【お薦め】「ぼくが生きてる、ふたつの世界」
映画「ぼくが生きてる、ふたつの世界」の評判がいい。
公開されてすぐに観た。忍足亜希子さんは、以前からろう者の俳優として注目されていたが、見事な母親像を映しだしてくれた。実際のろう者が多く演じている件については、先日「あさイチ」で、呉美保監督も触れていたので、ご覧になった方もいるだろうと思う。監督自身は手話ができるというわけではないため、謙虚にろう者の世界に向き合っていたのだろう。
コーダ役の吉沢亮の評価も高いようだ。コーダとしての手話を、よくこなしていたように見えた。映画はろう者の生活や、聴者が気づくべきことも自然に織り込んでおり、聴者もぜひご覧戴きたいと願う。
惜しむらくは、字幕上映の機会が少ないということだ。肝腎のろう者が観られないというのは残念至極である。映画館側のさじ加減ひとつなのだというが、実話として描いた原作者の五十嵐大氏が直々に、映画館にお願いの声を発しているので、私も微力ながら拡散に協力している。
ストーリー自体は、地味である。だがこれは、ろう者だけにあてはまる物語ではない。親子の「心」として、普遍性を有する。特に母親の立場の人には、たまらないのではないか。
福岡市周辺では、KBCシネマとキャナルシティでしか上映されていないのが悔しい。KBCの雰囲気は大好きである。映画通の方々と共に、ひとつの空気をつくってゆく感じがする。
因みに、ニンジンの花言葉は「幼い夢」「つつましい幸福」だそうである。2箇所、赤いアクセントが登場するので、お見逃しなく。