移住のための山林開拓プロセス ③
2020年10月に山林を取得してから現在に至るまでの大筋を時系列で。
当地は豪雪地帯であり、積雪時は除雪以外の作業はほぼできないので、実際の開拓作業の進捗はおおむね5月〜11月の間に限られる。
下草刈りした場所から間伐を開始する
間伐とは、「森林の成長に応じて樹木の一部を伐採し、過密となった林内密度を調整する作業」である(出典:林野庁)。
当地の樹種は、白樺(シラカンバ)が圧倒的に多い。
前回記事にしたように、放棄された畑などの裸地には『先駆植物』と称する植物がまっさきに活着し、競うように繁茂する。白樺を含むカバノキ属は、その先駆的樹木の代表格だ。
農業放棄されてから20数年間まったくの手つかずだった当地は、その先駆的樹木でである白樺の森となっている。
もっとも、「白樺の森」といえば聞こえがよいが、場所によっては「白樺の藪」と表現したほうが適切なくらいに、もやしのような細い白樺が密生している。
このように、白樺はほかの植物よりもいち早く発芽し、密生することで覇権をとるという、見た目に反してなかなかエグい植物だ。
密生した樹々は互いに養分を奪いあったり日光を妨げあったりして、太く成長することができない。
森は適切に間伐してやらないと、「もやしの藪」となってしまうわけだ。
チェンソーはエンジンと電動のどちらがよいか
間伐にはチェンソーが必要だ。草刈り機と同様、チェンソーの動力にもエンジンと電動の選択肢がある。
電動は気軽に使える上にメンテがラクな反面、パワーはエンジンに劣り、さらに高価だ。バッテリも消耗品にしてはバカにならない価格で、しかも極寒時には電圧が低下するらしく、しばしば使用不能になる。
結論からいえば両者を揃えると作業が効率的で、当地ではガイドバーの長さが45cmのエンジンと、20cmの電動を現況に応じて使い分けている。
間伐した樹を運び出して森を掃除する
もやしのような間伐材は、薪としても焚き付け程度にしかならず、手間がかかる
わりに利用価値は低いのだが、伐倒してそのままにするわけにもいかず、結局は運び出すことになる。
余分な枝を落として一定の長さに切りそろえ、1本1本人力軽トラに積み込むのはそれなりの重労働だ。
さらに、20年間以上ヒトの手が入らなかった森は、風や雪などで折れた枝がいたるところに落ちている。これらは景観を損ねるだけでなく、地表への日射を阻害し、さらには下草刈り作業を大いに妨害するため、間伐のついでに地道に拾い集めて、軽トラに積み込んでひたすら廃棄するのである。
つづく