転売防止の秘策。UEFAがブロックチェーン技術を用いた電子チケットを導入。Bluetoothによるペーパーレス入場も【チケット】
※この記事は2018年9月2日執筆記事を再掲したものとなります
欧州サッカー連盟(UEFA)が、8月15日にエストニアの首都タリンで行われたUEFAスーパーカップにおいて、ブロックチェーン技術を用いた電子チケットを導入していた。
スペインのライバル同士による試合は、ヨーロッパリーグ王者アトレティコ・マドリードが、宿敵のチャンピオンズリーグ王者レアル・マドリードを4-2で下して幕を閉じた。世界のトップスターが集う注目度の高い試合だけあってチケットは高騰したことが推察されるが、UEFAは本大会において「転売防止の秘策」ともいえる電子チケットを展開していた。
電子チケットの仕組みは以下の通り。
一般販売でチケットを購入した対象者全員にアクティベーションコードが送られ、購入者はリンクからブロックチェーンベースのiOSまたはAndroidのアプリをダウンロードする。ゲートではスマートフォンのBluetoothをオンにした上で、アプリに表示されるコードを提示することで、ペーパーレスでの入場が可能となる。
本システムは、5月16日にフランスのリヨンで開催されたアトレティコ・マドリード対マルセイユによるヨーロッパリーグ決勝でも試験的に導入されており、同実験を含む数度のテストを経て、スーパーカップに展開されたという経緯だ。
購入者への周知の観点では、UEFAは約1分間の短いビデオをYouTube上にアップロード。アイコンを用いた分かりやすい説明で、購入者からの理解を得ていた。
日本では、いまだチケットのペーパーレス化が進みきっていない。その中でも、導入が進むいくつかの事例ではQRコードによる電子チケットが主流となっており、ブロックチェーンを用いた転売防止の役割も兼ね備える電子チケットは、全くの目新しい技術である。当然、システム導入にはそれ相応のコストがかかるし、欧州のサッカーシーンほどに転売価格が高騰するチケットも少なく、先進技術だからといえすぐにでも導入すべきとは言えないだろう。それでも、2020年の東京オリンピックでは全世界から観戦者が押し寄せ、チケット価格の高騰も予想されるため、欧米の電子チケット技術の先進事例として、本事例を頭に入れておいてもよいのかもしれない。