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神の寝返り/世界は翻る アピチャッポン≪ナイト・コロニー≫(森美術館「私たちのエコロジー」展)
◇蚊帳の中でシネマに群がる観客たち
幕屋のシネマが暗転すると、ひとり、またひとりと立ち去っていく。
しかし、暗転したように見える画面は実は暗転しておらず、真っ暗になったアピチャッポンの寝室を映し続けているのである。寝室に蛍光灯を集めたことで、彼の布団は虫たちのコロニーになっていた。蛍光灯が消えても羽音は聞こえ続け、やがて止み、終わったと思い込まれたシネマは、死んだ虫をむさぼり続ける虫を映し出す。
布団の主であるアピチャッポンの手が、虫の死骸を払う。
この社会という寝室は、体制がどかっと横たわり安寧を得るためにしつらえられている。
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タルト(元同僚)が会期末・閉場間際の会場に駆け込むというので、私は2回目だったが、便乗してよかった。