カメムシとの戦い 2024
当地は、自然豊かな山間部に位置するだけあって、当然ながら虫の宝庫である。
とはいえ、たいていの虫は人の生活圏に侵入してくることはなく、ある意味互いに干渉しない共存関係にあるわけだが、一部、積極的にまとわりついてくる厄介者が、四季折々それぞれに存在する。
この時期(秋)の難敵は、間違いなく『カメムシ』だ。当地ワーストランキング2位の要注意害虫である。
クサギカメムシとは
当地に現れるのは『クサギカメムシ』で、カメムシ類の中では体長20mm弱と比較的大型。日本全国どこでも見られる一般種だ。
森林を棲家とし、9月下旬頃から10月にかけて越冬目的で人家に接近する。この時期以外は、生活圏内でその姿を見ることはほとんどない。越冬に成功した個体は翌年6〜7月に産卵する。
クサギカメムシは害虫
クサギカメムシが厄介なのは、越冬のために積極的に家宅侵入を試みるところだ。躰が薄っぺらく、サッシと網戸のわずかな隙間を狙って侵入するから、発生時期は窓が開けられない。洗濯物に紛れ込むこともあり、屋外干しもできない。
屋内への侵入に成功した個体は、むやみに動き回らず、静かに潜んでいることが多い。布団の中に潜り込んでいることもあるので油断できない。
春夏は、ひたすら棲家と農地を往復して作物を荒らす。間違いなく害虫である。
クサギカメムシの悪臭
カメムシといえば、その悪臭が広く知られるところだ。
身の危険を感じる、あるいは潰されると刺激性の化合物『アルデヒド』が分泌され、非常に不快な臭気を発する。一説にはパクチーの香りに似ているといわれているが、比べものにならないほど不快で、大群から発せられると吐き気をもよおす。
クサギカメムシの恐るべき特性
① 仲間と情報交換をしている
当地では毎年、離れのガレージの特定の場所が集中的に襲われる。これは、越冬のための位置情報が、世代交代しながら引き継がれているとしか思えない。実際、それらの群を収集の上(気持ち悪い)箱詰めして移動したところ、その箱外に新たな個体が多数付着した。
② 低温で仮死状態になる
壁に無数に張り付いていたクサギカメムシも、朝晩が冷え込むと力尽きて地面に落下する。一見死んでいるようだが、実は気絶しているだけである。そのまま放置しておくと、日中の暖気によって復活し、何事もなかったかのように活動を再開する。小春日和がうれしくない所以である。
③ 越冬地点に激しく執着する
クルマのドアやハッチの隙間は、クサギカメムシお気に入りの越冬スペースである。開閉の際、迂闊に侵入を許すと、車内暖房により再活性して車内をうろつき始める。これまではチリトリで捕獲して車外にリリースしていたが、調査の結果、リリースした個体が飛翔してクルマに戻ってくることが判明したので、以来、発見次第駆除することにしている
侵入したクサギカメムシの駆除
カメムシは飛翔するものの動きは緩慢で、“G" (北海道にはいません)に比べて捕獲自体は容易だが、過度に刺激すると悪臭を放つので注意が必要だ。掃除機で吸うのは御法度である。対処法としては、後述のトラップで捕獲して駆除するのがベスト。屋内での殺虫剤噴射はできるだけ回避したいところだ。
屋外のクサギカメムシの駆除
本来、家宅侵入してこないかぎりカメムシを駆除する必要はないのだが、ドアや窓周りの隙間を狙って潜んでいる個体は侵入を許す確率が高いので、それらは後述の薬剤を使用して防除する。殺生はできるだけ避けたいが、互いに共存するためのやむを得ない処置である。
クサギカメムシの駆除に有効なウェポン
① ペットボトルトラップ
屋内に侵入したカメムシ対策の基本ツール。500mlのペットボトルを上部2/3あたりで切断し、飲み口を逆転させて蟻地獄のようにする。カメムシは危険を察知すると真下に落下する習性があるので、トラップを近づけると勝手に中に落ちる。
② 百均ミニホウキ&チリトリ
床を這う個体にはこのツールが最適。静かに処理すれば悪臭を放つことは稀だ。チリトリに載せて、そのままトラップに放り込めば完了。
③ 強力な殺虫剤
カメムシは生命力が尋常でないほど強く、一般的な殺虫剤で仕留めることはできない。「カメムシに効く」と称する製品をいくつか試したが、現在のところ、コメリオリジナルの『カメムシゼロショット』が最強という結果を得ている。
④ パーツクリーナー
本来は機械部品の脱脂・洗浄に用いる石油系溶剤スプレー。カメムシは “G" 同様、躯体や呼吸器(気門)を油分で保護しているため、脱脂されるとほぼ即死する。噴射後の液剤はすぐに揮発して、殺虫剤のように建具を汚さないのもよい。しかもかなり安価である。ただし、プラスティックやゴム類を劣化させる製品もあるので要注意だ。
2024年のクサギカメムシ発生状況
2021年に開拓を開始して以来、4回目のカメムシとの戦いを迎えた。
振り返れば、2021年は大量発生の年で、地元の人たちも驚愕するほどであった。昨年は常識の範囲ではあったものの、晩秋になんども暖気が戻る異常気象で、その都度仮死していたカメムシが再活性するという、うんざりするような長期戦となった。
本年の発生状況は、いまのところ、「やや多い」といったところ。このまま平年並みに寒気が強まれば収束しようが、こればかりはなんともいえない。
このままピークアウトしてくれることを願うばかりである。
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