
しいてもの救いはPCがあったことだ。とりあえず今の状況をtwitterでつぶやく。連絡を取れないことを皆に知らせる。
そして次に一泊だけ泊まるホテルの位置を調べた。
心の中で"よし"とつぶやく。ホテルの位置はわかった。
次に私はホストファミリーにあげるお土産を探した。彼らと良好な関係を保つためにはこれは必須だ。ジブリの湯呑みを買い、私は飛行機に向かった。
飛行機が離陸するとすぐに富士山が見えた。今まではこのルートを通ることがなかったのでとても驚いた。日本アルプスも上空から確認することができた。
そしてすぐにロシア上空に着いた。飛行機から眺めるユーラシア大陸は世界の広さを実感させた。これを写真に収めたい。ができない。これが一番心もとない。
私はこの絶景をこの目に焼き付けることにした。そして一ヶ月スマホなしで生活する覚悟を決めたのであった。
そして、今。この文章を書いている。この一ヶ月の旅が終わる頃には今までの旅とは違った素晴らしくよりたくましくなった自分になっているだろう。
初日はスマホが壊れてよかった。そう思えるような一ヶ月にしよう。
私はそう心に誓ったのであった。
今日、家の掃除をしてた時に出てきた。旅録。
この出来事は今でも鮮明に覚えているし、この経験はかけがえのないものになった。
あの状況で文字に起こしている俺はさすがだと思った。
過去のマイナスな出来事は必ずプラスになる時が来る。あの短期間で考えを切り替えることのできる俺のメンタルは当時からかなり高かったと予想できる。
皆も辛いことがあってもそれは伏線を回収するが如くプラスにはたらくと信じて頑張りましょう。
ではまた。
ちなみに、文章ではホテル見つけたって書いてるけど実際は日程を間違えてて空港泊した。
その時、空港泊を共にしたよくわからないゲイの写真家は元気にしているかな?