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移住のための山林開拓プロセス ⑤

2020年10月に山林を取得してから現在に至るまでの開拓の大筋を時系列で。
当地は豪雪地帯であり、積雪時は除雪以外の作業はほぼできないので、実際の開拓作業の進捗はおおむね5月〜11月の間に限られる



建築物を建てるには巨額の資金が必要だ

20数年間手つかずだった山林を開拓して移住しようというのだから、当然、開拓した土地に家屋を新築しなくてはならない。さらに、そこで商売を営むとなると、事業用の建築物も別途必要になってくる。

ここで問題になるのが資金で、家を建てるには少なくとも千万単位の金が必要だ。億万長者であるわけもなく、間もなく還暦を迎えようというタイミングで巨額の借金をかかえるのも憚られ、ここは自己資金のみでセルフビルドに挑戦しつつ、時間をかけて気長に事業化しよう、…と腹を括っていた。

そこに、天から舞い降りてきたのが国の補助金である。


『事業再構築補助金』制度とは、コロナ禍で重度の影響を受けた事業者を対象に、ポストコロナに向けた事業転換への支援を目的として、国が事業費(税前)の2/3を補助するというもの。
この補助金を活用すれば、無借金のまま自己資金の3倍まで事業費を拡大できることになる。

当主は2021年5月の第2回公募に申請し、幸いにして、『地方でのワーケーションの受け皿となる簡易宿泊事業』として採択された。


家は3回建てて初めて満足するというが…

資金面に一定のメドがついたところで、予算内でどれほどのものができるかの検討に入った。
当時はコロナ禍の影響によりウッドショックが騒がれ、サプライチェーンが崩壊して設備機器関係が品薄となるなど、なにもかもがコストアップに向かうさなかで、結果的には、当主も寝泊まりする約12坪の管理棟と、1棟あたり約5坪の宿泊棟3棟の建設が限界であった。

当主がスケッチした宿泊棟のイメージ


当主が描いた構想をもとに建築物の設計を担当してくれたのは、知人のツテで紹介してもらった『弘田亨一設計事務所』さん。木造狭小住宅の実績が豊富ということで、コストを抑えつつ、当環境にマッチしたデザインを起こしてもらえたと満足している。


管理棟と宿泊棟の建設工事は、2022年雪明けの4月21日から始まり、土木工事を経て、同年10月9日に引き渡しとなった。職人不足とコロナ蔓延の中、見事に工程を調整してくれた工務店の『株式会社 匠』さんにも感謝だ。


設備やら外構整備やらとやたら金がかかる

さて、建物は出来上がったとしても、そこからが難しい。補助金をちょうだいした以上、一刻も早く事業化しなくてはならないからだ。
…とはいえ、残存の自己資金は乏しく、備品調達や外構整備などが遅々として進まない。できる限りコストカットするため、DIY作業が日常化しているのでやたらと時間がかかる。

当施設のコンセプトは、「ひっそりと自分を見つめ直す空間」だ。
窓外に広がる白樺の森をながめながら屋内で読書するもよし、ラップトップを開いてもの書きをするもよし。気分転換にウッドデッキに出て、Myミルでお気に入りの豆を挽いたコーヒーを楽しむのもいいだろう。
管理棟にはダイニングスペースもあり、ご要望があれば、フルコースのディナーを提供することもできる。豊富な在庫を誇るワインは、ソムリエのサービスによるものだ。

山に移住する以前は札幌市ススキノの界隈でワインバーを経営していた。
提供はブルゴーニュワインの赤が中心で在庫はまだまだ豊富だ


取り急ぎ、これまでの顧客や知り合いに宿泊体験をしてもらっているが、どうやら概ね好評で少し安堵している。あとはできるだけ早期に設備関係を万全に整え、本格的なオープンにこぎつけたいものだ。

*2024年5月OPEN予定と謳っていますが現時点でまだプレです…汗


2022年4月21日 設計士と工務店が会して建設予定地の場所をロープで囲う『地縄』作業
2022年5月9日 工務店が地縄で囲った部分の水平出しを行う『水盛り』と『遣り方』作業
2022年5月15日 重機を入れて樹木の抜根と整地の土木作業
2022年5月22日 いちど平坦に均した地面を再びほじくり返して基礎をつくる
2022年6月13日 完成した基礎に設備屋さんが水回りの配管を取り回す作業
2022年6月19日 コンテナハウス『アラモの砦』を管理棟に移設
2022年6月26日 管理棟棟上げ。プレカット材を組んでいくので工程が短い
同日 宿泊棟の棟上げも完了





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