転生の炎【限築杯レポ】

まず、初手タイトル詐欺をします。


彼方、インベイジョンブロック構築。

あれは自分の中でベストだった。
誰よりも練習時間を取り、誰よりもデッキを組み、誰よりも強かった。
大会前、この瞬間、僕よりインベイジョンブロック構築に造詣が深い存在などいないとそう思えるほど、裏打ちされたものがあった。
-----しかし、二位だった。
この結果は研鑽することの素晴らしさと、ほんのちょっぴりの苦みを僕に残した。カーンに残ったファイレクシアの油のように。

その後すぐに探訪したミドルスクールは、最近のインフレしたマジックに辟易していた順応できない僕に癒しをくれた。
野生の雑種犬、呪われた巻物、ファイレクシアの抹殺者。そして歓迎してくれるプレイヤー。
知られざる楽園に触れ、次はここで研鑽を積もう。そう思えた。
そうこうしているうち、大会にも出させていただいた。

二位。

二位。

八位。

八位。

関西帝王戦ヴィンテージは4位。
他にも晴れる屋の大会でもスイスラウンドを抜けても勝ちきれない。二位~八位を量産し、いつの間にか「シルバーコレクター」「盛り上げ役」「スイスラウンドの門番」などと呼ばれる事が多くなった。


とはいえ、トーナメントに絡んで大会に影響を与えられることは単純に良いことだ。
サプライを提供いただき、大変お世話になっている「未確認スリーブ」さんの宣伝が出来るし、存在を認知してもらえるのもメリットだろう。

メルカディアでいうところの「必ずご寄付を」。


さて、油で満ちるには、十分な時間と経験だった。

「頑張ること」の素晴らしさはいよいよ崩れそうだった。
コストを払うことが嫌になりそうだった。それなら最初からーーーー

そんな時、限築杯ゼンディカーブロック構築が、始まる。

灯を付けろ、燃え残った全てに。


さぁカードを買おう、デッキを組もう。
時間をかけよう、練習しよう。
油で、プレインズウォーカーの灯が消えて何者でもなくなってしまう前に。

思いのほか、練習は難航した。
サーバの対戦相手がなかなか捕まらなかった。
添削さんがプロモーションを打ち、ぴろながさんやコンブさん、他にも練習に付き合ってくださる方がだんだんと増えていった。
デッキはあまり試せなかったが、コンブさんに何個もデッキを組んでもらい、対戦をせがんだ。
晴れる屋に来てもらってリアルでも練習に付き合ってもらった。
特別うまいわけではないのだ。環境の理解度も低い。
練習しなくて勝てるわけがない。
ジェイスが強いだろう、赤か、ジェイスか。
最初はそう思っていた。
最後に選んだデッキは、吸血鬼だった。

練習するたび役割の多さに気づき、枚数が増える呪詛術士。
抜けていく深淵の迫害者、地盤の際。
ぬかるみの代価とコジレックの審問のバランス。
デッキ登録最終日前日に見つけた、堕ちたる者、オブ・ニクシリス。
大会前に自信をもってカードの採用理由が説明できる、そんなデッキだ。
物見遊山なんかじゃない、勝つために75枚を選んだ。
勝つなら、ジェイスは要らない。

あぁ、今回も練習で造詣が深まった。次こそ勝てるかもしれない。
二位かもしれない。

・スイスラウンド
エスパーコントロール ×〇〇
吸血鬼(迫害者型)×〇〇
青白コントロール 〇〇
緑単エルドラージの碑 ××
バント上陸 〇×〇
・SE二位抜け
SE1:RUGヴァイン ×〇〇
さあ、決勝だ。


今日は終日マリガン率が高く、50%以上だった。
どうしようもないこともあった。
バブルマッチも、決勝も「ああ、今回もダメか」と思う瞬間が何度もあった。

精神ヘドロで致命のカードを叩き落した後、失われた真実のスフィンクスにクロックを刻まれている時もこのまま除去できずに負けることがよぎった。

手には吸血鬼の呪詛術士が2枚。
二股の稲妻はケアできない、彗星の嵐も無理。両方出すしかない。
引き込んだのはぬかるみの代価。抱えよう、忌まわしい最期か、マラキールの門番を引けたときのために。
スフィンクスに攻撃され、ライフは10。

あと2ターンだ。
サイドで除去を減らした。
間違いじゃない。でも今目の前のスフィンクスを処理できない。
負けるのか。らしい負け方だ、お似合いの。

いよいよ沸血が脳に流れ込む。油が揮発する。
心底、受け入れられない。
まだ、死んでないーーーーーーーーー

15年前から僕のヒーロー

凱旋門の門衛が、微笑んでいた。



そんなこんなで。
限築杯ゼンディカーブロック構築を優勝することができました。

添削さん、スタッフの方、参加された方、応援してくださった方。
本当にありがとうございました。

次も頑張ろう。
そうすれば灼ける程の情熱を、いずれまたどこかで味わえるでしょう。

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